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36)行商人さんたちと




 室内に険悪な雰囲気が漂う。


目の前の女子たちに、今は何を話しても無駄かもしれない。


まあ、べつに信じてもらわなくても構わない。


でも、これだけは言っておくべきだろう。


「おれは自分ひとりで生きていけると思っていたけれど、全然ダメだったよ。皆が騙されて奴隷にされるって知ったときも、おれは絶望するだけで何もできなかったんだ」


普段がいくら生意気でも、子どもひとりに何ができる?


何にもできなかったさ。


「おれを含めて、ここにいる全員が行商人さんたちに助けてもらったんだ。おれたちは酷い目に遭ったけれど、救ってもらえたんだろ? 危機一髪だったのに、こうして皆に会えたんだ。商人さんたちに感謝してるよ。……皆が無事で、ホントに良かったと思ってる。信じてくれなくても構わないけど、おれは皆に会えて良かったよ」


それだけを早口でまくし立てるように言い放った。


うん、言いたいことは言ってやったさ。





 くるりと(きびす)を返して入ってきた扉へむかう。


ちょっとムカムカしちゃってて、ここに居たら女子たちと喧嘩になってしまいそうだった。


廊下へ出ようと扉を開ければ、その向こうにオルンさんが立っていた。


あれっ、もしかして……さっきからソコに居たのかな。


室内でのやり取りを聞かれてしまったかも知れないな。





 内心でちょっと焦っている俺とは反対に、オルンさんはのんびりとした口調で聞いてきた。


「おや、どうした? ずいぶんと早いけど、もう話は済んだのかい?」


もっと積もる話があったはずだったんだけど、そんな気分じゃないんだよ。


「うん。おれの言いたいことは言ったよ」


「そうか。それじゃぁ、ここからは行商人とここの商会の商人も話に混ぜてもらうよ」


「うん。ええっと、おれも居たほうが良いのかな? 気分転換に、ちょっと外の景色を見てきたいと思ったのだけど……」


このまま冷静に話をするのは無理そうなんだけど。


「ああ。悪いけど、気分転換はもう少しだけ我慢してほしいかな。皆の行き先を話しておかなきゃならないからね」


「そっか。……わかったよ」


我慢しろと言っているあたり、きっと女子たちとの話は聞かれちゃったのだろう。


それでもなお、一緒に居ろということらしい。


「話し合いが済んだら、隣の部屋で食事にしよう」


それが終わったら一緒にご近所を散歩してくれると、オルンさんが言った。


ここでゴネても仕方がないか。


室内へと体の向きを変え、慕ってくれる弟分たちのところへ。


彼らと四人で近くの椅子(いす)を引き寄せ着席したのだった。








 

 会議室とやらには人数分の椅子が用意されていて、今は各自が思い思いの場所で着席していた。


オルンさんの後から三人の男の人と、さっき一階で会った女性が入室してきて、入口付近に一列に着席した。


四人の大人が目の前にズラリと並んだせいか、ざわざわと会話をしていた孤児仲間たちも静かに彼らに注目している。


自己紹介だと言って、一番はじめに声を上げたのはオルンさん。


「はじめまして、オレは薬師オルン。君たちの院長先生の弟子だった者で、簡単に言うと皆の先輩にあたるかな」


そのあとに三人が続く。


「ここまでの道中で一緒だった子は知っているだろうが、改めて。私は魔石商人のヘゲルという。大都市をまわって魔法生物の魔石を売り歩いて生計を立てている」


ひょろりと細身で背の高い人物は、冒険者たちから買い取った魔石を都会の魔術師や付与師に販売するのを仕事にしているらしい。


魔術師は聞いたことがあるけれど、付与師ってのは聞き慣れない職業だ。


よくわからないけれど、どちらも魔石が必要な仕事みたいだよね。


「俺は古物商のオリッサだ。骨董品や古代の道具なんかを取引するんだが、おもな顧客は貴族や大商人が多いかな」


ガッチリとした体格で角張った顔が印象的なのは、古物商さん。


遺跡や迷宮から出た貴重な品や、貴族なんかに代々伝わる骨董品などを売買する商売なのだそう。


古物商は、掘り出し物と出会ったり珍しい物を見聞きできる良い仕事だと豪快に笑っていた。


商品を見極める沢山の知識と経験が必要な仕事らしい。


「おいらはボーダンという名だよ。田舎の村や町をまわって調味料やスパイスを売り歩いているんだ」


ふっくらとした優しそうなおじさんは元が料理人だったそうで、美味しいものがすき過ぎて味付けを追求するあまりスパイスを扱うようになったのだとか。


大陸中の美味しいものを食べ歩く食の伝道師だと、自らを紹介したんだよ。


「私は、ルカート商会の副商会長でエリゼと申します。皆さんよろしくお願いいたします」


最後はこの商会の女性従業員さんだ。


なんと、副商会長の肩書きをもつ偉い人だったらしい。


上品な身のこなしとニッコリ笑顔でご挨拶いただいた。


「ホントはもう一人、ルカート商会のご隠居が居たんだけれど……忙しい人でね、すぐに隣国へ商談に出かけちゃったから、今日は欠席ということで」


オルンさんが一人欠席と告げてから、大人たちの自己紹介が終わりとなったのだった。


そんなわけで……四人の行商人さんとルカート商会のご隠居さまが、今回俺たち孤児を救出してくれた大恩人だということがわかったのだった。









いつも幻想百貨店をお読みいただき、ありがとうございます。

じつは……このお話で書き溜め在庫が品切れと相成りましたっ(´;ω;`)ブワッ

この後はめちゃ不定期投稿となりますがしっかりチャッカリ書き続けてまいりますので、今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします。


年度内の投稿はここまでで、12月&1月はお休みをさせていただいちゃいます。

そんでもって、2月の中頃辺りから再開したいと考えておりまする。

お休み中にもちょこちょこと何かしら書いたり読んだりする予定で、気まぐれにヒョッコリこちらも投稿できるかもですが、ちょっとアテにならないので……気長にのんびりお付き合いいただけると有り難いです。


誤字報告やブクマ、応援&☆評価などなど、ホントに本当に感謝でございます。

ヘタレな作者は、いつも脳内で歓喜のフラフラダンスを踊っておりまする~~~ラララ♫\(*´∀`*)丿))〜♪♬


これから冬本番に向けて、益々寒さが厳しくなります。

先生もオバチャンも走っちゃう師走で、冬休みに年末年始と行事も目白押し。

忙しない日々ではございますが張切ってまいります。

読者の皆さまも、お体に気をつけて元気にお過ごしくださいませね。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします(_ _)♪



(この後書きは、1月になったら消滅予定となっておりますww ご了承くださいませ〜)


2021年12月                     代 居玖間 (* ̄(v) ̄*)


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― 新着の感想 ―
[気になる点] こじれた感じがどう収まっていくのか、2月からの再開を楽しみにしています。
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