54(最終話). 小説家
俺は研究所の書き物机で小説を書いていた。
後ろにはサクラとスカーレット姉さんと、それにイヴとステファニーがいた。
小説の名前は『スカーレットの森』だ。
俺はこの小説に今まであった世界を封じ込めることにした。
キーボードをタイプしながらスクリーンに文字を入力していく。
しばらくすると過去の俺たちがやってきて、イヴの世界に入っていく音が聞こえた。
俺は小説を続いて書いていく。俺がやっているのは俺の世界を新しく作ることである。イヴの世界と同時に存在するのではなく、死んだままの物語として封印する。
そこに救いわない。
サクラが俺のほっぺたに自分のほっぺたをくっつけてくる。スカーレット姉さんの吸っているマリファナの匂いが室内に充満していた。
俺はじっとタイプし続ける。俺は小説家になる。この先、無限に小説を書いていく。死した物語を封じるものとして。
ライヴ感は生まれたあと直ぐに死んでいく。それは神の捧げ物なのだ。
●
●
●
●
●
気がつくと、次の日になっていた。どうやら世界は救われたようだ。この世界が壊れるタイムリミットを過ぎたのだ。
「さあ、帰りましょう?書き終わったんでしょ?」スカーレット姉さんが俺にそう言った。
「終わりました。未来に帰りましょう」
「やっぱりアンドー君は救世主だね」
「いいや、俺は小説家さ」俺はそう言って、この世界をあとにした。




