表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/6

第1話:機械仕掛けの救世主

 目を覚ますと、そこは見知らぬ世界だった。

 青空が広がる草原、遥か彼方には中世の城塞都市のような街並みが見える。しかし、何より異様なのは、眼前に広がる巨大な機械遺跡だった。


「ここは……どこだ?」


 俺――神崎玲司は、確かに深夜までゲームをして、そのまま寝落ちしたはずだった。だが、今目の前にあるのは、現実とは思えない光景。そして、自分の身体もどこかおかしい。手を動かすと、関節が妙にスムーズに動き、腕の内側には機械のような模様が浮かんでいた。


「もしかして……異世界転生?」


 そう思った瞬間、脳内にシステムメッセージのようなものが流れ込んできた。


 ――システム起動中……適応率100%……機械神の使徒、オンライン。


「……は?」


 戸惑いながらも、外に出ると俺の前に、突然、スカベンジャー風の男たちが現れた。彼らは鎧の代わりに鉄くずをつなぎ合わせたような防具を身につけ、手には銃のようなものを持っている。しかし、それらの武器はどれも錆びついており、近未来というよりはスチームパンク的な印象を受けた。


「おい、そこのやつ! 何者だ?」


 リーダー格の男が銃を向けてきた。


「俺は……いや、わからない。でも、敵意はない」


「妙な奴だな……だが、ここは機械神の遺跡だ。お前もそれを狙ってるのか?」


 機械神。遺跡。その単語が気になったが、それ以上に男たちの背後から響いてくる轟音が気になった。何かがこちらに近づいてくる。


「くそっ、また奴らか!」


 男たちが叫ぶ。次の瞬間、視界の端から巨大な機械獣が飛び出してきた。それは獅子のようなフォルムをした鋼鉄のモンスターで、赤い眼を光らせながらこちらに突進してくる。


「うわっ!」


 反射的に後退した俺だったが、その瞬間、体が勝手に動き出した。


 ――戦闘モード、アクティブ。


 次の瞬間、俺の右腕が変形し、まるでアサルトライフルのような形状になった。指先から鋼鉄の弾丸が発射され、機械獣の装甲に着弾。火花が散るが、ダメージは浅い。


「なんだこれ……!?」


 驚く俺の脳内に、再び情報が流れ込んでくる。


 ――機械神の遺産、「コード:エグゼキューター」適用完了。戦闘スキル解放。


 気づけば、身体の奥底から力が湧いてくる感覚があった。直感的に、どう動けばいいのかがわかる。


「なら……やるしかないか!」


 俺は地面を蹴り、機械獣の横に回り込む。右腕から鋭いブレードが展開され、それを振り下ろすと、機械獣の関節部分に突き刺さった。ギギギ……と歯車の軋む音が響き、機械獣はバランスを崩して倒れる。


「とどめだ!」


 右腕をライフルの強化モードに切り替え、一気にエネルギーを収束させる。そして、機械獣のコア部分に向けてトリガーを引いた。


 ――ズドォォンッ!!!


 光線が放たれ、獣の胴体を貫いた。機械獣は一瞬のけぞると、ガシャンと崩れ落ち、完全に沈黙した。


「……やったのか?」


 呆然とする俺を見て、スカベンジャーたちは驚きと警戒の混ざった目でこちらを見ていた。


「お前……何者だ?」


 俺は、自分の右手を見下ろした。かつて人間だったはずの腕は、今や機械の力を宿していた。


「わからない……けど、俺にはやるべきことがある気がする」


 スカベンジャーのリーダーは一瞬考えた後、ニヤリと笑った。


「面白い。だったら、俺たちの街に来い。お前みたいなやつをほっとくには惜しい」


 俺は彼の言葉にうなずき、機械神の遺跡を背に、新たな世界へと歩み出した。


 これは、機械の力を宿した男が、異世界で伝説となる物語の始まりだった――。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ