48. 魂に相応しいセカイ
「それにしてもこのセカイにいると、なんだか心が穏やかになりますね」と俺が言うと、店内にさっき前の世界にいた武装した四人組が入ってくる。
四人組のうち一人の礼儀正しい人もいた。その人はラジオを肩に背負っており、ブラックのズボンから先生が学園の来るときに言っていたカセットを手にするとそのラジオの蓋を開き中に入れる。
「YO!YO!」その礼儀正しい人のラジオから音楽が流れてくる。その曲はYMCKの『錆びた扉の第8天国』だった。
頭をリズムに揺らせながら俺達の席に近付いてくる。
「私達もお腹が空いたのでここにきたのです。YO!YO!このセカイは本当に素晴らしいですね。魂に相応しいセカイですから。皆さんもとてもイイカンジじゃないですか?」
「そうね、中々いいかな」と先生が答える。
「料理も美味しいし、ここに住んでもいいかも、私」とサクラ。
「私もとっても楽しいです!」と礼儀正しい兵士が言った。そしてその四人組は離れた席についた。
礼儀正しい兵士はラジオを机に置くとボリュームをひねる。更に大きく音が流れてくる。曲が変わる。
次の曲は菅野よう子の『i do』だった。古いように見えるラジオであるが、音質がとても良かった、ピアノの旋律が実にスムースで時の流れに合っていた。
料理を食べ終えたサクラはその曲を歌っていた。
サクラが歌うかたわらで俺と先生は話をする。
「それでどうやって探しますか?」
「ねぇ、兵士さん。ステファニーとイヴの行方はわかりますか?」と先生が聞いた。
「う~ん、おそらくこのセカイのてっぺんにいるんだろうけど、それにはこのセカイの次元を超えなければならないんだ。次元上昇機を使うといいよ。アイランドステーションにあるから。アイランドステーションはここの街の中心部にある。これを食べ終えたら一緒に行ってあげるよ。お前達とは別行動になるがいいか?」
「ああ、いいぞ、好きにしろ」と別の兵士が言う。
「ってことで決まりだ。ここの料理美味しいなあ」その礼儀正しい兵士はラーメンをすすっていた。どうやらネギラーメンのようである。「辛くて美味い!」
『i do』が終わると、Syrup16gの『サイケデリック後遺症』が流れる。
サクラがまたそれを歌う。「YO!」と礼儀正しい兵士がリズムを合わせる。サクラは小さな声で歌っていた。
「ねぇ、このセカイは壊れるの?」サクラが歌をやめるとそう先生に聞く。
「わからないわ。もしかしたら、本当に新しいセカイなのかもしれない」
「本当の救世主はステファニーとイヴだったんでしょう」
「それは違うわ。安パイ君がそうなのよ。ステファニーとイヴの二人もそれをわかっているわ」
「そっかぁ・・・。なんだか責任重大です」
「がんばるんだよ、アンドー君」とサクラが言った。




