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転生トカゲは見届ける。~戦えない俺は旅の足となる~   作者: イノナかノかワズ
第一部 三章:世界はあなただけのもの

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プロローグ See, Hear, Think――b

第一部、アイファング王国編最終章です。

「だから、王族とかは嫌いなんだ」


 神の造形物かと思うほど、美しき無機質な深き森人(ハイエルフ)は艶めく金髪を靡かせ、残念そうに溜息を吐く。

 その後にいた童顔の平凡そうな子鬼人の少年も同じく残念そうに溜息を吐く。


「レーラー師匠。僕も同意だよ」


 俺の背に乗った師弟は、別々の魔導書を読みながら同意をしていた。

 まぁ、俺も同意ではある。


「昔から、損失と利益でできているからね。今回は私とライゼを擁護して得る利益よりも面子を失う損失の方がでかいからさ。はぁ」


 魔法研究が半ばであり、学園の禁書庫にある魔導書の解析も終わっていないかったため、レーラーは深い溜息を吐く。 


「そう? レーラー師匠は生きる英雄だし、恩を着せた方が良いと思うんだけど」

「だから、私自身がこの国にいると知られること自体、面倒なんだろうね。自慢じゃないが、やろうと思えば小国くらいは落とせるからね。野心ありってなって、周辺国から非難囂々(ひなんごうごう)さ」

「……確かにそうかも」


 確かにそうだな。擁護して恩を着せれば紐付きになったと公言するようなものだ。

 それによって、レーラーはアイファング王国の兵器だと謳い、世界の英雄を兵器扱いしたこととかで、戦争やら何やらを引き起こす材料となってしまう。

 生きる伝説も面倒だな。


「まぁ、だから、私の存在が公になる前に、圧力を掛けて追い出したのさ。と言っても、私も厄介事は嫌だから、両者の利害が一致したみたいなところだけど」


 レーラーもあまり、国には肩入れをしたくないんだろう。すると、面倒なのは分かるだろうし、何より彼女の気質に合わない。


「けど、それもこのファッケル大陸だけだからね。他の大陸にいけば問題はない」

「じゃあ、アンツェンデル大陸に行くの?」


 今は北西に向かって歩いている。そして丁度、俺達が向かおうとしている場所は世界の中央付近。一番寒い所だ。


 この世界は地球と真逆である。

 北と南は暑く、中央が寒い。


 地球で言うなれば、北極と南極が一番暑く、赤道付近は一番寒いというわけである。太陽の動きなどは地球と変わらないのに、なぜそうなるかは分からん。

 疑問で頭が埋め尽くされるがそういうものだろうと思ってる。


「いや、先にウォーリアズ王国に友人がいるから、そこに寄る。ほら、一人を除いて死んじゃったから、弔いというか、何というか、そのために軌跡を辿る旅をする事を報告しようと思ってさ。それにその友人も、もうそろそろ寿命で死ぬはずだし」


 友人が死ぬと言ったのにレーラーは相変わらず無表情だ。

 けれど、翡翠の瞳は少しだけ濡れている。

 たぶん、何度も何度も濡らしたんだろう。後から聞いた話だが、レーラーは幾分か共に過ごした人たちが死んだら、その人との思い出を巡る旅を毎度、何百回、何千回もやってきたそうだ。


 それでも彼女は慣れる事がなかったんだろう。

 慣れないようにしてたんだろう。


「だから、彼の死を見送って、野辺送りした後、アンツェンデル、イグニス、ヒメルの順に旅をするよ。私はそこで銅像やら絵やらの修復をしたり、魔導書収集でもするつもりだよ」

「……そうですか。なら、僕は先生の軌跡と英雄譚を調べたり、それに多くの人に『くだらない魔法』を披露するよ」

「私に聞かなくていいの?」

「それも含めてだよ」

「ふぅん」


 レーラーはそっけなく頷く。


『ヘルメスはどうする?』


 と、そんなレーラーは二人を運んでいる俺に訊ねる。


『俺はお前らを運ぶだけだ。俺はライゼの一生を共に歩きたいだけだから、旅に付いて行く』

『そう、なら、二十年近くは一緒にいるね』

『……レーラー師匠、そんなに掛かるんですか?』

『そんなに? 二十年って一瞬じゃん』


 そういえば、レーラーは少なくとも千年は生きてるんだった。

 不老だと時間間隔が狂うんだろうな。いつか、俺もああなりそうだ。


『大丈夫だ、ライゼ。旅の足は俺だからな。俺が速く移動すればそれだけ旅路は短くなる。……まぁ、けど、ライゼが死なない時の中でのんびりと旅を楽しもうぜ』

『……分かったよ』


 ライゼは少しだけ生き急いでいる。それは悪い事じゃない。

 それにここ最近は余裕がでてきたから、前よりも生き急いではいない。


 けれど、もっと、豊かにのんびりとした視点で世界を見てほしいとも思っている。

 俺の勝手な願望だ。


 けれど、まぁ、問題はないだろう。

 流れるままに、流れに逆らい、ゆっくりと歩いて行けばいい。


 俺は自由都市へと向かって歩いた。

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