67) 勝敗なんて、どうでもいいんだけどさ
控えめなペルタは武器を狙うだけにとどめるようだが、せっかく攻撃許可が出たのならば挑戦しておくべきなのかなとも思う。
なので、俺は一撃必殺で……いやいや必殺は拙いよな。
手際よく一撃で敵さんの戦意を挫くには、どうしたら良いものか。
ふと、院長先生の部屋にあった本の中身を思い出す……たしか、人体の急所について、だったっけ。
子どもの俺に誰かをどうこう出来るとは思えない。
けれども、狙う場所によっては多少の加減は必要そうだ。
命を取らずに最小限の力で昏倒させるには、うむむぅ。
正確な攻撃と力加減、速さとタイミング……ぶっつけ本番で大丈夫だろうかね。
いやいや、駄目でもやらなきゃやられちゃう。
ああもう、いい加減に腹を括らなくては。
先ず首は間違えるとヤバいらしいから却下、その上部の後頭部とかならば……比較的に骨と筋肉で保護されているから、どちらかといえばマシかも知れない。
あとは、身長差的に胸骨とかみぞおちとかが狙いやすいかも、とは思う。
その他の細々した部位は技術的に無理そうだ。
うぅん、四の五の言ってる暇はなさそう。
あちこちから木剣の切っ先が向けられちゃってるんだよ。
小回りがきくのは、小柄な体格の良い点ではある。
切実に、もうちょっと身長が欲しいんだけどさ。
「こら、待てっ」「逃げてばかりな卑怯者めっ」
「この、このっ! ちょこまかと小癪な奴だっ!!」
険悪野郎の舎弟たちがイライラしている。
ふふん。そう簡単に捕まってやるもんか。
多少の怪我は覚悟の上だが、打たれ放題になってやる気などサラサラないから全部避けた。
敵の脇をすり抜け股の下を掻い潜り、右往左往で撹乱してやる。
「うぉっ!?」
「んなっ!!」
「んがっ!!!」
基本的に背後から木剣で後頭部に軽く打ち込み、ときには正面から向き合って肋骨を狙う。
面と向かうと恐怖心が増すので力みがちな自覚はあった。
自分的には及第点かなぁ、いちおう一撃で仕留めていると思うんだ。
ばったりバタバタと、舎弟たちをなぎ倒す。
うんとね……肋骨、ポッキリしていたらごめんね?
力加減の余裕はないんだよ。
嫌だったら、素直に後ろから打たれてくださいよ、っと。
「……がぁっ!」
あ、木剣の柄を使っても良い感じ……かも知れない。
もう、形振りかまっちゃいられない。
「ふぐぅ……%&$#”*◆」
ほほぅ。大きい相手ならば金的だって有効だね。
気がつけば、まわりに木剣を持った奴らは居なかった。
だが、ペルタに武器を弾かれた素手の輩は諦めが悪かったらしい。
中途半端な自信は怪我の元だと思うんだけど、連中は武器がなければ体術で何とかしようと考えているみたい。
残党の数は五人。
ペルタはそいつらを打ち据えようと木剣を構えるが、それを抑えてさがらせた。
そして俺は木剣を脇に置く。
体術勝負ならば、同じ条件で受けて立つ。
こいつらのことだから、あとで卑怯だとか言い出しそうなんだもん。
体格差? まぁ、そんなのは今更じゃん?
中途半端な自信は怪我の元、わかっちゃいるさ。
とはいえ、これ以上はペルタを巻き込むつもりはないんだよ。
俺はあの田舎村で喧嘩上等で生きてきたが、彼は違う。
ペルタだって特別上品に育ったわけではないのだろうけれど、宿屋の息子にいきなり取っ組み合いの喧嘩をしろとはいえないじゃんか。
目の前の敵を睨み回す。
「お前らがここで引くなら、おれも引く。さあ、どうする?」
ほんの一瞬だけ場がたじろいだが、誰からともなく拳を握り全員が睨み返してきやがった。
へーぇ、なるほど。満場一致で俺とやり合いたいみたいだね。
「ならば遠慮無しでやらせてもらう。お育ちが少々お下品なもんで、金的噛みつき引っ掻きなどなど何でもありなのはご容赦を。おれはちゃんと確認したんだからな? 恨むなら、ここで引かなかった自分を恨めよ?」
何なら髪の毛だって毟り取ってやんぜっ……て挑発したら、次々と襲いかかってきやがった。
一人目、金的!!
「ぅあうぅぅっ……※@#$&■///%!!!」
二人目、鳩尾パンチ……っからの、飛び蹴りっ。
「ぐぇ、ぐほぁ!!」
おっと、屈んで拳を避ける。
その反動で、頭突きをお見舞いだ。
「うがぁ〜……」
ふう。これで、三人目。
ぐえっ、やべ。
四人目の奴が背後から羽交い締め。
五人目が俺の鳩尾に拳を捩じ込み、不覚にも昼飯を吐きそうに。
「ぐぅ……っっぷ」
なんの、これしき。
「……ぅがっ」
二発目を頬にもらったが、同時に相手を両足で蹴飛ばした。
「んがぁ!!」
あ、思わず全力でやっちゃった。
ああ、骨が無事だと良いのだが。
さて、最後の一人は俺の後ろに居る奴だけ。
このままの体勢じゃ身動きが取れないな。
できれば思いっきり足を踏みつけてやりたいが、身長が足りなくて無理である。
大変に腹立たしいことだが、現実は厳しいね。
それならば、頭があるってことで。
頭を前傾姿勢にして、そこから思いっきり背後に向かって振りかぶる。
「うわっ」
敵が怯んだところで腕をガブリ。
「イテテ。痛てぇっ!!」
肉を噛みちぎるつもりで、更にガブリ。
「ぎゃぁぁ、痛たたたたたっ!!!」
振り切り投げ捨てられて、地面に転がる。
そしてすかさず起き上がる。
間髪入れずに助走をつけて、飛び蹴りだっ。
「ぐがぁっ……」
よっし、決まったぜ。
まぁ、当たり前といえばそうなのだけれどさ、このとき場内に立っているのは俺だけになっていた。
これでマジで書き貯めゼロでございまするぅ(泣)
でもでも、後悔はしていないっww
読者の皆さま、ここまで読んでいただき誠にありがとうございます♪♪
お休みをたくさん入れつつも、まだまだノロノロ書き続けますので……今後ともどうぞよろしくお願いいたします(_ _)☆




