58)ペルタと自主練習
お久しぶりでございます(>ω<)☆
ちょこっと一話分書けたので、こっそり投稿いたしました。
もうしばらくお休みをさせていただくことになりそうですが、どうか忘れないでね&チマチマと書いてますよ〜っていう、謎のアピールをやっちゃう作者です。
どうぞ読んでやってくださいませね(_ _)♪
(じつは見直し甘めなので……ヘンテコなところがあったらゴメンナサイです ^^; )
辺境騎士団の訓練場でペルタと二人で居残り練習をすることにした。
成人を過ぎた騎士団候補生の先輩方は、午前の訓練が終了すると素早く昼食に出掛けていった。
街中の食堂で思い思いに食事を済ませたあとは、正式な騎士である正騎士たちと領都内の見回り業務があるという。
俺とペルタと、あと数人ほどの未成年者が残ったが……俺たち以外は家業の手伝いなどがあるらしく自宅へ帰っていったのだった。
ペルタは俺に付き合ってくれることになったので、近所のやつに夕方まで帰らないと自宅への伝言を頼んでいた。
彼の家は領都でも名の知れた大きな宿屋なのだとか。
使用人や年上の兄弟たちが大勢いるから、たまに手伝いを休んでも問題ないと言ってくれたのだった。
なるほど。意外と良いところのお坊ちゃんだったみたいだね。
広々とした貸し切り状態の訓練場ならば、いくら木剣をスッ飛ばしても危険はないだろう。
もちろん、ちゃんと握り方から学ぶべきだけど。
そんなわけで、ペルタに剣の握り方から教えてもらうことになったのだ。
それなのに、薬師さんがニヨニヨ笑いながらこちらに寄ってきたんだよ。
どうやら先程の件を一部始終見ていたらしい。
ちょっとばかりバツが悪いので、むくれてみる。
「……むう。体力づくりが最優先だって、今まで走り込みばかりしていたんだもの……仕方がないじゃんか」
「っく、……クックック……」
しまいには顔を背けて笑いをこらえてるよ。
「……クッ。ごめんゴメン、馬鹿にしてるわけじゃないんだよ。期待を裏切らない思いきった素振りだったもんでさ……」
「……思いきりすぎて飛ばしちゃったんだけどねっ。ご期待に添えたようで何よりだけどもさ」
薬師さんの言葉とは裏腹に、俺は思いきり馬鹿にされてる気がするんだよ。
変なふうに我慢しなくて良いから、いっそ笑いたければ思いっきり笑い飛ばしてくれ。
ペルタに薬師さんを紹介して、三人で剣の握り方を自習する。
「親指の付け根にっすね……こう、柄の裏刃側を……そうそう、そうっす。んで、こっちの縁に指を……ですです、それで大丈夫。これならスッポ抜けないはずですよ……」
ペルタは説明とともに実際の握り方を修正してくれて、剣の各部分の名称すら覚束ない初心者には有り難い先生役だった。
しっかり握った木剣を、二人でブンブン振り回す。
あとは午前中に皆で揃ってやった素振りの型を、ひたすらに繰り返す。
うん、良い感じだ。
これならば木剣をふっ飛ばさなくて済みそうである。
半刻ほど過ぎた辺りで、そういえば腕だけの動きしか教えてもらってないなって思い始めた。
重心っていうんだっけ? 身体のバランスを取るために的確な場所に体重をかけると、それが移動するらしいんだよ。
院長先生が言っていたんだけど、脚の動かし方……運び方にも意味があるんだって。
理屈はわからないけれど、バランスをとることが大事なのは経験で知っている。
ウッカリすると転んだり、思ったように動けないんだよね。
木剣を振り上げるときは前後に開いた脚の後ろ側に体重をかけ、振り下ろすときはそれを前側に移動する。
向かい側で黙々と木剣を振っているペルタは自然とそれが身についているらしくて、剣筋に勢いがある。
ペルタを見本に、それだけを見様見真似でやっているんだけど……なんだか、この動きだけじゃ退屈になってきた。
木剣の振り方も、実際の戦闘ではこの単調な動きだけで対応できるとは思えない。
うぅむ。
困ったな。
単調で、退屈だ。
そんな雑念が脳内でグルグルしはじめた頃に、ずっと静かに側で見ていたオルンさんが何の気なしに質問をしてきた。
「ええと、辺境騎士団では素振りの型は一つだけなのかい? こういうのって相手の体格や動きとか得物によって、色々な動作を想定するんじゃないのかな?」
薬師さんの問いかけに、ペルタはきまり悪そうに答えた。
「はい。色々な構え方や型で対応できれば勝率も上がりますし、腕も上がると思うっす。でもボクが教えてもらえたのは、これっきりなんですよ。振り方も、こういうのしか知らないんす……だから、先ずはこれ一つをガッツリ練習してるっす」
詳しく話を聞いてみると……見習い騎士として入団してから半年の間、それ以上の事を教えてもらっていないらしい。
たしかに今日の訓練でも、俺たち年少組は素振りだけだったなと思い出す。
成人した先輩騎士候補生が模擬戦を繰り返すばかりで、俺たちは道具の手入れや片付けなどの雑用を申し付けられた。
残った時間は訓練場周りの草むしりに勤しんだ。
未成年組は全員そんな感じで、数ヶ月も経った頃にはやる気が激減した者が多いのだとか。
ペルタと年の近い年少組は今残っている数人だけで、他の連中は途中で飽きて退団していったそうだ。
つまらない訓練なんて時間の無駄だからと、彼らは家業の手伝いや別の仕事を探した方が有意義だと言い出した。
ペルタにまでもそう強く説得してきたという。
「宿屋の手伝いが嫌なわけじゃないんすけどね……ボクは兄貴たちとは違う道に進みたくて。家族に末っ子の甘ったれとバカにされるのは我慢ならないんで。伝手もいらずに自力で頑張れそうな進路が騎士団だったんっす」
自力で立派な騎士になりたいんすよとペルタは言った。
「でも、正直に言わせてもらえば……もっと、ちゃんと教えて欲しいなって思ってます。教官たちには、とてもじゃないけど怖くて言えないっすけどね。下っ端の見習いが生意気だって叱られますから……」
成り行きに流されて訓練に参加している俺と違って、真剣に将来の職業として騎士を目指している彼は……ちょっぴり悔しそうに見えたのだった。




