湯たんぽが結ぶ絆
能登沖地震復興支援自主企画『繋がる絆企画』参加作品です。
師匠から貰った湯たんぽが結ぶ絆のお話。
私、ガチでマッサージを習ったことがありまして。
アロマオイルを使った全身2時間のマッサージや足ツボマッサージなどができます。
師匠からはテクニックだけでなく、人を癒すためのエネルギーや精神の保ち方など、本質的なことも色々教わったので、プロにきちんと習えたのはよかったです。
で、『絆』のお話はマッサージのことではなく、その先生に貰った湯たんぽの話です。
受講の最終日、いわば免許皆伝みたいな感じですが、先生からなんとお祝いに湯たんぽをいただきました。
それがね、ハート型の湯たんぽでかわいいんですよ。ケトルでお湯を沸かして注ぎ、カバーをかけてお布団に入れる。
自分じゃ買わないし、こういう心遣いってうれしいですね。引越し先にも持っていきました。
今もありますがその湯たんぽ、もう私は使っていません。
というのもハート型で可愛いものだから、娘が使いたがりまして。
お腹が冷えたら湯たんぽ。寝るときは冷たい布団に湯たんぽ。ちょこちょこ使ってあげてたんです。
そのうち湯たんぽの用意が寝る前の儀式みたいになり、娘のものになっちゃいました。
まぁいいか、とそのままにしていたのですが、娘は気にしていたらしく。
あるとき大きな街にひとりで電車に乗って買い物にでかけ、おこづかいで湯たんぽを買ってきました。
「あのね、ママにクリスマスプレゼント。でもハート型の湯たんぽは探したけど見つからなかったの」
眉を下げてちょっと残念そうに、シンプルな形の湯たんぽを差し出す娘。
師匠がくれたものはカバーもかわいくて、ピンク色のモコモコした素材を木製の茶色いボタンで留める、乙女系の雑貨みたいでしたから、そういうのを買いたかったのでしょう。
湯たんぽ自体、今は売っている所も少ないですしね、何軒かお店を回ったようです。親子でよく買い物に出かける街ですが、娘ひとりでは大冒険だったと思います。
いつのまにやら内緒でそんなものを探してたなんて……母はそっちで心があったかくなりましたよ!
師匠から貰った湯たんぽが娘に行き、娘から真新しい湯たんぽが帰ってくる……湯たんぽが結ぶ『絆』のお話でした。
お読みいただきありがとうございました!