遭遇10回目くらい。 〜ゲームのお誘い〜 前編
「なあ、ゲームしない?」
それからさらに何度か顔を合わせたある日、ひらりんが聞いてきた。
「ゲーセンですか?」
変質者スタイルの人とゲーセンは勘弁願いたい。
「いや、家庭用ゲーム。今度テレビで対戦ゲームをやる企画があるから練習したいんだよね」
「ああ、ひらりんぼっちですもんね」
遊ぶ相手がいないのか。
「だからぼっちじゃねぇよ!」
またまたー。
生温かい目で見たら、ひらりんが深呼吸をした。
「すぅー、はぁー」
どうした。
「よし、じゃあ1時間5000円でどうだ?」
「なんですかそれ怖い」
いきなりなんの値段ですか。
「レンタル友達?ていうのあるらしいじゃないか。それだそれ」
「ええ…」
ひらりん…
「憐れんでんじゃねぇ」
うーん。どうしようかな。家に上がるのはちょっと躊躇するところではあるんだけど。
「わかりました。いいですよ、付き合いますよ。ゲームくらい」
「ほんとか?いくら払えばいい!?」
食いつきすぎですよ、ひらりん。それと本当に払う気でいたんだ…。
「お金はいりません。死んだじいちゃんが、かわいそうな人には優しくしろってよく言ってたんで」
「誰がかわいそうだ」
「すいません。私的にはお金で友達買わなきゃならない人は十分かわいそうです」
「…真顔で謝るな。効く」
しまった。ガチで凹んでる。
「まあまあ。ひらりんは今無料でゲームに付き合ってくれる友達を手に入れたわけですし」
ぽんっと肩を叩いたら、パッと表情が明るくなった。チョロいなー。
「っ!そうか!」
「その代わり、なんか美味しい食べ物取ってくださいね」
「任しとけ!」
やった!美味しいご飯、ゲットだぜ!