30. サクラの散る頃には
サクラはやはりずーっと舞い落ちてきて、その落ちた花ビラは明るい緑色の芝生に着地すると吸い込まれていく。お風呂の排水溝のようで俺はそれを見つめている。
「もっと上を見てよ、アンドー君。この木々を」
「サクラは人間じゃなかったんだな」俺はそう言ってサクラの木を見る。
「サクラは人間よ。安パイ君。ただ元がサクラの木なの」
「なるほど」俺はそう言ってるとサクラが俺の横に来て、手を握ってきた。
「私はね、みんなと違って寿命があるの。ここのコンピュータがそう決めたんだ。元は人間じゃないから永遠には生きられないの。アンドー君やお姉ちゃんなんかは元が人間でそれからコンピュータで身体を作ったでしょ?それで永遠に生きられるようになったの。でもね、私は違うんだ。いつかは死ぬの」
「俺がそれを変えてやるよ、サクラ」
「うん。もしそれが出来ても出来なくても私達は一生、恋人同士だよ」サクラがそう言って俺の手を強く握りしめる。
季節は春だった。サクラが舞い散る中俺たちは誓い合った。
「でも、サクラ、寿命って言ったって直ぐにじゃないんだろう?」
「この物語が終わるころに、ちょうどその瞬間に私は死ぬことになってる」
「この物語ってなんだ?」
「神様が記した物語、私のサクラの花ビラの舞い散る物語」
「神様ってなんだ?」
「神様は神様だよ、アンドー君。この世界を作ったもの」
「コンピュータのことか?」
「それは違うわ。生命を作ったものよ」
「俺はそれさえも超えないといけないのか?」
「ううん、アンドー君はコンピュータを超えるだけでいいの。でもそれってとても難しいことなんだよ?」
「コンピュータなんて楽々と超えられるって、安心しろよサクラ。俺のこと信用してないのか?」
「わかった、アンドー君を心の底から信用する。約束する」そう言ってサクラは笑って(その笑顔はまさに満開の桜から舞い散るサクラの精だった)「ああ、やっと解放された」
「何から解放されたんだ?」
「私たちの支配するものからだよ、自由っていう言葉から」そう言うとサクラは俺に口づけをした。
それを見てスカーレット先生は爆笑していた。
「二人ともラヴラヴねwwwwwwwwwwwwwww」
「スカーレット先生、とてもピュアなシーンだったんだよ?なんで笑ってるの」
「だって面白くて・・・w」
「もうバカ!」サクラは怒って帰ってしまった。
俺もそのあとを追いかける。
スカーレット先生は腹を抱えて爆笑しなが芝生に寝転んでいた。
「ごめんなさい、サクラwww」




