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スカーレットの森  作者: 結姫普慈子
第一章 学園
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6. 初めての友達

 駐車場に車をバックして停めているところだった。

 キュッとタイヤが鳴る音がして車が停まった。

「一件落着~!」先生はそう言うと両手のひらでパチンと一回叩いた。「サクラが待ってるからさっさと行っちゃいましょうね」どうにもこの先生はせっかちなところがある。

 線香花火が着火から落ちていく時間までよりも早く駐車場を出ていくと、駐車場の暗がりから偽の太陽光で照らされた向こう側にサクラが一人佇んでいた。

 俺と先生はそこに向かっていく。やがてそこに着くとサクラは俺の頭一つ小さな身長だった。

「アンドーくん背が高いんだね。でも新しい体を手に入れなくちゃならないから、私よりもしかしたら小さくなるかもよ」サクラの声はとても透き通っていて名前の通りサクラ花弁をフィルターにして濾過されたお天気雨に思えた。

「コンピュータで新しい体を作るんだってな。俺はよくわからないが、一体どういうことなんだ?」

「私が説明するわ。魂だけを抜き取ってそれに相応しい身体をコンピュータが形作るの。ソウルフルでしょ?」とスカーレット先生が言った。

「私達生徒はそれは入学儀礼ではなくて生まれ変わりって呼んでるの。結構面白いわよ。一度だけだから楽しんでね」

「なるほどな、わかったこれから生まれ変わり、をやりに行くんだな」

「その通り。サクラも着いてくる?」

「うん。行く」

 そして先生は前へ歩いていき、俺とサクラは後ろをついていくことになった。

 こんな街みたいな建物の中で迷子になったらたまらない。先生の後ろ髪を凝視しながら歩いていく。

「そんなに固くならなくていいのよ。初めての学校で緊張しちゃった?」サクラが俺の横を歩きながらつぶやく。

「迷子になったらちょっと怖いから、先生をじっと見ながら進む」

「それだったら私が手をつないであげようか?」

「え?いいのか?」

「うん、いいよ」サクラがさっと俺の手をさらうとカラリと乾いた片手で握りしめた。「これで迷わないね」前を見るとスカーレット先生は後ろを振り向き口元で笑って見せた。

「姉としての忠告だけど、安パイ君は学校の救世主だからがっちり握りしめてあげて、初めて出来た友達がサクラ、あなたなら任せられる」

「うん!」


 やがて巨大なエレベーターの前にたどり着くと先生はボタンを押す。

 直ぐにエレベーターの扉は開き俺達三人は中に入った。

 先生は55階のボタンを押すと、扉は自動的に閉まりエレベーターは上昇を始める。

 床以外は透明のガラスで出来ている作りで外の様子がよくわかった。一階の部分は高さが30m位あるが、階数が進むにつれ高さは段々と低くなっていった。それでも天井が高いことに変わりはないのだけど。

 55階に着きエレベーターのドアが開いた。

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