49. 砂は魂の星屑
「私の名前ですか?ムトウです、無い砂糖と書いて無糖」その礼儀正しい兵士はそう言った。
「へぇ、無糖さんって言うんだ」と先生が言う。
「そうです、ちなみにコーヒーにはミルクと砂糖を入れます」
「そこまでが自己紹介なの?」
「その通り!へっへっへ」
「そういえば、なんで無糖さんは街のことがわかっているんですか?初めて来た場所なのに」とサクラが聞く。
「イヴに聞いたんです。あなたの魂の中はどうなってるいるのかと、そうするとイヴは地図を書いてくれました。私はそれを記憶しているんです、ただそれだけですよ」
「ふ~ん、なるほど」とサクラが言っている。俺たちは街の中心部に向かっていた。次元上昇機へと向かっているところである。
「ここは見ての通り砂地ですが、緑がある場所もあるんですよ。しかしここは神聖な地なので砂なのです」
「砂は神聖なんですか?」と俺が聞いた。
「砂は魂の星屑ですから、イヴの魂の」
「星屑かぁ、ちょっとロマンティックだね」とサクラが言った。「ねぇ、アンドー君。手をつなごうか」
「いいぞ」そう言って俺たちは手をつないだ。
一面、砂の国は空気はひんやりとしているが、太陽からの陽ざしがとても暑かった。サクラの手も少し汗ばんでいる。サクラのローファーの靴が地面を踏みしめる度、その模様が砂地に残る。
「今の季節はどこも暑いのね~」と先生が言って手を団扇にする。
「そうですね」と兵士が言った時であった。急に太陽が黒い星に隠されて暗くなる。その黒い星は大きく、しかし月のようには輝かないで辺りを黒い光で満たしていく。
「急に暗くなりましたね、あの黒い星はなんですか?」
「おそらくイヴの眼球でしょう」
「イヴの眼球?」
「よく見てください、目玉のようでしょ?」たしかによく見るとそれは目玉であった。それが太陽の下にある。
「イヴは私達を見ているんですか?」
「見ている、というより感じているんでしょうね。私はそう思います」
やがて街の中心部にたどり着く。中心部は駅のようになっていた。
「ここが街の中心部です」と言って無糖が先を行って駅の中に入って行く。
駅の中は大勢の人がいてその中から、女の白いシスター服のようなものを着た人が近づいてくる。
「外の世界から来た人でしょうか?」その女性がそう言う。
「ええ、そうです。私は無糖です、こちらはスカーレット先生で、こっちはサクラちゃん、こっちは安パイ君です」
「どうぞ、よろしくお願いします」その女性はそう言って軽く微笑んだ。「エレベーターを使うのですか?」
「はい、そのつもりです」と先生が言った。
「こちらに来てください」そう言って女性のあとをついていくと白い床に座って目を閉じている人が辺り一面にいた。その数は数千人いた。
「これは一体・・・?」
「このネックレスが次元上昇機です。意識だけを飛ばして上の世界に行くんです」と言ってエメラルドの宝石が一つはまったネックレスを俺たちに渡してきた。「どこまで行くつもりなんですか?」
「ステファニーとイヴがいる場所までよ」
「それでは∞次元ですね。そこまでたどり着くには選ばれた人間しか行けません。しかしあなたなら行けるかもしれませんね」と言ってその女性は俺を見つめる。
「俺ですか?」
「頼んだわよ、安パイ君」
俺はエメラルドのネックレスを首にかけて、床に腰を下ろした。
目を閉じると学園でのエレベーターと同じように意識が上昇していくのがわかった。
「アンドー君、おそらく行く場所は学園の365階と同じだから」俺の耳元でサクラがそう言うのがわかった。




