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転生トカゲは見届ける。~戦えない俺は旅の足となる~   作者: イノナかノかワズ
第二部 七章:四日間

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二話 入街

「何故彼女がいないと知っているのですか!」


 ライゼは声を張り上げて、訊ねる。

 言葉だけだと下手に出ているように聞こえるが、声を発する瞬間に魔力を込めて少しばかり威圧をしている。


「我々がトレーネ殿を見送ったからだ!」

「見送った?」

「彼女は昨日この町を去っていった!」


 ライゼはと俺に目配せする。

 俺は前へと歩き出す。ライゼも両手を挙げたまま歩き出す。


「分かりました、情報感謝します。それと入出手続きをお願いします」


 その瞬間、騎士が持っていたライゼの冒険者カードがカタカタと音を立てて動き出し、浮いてライゼの手元に戻ってきた。

 ライゼと俺はゆっくりと隊長っぽい騎士に近づいていく。


「却下する」

「情報収集をしたいのです。それともしよろしければこちらを」


 魔力を多大に放ち、下げていた剣先を再びライゼに向ける。

 俺の左側を歩いていたライゼはそれに怯むことなく、右手の小指を上げる。俺はそれに従って横腹に付いていた一つの荷物を〝物を浮かす魔法(ディヌゥシュマー)〟で騎士たちの目の前に置く。


 ただ、ライゼが左手をそれに合わせて動かしたことによって、騎士たちはライゼが〝物を浮かす魔法(ディヌゥシュマー)〟を使ったと思うだろう。

 ブラフやら何やらは重要だ。


 そして隊長っぽい騎士はライゼの冒険者カードを奪われた騎士に再び指図する。

 安全確認用の使い捨て役の騎士は、その命令に逆らうことなく荷物の中身をそっと開けた。


「魔法袋です。干し肉がざっと百、魔法薬が二十、黒パンが百です」

「……フン、ライゼと言ったな。いいだろう、街への入出を許可する」

「ありがとうございます」


 大量に買い込んでおいた甲斐があった。

 街としては数日分の食料でしかないが、しかし、数日分は持つ食料だ。しかも、それは街全体でそれらを消費した場合だ。

 騎士や兵士、領主に関わる人たちだけで消費すれば一週間以上は持つだろう。


 それに魔法薬があるのも重要だ。

 魔法薬は高いし、たぶん先の魔人との戦禍で使い果たしてしまっただろうしな。女神教の神官は、女神教であるがゆえに平等に治癒をするから、騎士だろうが兵士だろうが領主だろうが直ぐには治癒されない。


 まぁ、それでも重症度に依るだろが、しかし、安全マージンは確保しておきたいはずだ。

 向こうからすれば、Cランク冒険者という戦力を一時的に街に入れる事ができ、物資まで貰ったのだ。向こうの交渉は成功だろう。


 そして俺の背中に乗ったライゼは騎士三人に囲まれながら立派な城門があったであろうと思わせる瓦礫の前に連れていかれた。

 その時には既に太陽は地平線から全て顔を出していた。


 にしても、未だに後にいた魔力反応の存在は出てきていない。

 たぶん、監視役だろう。



 Φ


 

 俺はライゼを背に乗せて、市場であったであろう場所を歩いていた。

 街中でも俺の身体を大きくしておくことによってある程度の牽制をしておく。特にファッケル大陸で俺くらいの大きさのトカゲはいないし、それでいて俺を見て連想しやすいのはドラゴンだ。


 だから、俺の背中に乗っているのがこの世界ではあまり見かけない飛行帽とゴーグルをしている背の低いライゼが乗っていても襲われることはない。

 むしろ、他の大陸の民族かと思って手を出しにくいだろう。子鬼人という事がバレなければ問題ない。


『どうするんだ?』

『どうするって冒険者ギルドに行くよ』


 俺の頭をゆっくりと撫でながら、ライゼはゴーグルの奥の瞳を静かに細める。

 俺達の周りには皮膚が焼け爛れたり、痩せこけたり、身体が煤で塗られていたりと多くの人たちが寝ていた。


『その後だよ。どうせ、今日はこの街に泊まるつもりなんだろ』

『まぁ、ちょっと確かめる事もあるしね』

『……そんなに不自然だったか?』


 俺はじろりと路地裏にいた幼子たちを見た。

 蜥蜴色の瞳にボロボロの衣服を纏った幼子たちは足を止め、一目散に逃げ去った。


『うん、あの後会話したときより、声が若干高かったし、まるで事前に決めてたような声音だった。まぁ、間違いでも問題はないし、確認するだけだから』


 ライゼによるとトレーネはまだこの街にいるらしい。

 ライゼは高原から街に降りるまでの間に衛兵隊長――隊長っぽい騎士――雑談をしていた。向こうは少しだけ煩わしいそうにしていたが、ライゼの持ち前の無邪気な表情などによって上手い具合に幾つかの情報は引き出していた。


 魔人をどうやって退けたのか、街の現状はどうなのか、街道の封鎖はいつ解除されるのかなどだ。

 その質疑会話の中でライゼは衛兵隊長の話し方の癖や声音を捉え、そしてトレーネがいないと言ったのは嘘だと判断した。


 俺にはさっぱりだったが、ライゼはそうだと思ったらしい。

 なので、今夜はこの街に泊まって、監視の目を潜り抜けて、持ち前の感知能力と隠密能力でトレーネを見つけにいくのだ。


 まぁ、いたら魔力を放出しているはずなので直ぐに見つかるだろう。

 トレーネの魔力波長は覚えているし。


『ライゼ、着いたぞ』


 そして悲惨な市街地を抜けた俺達は、砦の様な高い金属の建物の前に辿り着いた。

 大きな街の冒険者ギルドは大抵こんな感じだ。

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