表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/73

40)王都での十日間



 結局、レナたちとのイザコザは決着が曖昧(あいまい)なまま流された。


俺が皆を裏切った疑惑はどうしたのかと突っ込んで聞くのも面倒くさいので、そのまま放って置く方針である。


何やら同情的な視線を送ってくる以外は、喧嘩(けんか)を売られることもなくなり平和になったので文句はない。






 それから、オルンさんは約束どおりに俺を散歩に連れ出してくれたのだ。


孤児仲間たちと和やかに昼ごはんをごちそうになったそのあとで、薬師さんと二人で大通り沿いをブラブラと見て回るだけだったが予想以上に楽しめた。


綺麗な服が飾られている店先の飾り窓を(のぞ)いてみたり、狭苦しい場所にみっちり本が押し込まれている小さな本屋さんに立ち寄ったり、見るもの全部が初めて尽くしで新鮮だ。




 来るときに気になったパン屋さんにも寄ってみた。


店内に入ると、店主らしきあのエプロン姿の大男がカウンター越しにいらっしゃいと声をかけてくれた。


「おや、見ない顔だね。はじめましてかな? うちの丸パンは大きくて味も食べごたえもバッチリなんだよ。看板商品(かんばんしょうひん)さ」


「これは……思ったよりも大きいですね。一度には食べきれないかも」


「ははは……君は少食だものね。オレなら丁度いい大きさかな〜」


平籠(ひらかご)に山盛りになっている丸パンたちを眺めながらの会話。


そうだね、オルンさんってば意外とよく食べるんだよ。


そんなやり取りに大男(てんしゅ)がアドバイスをくれる。


「切り分けてサンドイッチにするのがお(すす)めだね。固くなっちまったら軽く(あぶ)って燻製肉(くんせいにく)と食べてみると良いよ……熱々スープに(ひた)して食べるのも(うま)い」


「そっか。皆で分けて食べたら良いし、残っても美味しい食べ方があるんだね」


「おう。そういうことさ」


大男はニヤリと笑顔でグッとパン挟み(トング)(はさ)んだパンを持ち上げて見せてくれた。


パンが大きめサイズなので、それを挟むための道具(トング)も大きい。


それに、売っている店主も大男。


店は手狭(てぜま)そうだが、店内のモノたちが大きめなせいかも知れないね。


オルンさんが店主に声をかける。


「それじゃぁ、商会の皆にお土産代わりに買っていこうか。十もあれば足りるか……えっと、その丸パンを十個と保存食用の(かた)パンを二袋でいくらかな?」


「丸パン十個で二ローク、銅貨二枚。堅パンは五ヴィタ、白硬化五枚。……全部で二ローク五ヴィタだよ。まいどあり〜」


たくさん買ってくれたからと、オマケでジャムの小瓶(こびん)をつけてくれる太っ腹な店主だった。


大きな紙袋を手にオルンさんと二人で商会に戻った。


厨房に寄って差し入れとして料理人さんに丸パンの包みを渡したら、とても喜ばれた。


丁度これからお茶の用意をするところだったらしい。


「おや、大熊パン店の丸パンをこんなに沢山。焼き上がるとすぐに売り切れるからタイミングが合わないと中々買えないんですよ、これ。ラッキーでしたねぇ」


そんなワケで、料理人さんが腕によりをかけて美味しいサンドイッチを作ってくれることになったのだった。


お茶の時間は、行商人さんたちも孤児仲間もお腹いっぱいになるまで丸パンサンドを頬張(ほおば)った。


パンは柔らかくてフカフカで、中身の燻製肉や野菜も美味しくて、旨々だった。









 孤児仲間たちは数日ルカート商会に宿泊させてもらって、それぞれの進路ごとに商会を旅立って行った。


今後もこの商会で働くことに決まっていたソックリ顔四兄弟の長男(ダング)次男(ベルム)は、見習いとして早速しごかれているようだ。


新入りがいきなり計算や帳簿の仕事を任されるわけもなく、挨拶や掃除の仕方などから教えてもらっているらしい。


休憩時間になると、今日はこんなことを教わったなんていう話を俺にまで教えてくれたりするのだ。


「地道に(かせ)いで弟たち(ふたご)と一緒に暮らせるようになりたいんだよ」


「あいつらには、ちゃんと学校で勉強をさせてやりたいし」


口々に弟たちのことを語る。


二人とも良い兄貴なのだ。





 そして、俺はというと……未だに商会でご厄介(やっかい)になっている身の上だ。


オルンさんが言うには、十日間はこのルカート商会に留まって辺境からの迎えを待つ事になっているのだそう。


その間にフーレ服飾店に注文していた礼服一式が届けられたり、オルンさんに基礎的な勉強を教えてもらったり、商会のエリゼ副商会長直々に簡単な礼儀作法などを叩き込まれたりと……色々あった。会食マナーとか立ち居振る舞いなどなど……うん、それはもう色々と叩き込まれましたとも。


じつは夜寝て朝起きると半分くらいは忘れちゃってるんだけどね。


オルンさんもエリゼさんも、それでも実に根気強く教えてくれてありがたいやら申し訳ないやら……文字は読めるんだけどさ、知識が(かたよ)りすぎているって呆れられちゃったんだよ。


だって仕方ないじゃんか。


俺の世界は、あの田舎村と先生の本棚だけだったんだもの。









いつも幻想百貨店を読んで頂きありがとうございます。

なかなか書き進めができずにご無沙汰してしまってまして、誠に申し訳ございません。

ノロノロながらもチョットずつ執筆を進めておりますので、今後ともお気楽のんびりペースでお付き合いいただけるとありがたいです(_ _)


5月に入り、季節は春から初夏へ。

巷ではGWなるキラキラ週間の話題で盛り上がっているみたいですね♪

作者もちょっと浮かれて便乗しちゃおうと思い立ち、本日より四日間の連続投稿を決行しようと思いますww

これで書き貯め貯金は振り出しのゼロになってしまいますが、また地道に書き綴れば良いことですし。

相変わらずのチビチビ展開なのですが、お休み中のスキマ時間やお暇時間に楽しんでいただけたら嬉しいです(>ω<)☆


なお、この後書きは後日消滅予定となっております。

作者が消し忘れなければ……たぶんw

皆さま素敵な黄金週間を♪




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ