四話 魔法店
という事で、レーラーは次に魔法店を訪れた。
魔法店とは魔法に関連する道具などを売っている所である。
『この柴霊晶とかはどうかな?』
柴霊晶はとある魔法を行使するときに使う触媒である。
確か、アンデット系の魔法に対して、高い触媒力を発揮するはずだ。
『どうだろな』
ただ、俺はYesともNoとも言わない。これは圧倒的に駄目というラインではないので、後はレーラーの感性やら何やらで決まる。
レーラーもそれを感じ取ったのだろう。必死に悩んでいる。
と、そんなレーラーに若い女性の店員が近づいてくる。
レーラーもそれに気が付き、幸いと声をかける。
「ねぇ、ちょっといい?」
「はい、もちろんでございます」
「十二歳くらいの男の子が好きそうな魔法アクセサリーって何?」
「魔法アクセサリーですね」
魔法触媒はそのまま使う事は少ない。
何かしらの装飾品、アクセサリーに組み込んで使うことが多い。
それが分かった店員はレーラーをとある場所へと誘導していく。
レーラーは粛々とついて行く。
「今、十代の魔法使いに人気な魔法アクセサリーはこちらですね」
そこには柄に孔があいた短剣があった。
「この孔の中に好きな宝石系の魔法触媒を埋め込むのが流行っています。その他にもこちらの杖も人気ですね」
次に店員は金属製の杖を取り出した。掌サイズに収まる程度の杖で、緻密な幾何学模様が描かれていて、魔力補助があるのだろう。
そして、所々に小さな孔があいている。
「こちらもはあらゆる魔法全般の魔力補助がついており、また、所々にある小さな孔に宝石系の魔法触媒を埋め込むことができます。短剣よりは孔が小さいため触媒効果は低下しますが、複数の触媒を埋め込むことができるため、応用性があり人気ですね」
「ふーん」
レーラーは少しだけつまらなそうに見ている。
俺もそれには同意だ。
短剣の方はまだいいが、杖はライゼにとっては完全に邪魔にしかならない。というか、杖は素材はとてもいい。魔力伝導率も高いだろうし、魔力親和や魔力成長の能力も高い。
だが、それを全て魔力操作補助にふっているため、素材の割には低い効果しかだせていない。それに、魔力操作補助が強すぎて、強制的に魔力操作をさせられてしまうため、自由に魔力操作ができなくなる。
「ねぇ、魔力操作補助がないのはないの?」
「魔力操作補助がない奴ですか」
店員は困惑している。
まぁ、十代の魔法使いが使う魔法アクセサリーだ。魔法はまだまだ見習いに近いし、魔力補助はあった方がいい。
それに、魔法使いとして仕事をしているいわゆる大人の魔法使いも魔力補助がある魔法アクセサリーを好むのだろう。
「うん。正直、ここまで補助があると自由に魔力操作できなくなるからね。だから、この素材で作っていて、何の補助とかがない奴がいいんだけど……」
「……かしこまりました。少々お待ちください」
店員さんは深々と頭を下げた後、奥へと引っ込む。年配の店員さんに事情を話している。
レーラーはその間に、色々な魔法アクセサリーを眺める。俺も首元から覗いてい見る。
『意外と面白いのがあるな』
『うん。例えばこの足輪とかいいね。ライゼは〝防御する魔法〟を足場にしたりするから』
『なら、今度、ライゼの靴を魔道具化してみるか。多分、これと同じ材質を使えばいい感じになるだろ』
『……そうなんだよね。ヘルメスったら、高難易度か、一般的に知られてない機構以外の魔道具はある程度作れるんだよね』
魔法アクセサリーよりも魔道具の方が性能が上だったりする。
魔道具は、魔法補助に加えて自立魔法も組み込まれているためだ。魔法アクセサリーは魔法補助だけである。
『まぁ、魔力量と魔力操作技術はそれなりにあるからな』
『……だとすると、魔法アクセサリーはどうなんだろ。ヘルメスが作った方が性能がいい奴が贈れるだろうし』
レーラーは少しだけ悩む。
『そういうのは気持ちが大切なんじゃないか? ベタだけど』
『……そういうもんかな』
レーラーは悩む。
そんな悩んでいるレーラーの元に、先程の若い女性の店員が初老の男性の店員と共に戻ってきた。
「お待たせして、申し訳ございませんでした」
「いや、大丈夫だよ」
女性が深々と頭を下げて言う。初老の店員も頭を下げる。
そして、話は初老の店員がするらしい。
「お客様は補助付与がされていない魔法アクセサリーをご希望なのでしょうか?」
「うん、一応。ただ、補助付与なしは少ないからね」
「はい、本当にその通りで恐縮なのですが、当店では取り扱っておりません。代わりにといってはなんですが、他に何かご要望はないでしょうか?」
「うん。だと思ったから、特別な効果をもった栞とか、日用雑貨とかない?」
なるほど。
性能の優劣が必要ないような種類に転向したのか。
にしても、日用雑貨は兎も角、栞ってなんでだ?
「特別な効果がある日用雑貨ですか……」
初老の店員は悩む。
本当は、エルフの客に騒がられても面倒だから出てきたんだろうが、それでも魔法に関係する品々を代わりに要求させられると思ったのだろう。
しかし、蓋を開ければ日用雑貨である。
若い女性の店員は不可解な目でレーラーを見る。
「失礼ながら、お客様はプレゼントをお探しですか?」
「うん」
初老の店員は情報を集めようと頑張る。
「そうですか。それと、ここには旅の途中でよった感じでしょうか?」
「そうだね」
「なるほど、なるほど」
初老の店員はワザとらしく頷きながら、レーラーを誘導していく。移動していく。
女性の店員はついてこないらしい。
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