表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スカーレットの森  作者: 結姫普慈子
第一章 学園
3/54

3. ドールと自画像

「きみはまず、入学儀礼を受けないとならないわね。コンピュータによる新しい身体を手に入れるの」

白い円柱の学校が近付くにつれ大きくなっていく。それはまるで要塞であった。あまりにも大きな学園はそれ自体が建物ではなく、山のように大きな街に見えた。

今車が走っているのは霧の上で学園の建物のつぶさな部分まで遠目から見てとれた。

外側から見るそれはつるつるとした真っ白い壁で出来ており小さな窓が壁面に散らばっている。それは模様を描き、絵になっていた。

その絵はアニメチックで扇情的なドールの絵だった。赤いドレスを着込みピンクのガラスの靴を素足に履いて髪の毛を片方の手でいじくっている。

しばらく見ているとその絵は動き始めた。

「ああ、あのパネルを見ているのね。校長先生の趣味で生徒の書いた絵をパネルに映してるの。時々動くでしょ?あれはコンピュータが操ってるのよ」

俺は近付きつつある学園がとても高度な科学の領分にあることを悟った。

パネルに描かれた人形を書いた生徒が俺は少し気になった。

その人形は、人形というものはどこか寂しげだと俺は思っていたがそれは満ち足りたような表情をしていた。

やがてそれは立ち上がり顔がアップで表示される。暗闇から浮き上がるように目元だけ光に照らされる。

その瞳の色はブラウンだった。別に珍しい色ではないが、ちらりと隣の席にいるスカーレット先生を見る。人形とスカーレット先生は瓜二つだった。ベージュのコートを脱いだ先生は赤いシルクの服に漆黒の膝まで隠れるスカートを履いていた。

人形と瓜二つ。

「もしかしてあの絵は先生が描いたんですか?」

「御名答。昔、私が生徒だった時代に描いたのよ。中々上手いでしょ?察しの通りモデルは私。自画像と言ってもいいかな」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ