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転生トカゲは見届ける。~戦えない俺は旅の足となる~   作者: イノナかノかワズ
第二部 二章:独りはあっても孤独はない

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七話 “森彩”と傍観

 次に“森彩”だが、基本的に機構や性能は“森顎”とほぼ同等だ。

 違うのは銃口の口径と数、そして取り外しと分解可能な回転式弾倉がある事だ。

 回転式弾倉は銃身の根元にあり、グリップを少し上に握れば、触れるようになっている。


 まず、口径は二十八口径で銃口は一つである。

 また、“森彩”の“宝石銃弾”は“森顎”よりも小さいが、しかし封印されている魔法の種類は同等で、効果は決して低くない。むしろ、飛距離や弾速、回転数は“森顎”の“宝石銃弾”を上回っている。連射性もある。

 ただ小さいため、軽く威力は低い。貫通性は弾速と回転数、それと強度があるため問題はない。


 そして回転式弾倉だが、そもそもの“森顎”と“森彩”のコンセプトは、“森顎”は威力重視で、“森彩”は多様さ重視だ。

 そのため、“森彩”は『彩』が入っている通り、多種多様な種類の“宝石銃弾”が放てるようにしてある。


 それを可能にしているのは回転式弾倉だ。

 ただ、地球の回転式弾倉とは全くもって違う。弾丸を打てば自動的に弾倉が回転するわけではないのだ。


 “宝石銃弾”を収納する“宝石倉”は一種類の“宝石銃弾”を収納できる。“宝石銃弾”に自由に込められる魔法は一種類のため、込めた魔法の種類によって種類は変わる。

 雷の弾丸だったり、毒の弾丸だったり、火の弾丸だったり、込める魔法によって様々だ。まぁ、どんな魔法込められるかはライゼが行使できるか如何かで決まる。


 ということで、回転式弾倉にすることによって六つの“宝石倉”を付け、六種類の弾丸を操れるようにしてある。そしてグリップ部のギミック操作を使って、回転式弾倉を自由に回転させて、好きな弾丸に変える。


 また、回転式弾倉自体がギミック操作で簡単に外れ、また、簡単に装着できるため、六種類の“宝石銃弾”のグループを幾つか作り、それを瞬時に取り替えることが可能なのだ。つまり、敵の種類に応じて戦い方を変える事ができる。

 そして更に、一つの回転式弾倉に組み込まれている六つの内の一つの“宝石倉”を取り外すことも可能で、ある一種類だけ使い切った場合も問題ないようにしてある。頻繁に使う宝石の弾丸もある。


 “森彩”にこんな自由な回転式弾倉を組み込めたのは、“森顎”の様に銃口を二つ付けていないため、その分の幅があったからだ。

 “森顎”ではこのようにいかない。


『ヘルメス、ヘルメス!』

『んぉ、なんだ』


 と、現時点での俺の最高傑作に想いを馳せていたら、ライゼに思いっきり尻尾を叩かれた。びっくりした。

 ライゼを見ると、呆れているような表情を浮かべている。


『点検してくれるのは嬉しいんだけど、改良とかは後で考えてくれる? 時間的にレーラー師匠を起こして、朝食を食べなきゃいけないし』


 太陽は既に水平線の上にあり、人の数も多くなってきた。


『分かった。ただ、あとでキチンと修正点とかを聞かせてくれよ』

『うん、もちろんだよ』


 俺達は借家に戻った。



 Φ



『ヘルメス、自分の鱗を剥がすのはやめた方がいいよ』

『ん? なんでだ、レーラー』


 水の上で乱舞して、飛雷魚を討伐しているライゼを港で眺めながら、レーラーは忠告する様に言ってきた。

 レーラーは飛雷魚を積極的に討伐しない。やろうと思えば、一日もかからずに増えすぎた飛雷魚を全て斃せるだろう。


 だが、レーラーはそれをしない。飛雷魚の討伐はライゼにほぼ任せてある。

 ライゼの訓練のためだ。


『なんでって、いくら身体が魔素で構成されてるとはいえ、“森顎”と“森彩”を作る際に相当な鱗を使ったでしょ』

『まぁな。鱗が魔素でできてるから、鉱物とかにもなじみやすいし、何故か俺の鱗は、俺から離れても消えたりしないからな』


 通常、魔素で構成されている身体は、千切れたり、取れたりした場合、消える。死んだ場合も消える。

 魔素で身体を構成しているレーラーがそういうのだから間違いないのだろう。


 だが、俺の場合は違う。

 俺の身体から鱗が剥がれても消える事はないし、たぶん、俺が死んでも消える事はない。理由は分かっていない。


 なので、時間さえ経てば再生することもあり、俺は相当数の鱗を“森顎”と“森彩”に組み込んである。

 魔素で構成されているからか、好物などに溶け込んで混じり合う事ができるため、魔力伝導率やその他諸々の性能が上がるのだ。


 まぁ、もちろん、鱗を剥がすのはとても痛い。激痛が走る。

 が、ライゼの命を守れるのだ。背に腹は代えられない。


『でも、やめた方がいい。いつか取り返しの付かない事をやりそうだし、それにペレグリーナーティオトカゲは、自分の身を犠牲にして死んでいった数が多い。人間に飼われていたのに、滅んだのはそれだし』

『……まぁ、気を付けるよ。ありがとな』

『仲間だから。それにヘルメスはもっと周りを見た方がいい』


 確かに血肉を切り売りするという事は、身を滅ぼしかねないからな。

 ただ、まぁ、ライゼには俺の鱗を持ってもらいたいと思っている。お守りというか何というか、安心できるのだ。

 

 酷く醜く可哀想な感情かもしれないが、それでもそう思う。

 けど、レーラーのように心配してくれる仲間もいるので、控えようとは思うが。まぁ、俺の魔道具師としての技術があがれば、俺の鱗を使う必要はなくなるのだが。


 つまり、俺が未熟なだけなのだ。


 けど、俺はよく回りを見ていると思うんだが。

いつも読んで下さりありがとうございます。

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