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転生トカゲは見届ける。~戦えない俺は旅の足となる~   作者: イノナかノかワズ
第二部 四章:つい青い芝生が目の前にあって

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八話 違い

 さて、俺は自己紹介した方がいいのだろうか。

 “空鞄”の上で、俺は首を傾げる。


 と、思ったら。


「あの、不躾で申し訳ないのですが、レーラー様とそちらのトカゲ様の種族を教えてもらえないでしょうか? お二方から女神様の気配が感じるのですが」

「え?」


 ふぇ、女神の気配?

 んなもんないだろ。俺は女神にあった事ないし、種族で女神の気配とか……


 と、思ったのだが。


「……トレーネって言ったね」

「はい」

「確かに私も、そしてこのトカゲ、ヘルメスも普通の種族じゃない。女神に連なる系譜を持ってる。けど、冒険者としてその前に聞きたいことがある」


 あれ?

 女神に連なる系譜って何。俺知らないんだけど。


 ライゼもレーラーの言葉に戸惑っている。


「何故、君ほどの才気溢れる者が戦士をやっている? いや、その前に聖錬で冒険者をやっているわけではないでしょ」

「はい……」


 質問に質問で返したレーラーにトレーネは少しだけ俯いた。

 言い難そうに艶やかな唇を真一文字に結び、金の瞳が気まずそうに伏せられている。褐色肌の頬は少しだけ引き攣り、女性である彼女の小さな手はきつく握られている。


「そういう事。冒険者として仕事をしていて、冒険者相手に不躾な、秘密を探る質問をするなら自分の情報も晒さないと」


 レーラーは足元に置いていたコーヒーが入っているカップを手に取り、口にあてる。ライゼはどういう事かと首を捻っている。

 そもそも聖錬って何だ? 俺もライゼも話しについていけない。


 だが、俺が意思を示していいのか分からないため、〝思念を伝える魔法(ナフクモニカクソン)〟でレーラーに確認を取ることはできない。日中のトレーネの魔法技術と戦闘技術を見れば、彼女が相当の実力者であることがわかる。

 そしてならば、〝思念を伝える魔法(ナフクモニカクソン)〟の思念を捉えられる可能性もある。


 だから俺もライゼもレーラーにこっそりと確認を取ることができない。


「まぁ、女神関連で興奮したんだろうし、今まで冒険者でパーティーを組んだことはないし、トレーネは冒険者になったばっかりでしょ。私はお姉さんで冒険者歴が長いからね。不問にしてあげるよ」


 ライゼが胡乱な色を宿したこげ茶の瞳をレーラーに向ける。

 まぁ、お姉さんってね……


「……ありがとうございます」


 トレーネは深々と頭を下げる。

 平凡で清楚な居ずまいは少しだけ落ち込んでいるようだった。


 というか、不問にするという割には俺とレーラーが女神に連なる系譜を持つとい情報をバラしている。そしてこんな優しい忠告もしている。お姉さん面するし。

 何か変だな。


 というか、トレーネが冒険者になったばっかりって……あんなに強いし……

 あ、そういや、トレーネって『聖金棒』か。本人から確認は取ってないから確実にそうとは言えないが、種族と性別、年代に戦い方などが殆ど一致しているのだ。

 人族ならまだ疑いの余地はあったが、岩人(ドワーフ)ならばほぼ確実と言っていいだろう。


「それとライゼ、言いたいことがあるなら言ってもいいよ。だけど、今度の修行で死にそうになっても助けないからね」

「い、いえ。なんでも」


 そしてお姉さんという言葉に凄い疑問を持っていたライゼに対して、レーラーは永久凍土の翡翠の瞳を向ける。

 ライゼは凄い慌てる。


「ふふ」


 ただ、そのやり取りを見ていたトレーネは、少しだけ笑った。

 だが、直ぐにそれに気が付いたのか、口元に手をあてた後、真剣な瞳をレーラーとライゼに向ける。


「忠告して頂いた直後で申し訳ありませんが、レーラー様。いつもライゼ様に今日のような修行を課しているのですか?」


 ササッとシスター服を少しだけはたいた後、トレーネはずいッと顔を前に突き出し、詰問する。

 真剣だ。


「そうだね」

「まぁ、けど、いつもじゃないよ。魔物と戦う時だけだから」


 レーラーとライゼは普通に頷く。


「ならば失礼ながら申し上げますが、あのような修行をしていたらライゼ様の身体がもちません。近い内に死んでしまいます。ライゼ様の身体はボロボロです」


 まぁ、血を流しても、怪我してもライゼは薬と魔法で無理やり治し、また、悲鳴を上げる身体を無理やり動かしているのだ。

 けど、それはレーラーも知っているし、だからこそその対策もある。


 というか、その対策が無ければ俺が反対している。

 ライゼが嫌がっても、絶対に止めている。


「……確かにそうかもね。けど、これは僕が選んだんだよ。むしろ、レーラー師匠がいる分、命の保証があるし、それに身体の方も対策があるから。心配してくれてありがとう」

「ッ」


 確かにそうななのだ。

 レーラーと出会う前からライゼは無茶な戦闘をしていた。魔力操作技術を向上させるには命を賭ける戦闘が一番なのだ。不本意な事に。


 それにライゼは頑固だ。頑なに意地を張っているのだ。頑張っているのだ。

 だからこそ、俺がいくら言ってもそれをやめる事はなかったし、むしろレーラーがいる今の方が安心できる。


 だが、トレーネはそれでも食い下がる。

 というか、心の底からありがとうを述べたライゼの表情を、少しだけ影のある笑顔を見て、猶更と思ったのだろう。

いつも読んで下さりありがとうございます。

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