28. あなたのことが好きだわ
しばらく時間が経って俺たち三人は食後のあたたかい飲み物を飲んでいるところであった。
飲み物は熱いハーブティーだった。ジャスミンとラベンダー、バラ、それにマリファナの香りが湯気とともにに鼻孔へと通ると俺はなんだか涼し気な気持ちになる。
「アンドー君と私がもしも、もしも付き合ったとするじゃない?学園の救世主であるアンドー君と、お姉ちゃんの妹である私」この時はスカーレット先生は自分ことを先生と呼びなさい、とは言わなかった。「でもそれって悲愴じゃない?」
「ひそう?」
「そう、悲愴。やぁね、ダジャレじゃないのよ」俺が小さく笑うとサクラはそう言う。「だって世界はここで終わりなのだもの。アンドー君がそれを変えない限り。わたし、そんなのって嫌だわ」
「大丈夫よサクラ、アンドー君ならきっとやってくれる」
「やってくれるって、世界を救ってくれるの?コンピュータを超えて」
「そうよね、アンドー君」
「そんなもの、ちょちょいのちょいですよ。任せてください」俺はマリファナでキマった頭でそう言いつつ更に熱い飲み物を喉の奥へと流す。「コンピュータなんてぶっ壊してやります」
「壊しちゃいけないのよ。それを壊さないで超えること、それがアンドー君の役割だから」と先生は言った。
「アンドー君、それが出来るって私に約束出来る?」サクラは不安げにそう言った。
「ああ、約束する。絶対の絶対だ。魂が入っている人間の俺に、コンピュータなんて安々と越えてみせますよ。コンピュータの理なんて俺が翼を開けばひとっ飛びですよ。それが完成されたバベルの塔のいただきでも」
「ありがとう、アンドー君。私、あなたのことが好きだわ」サクラは涙を流しながしながらそう言った。「たとえ、無理でも立ち向かうのね、アンドー君は」
「どうした?サクラ、なんで泣いてるんだ?」
「だって、あなたが好きだから」
「マリファナでおかしくなったのか?」
「別におかしくなってなんかないよ」とサクラは涙をぬぐいながら言う。「アンドー君。私とカップルになる?」
「初めて出来た恋人がサクラだとはな、よろしくな、サクラ。俺もサクラが好きだ」
「えへへ、よろしくね。アンドー君」
「はぁ、私にも恋人出来ないかしら。アンドー君、サクラと別れた後私と付き合わない?」
「え?ホントですか?」
「アンドー君サイテー」とサクラは俺を睨みつける。
「嘘よ」
「先生が嘘つくなんてサイテーです!」俺はそう言って溜め息を吐いた。
「言っとくけど、浮気はやめようね、アンドー君。特にサクラの姉である私とは」
「そうですね」
それから俺たちは食堂を出てサクラとスカーレット先生に学園の案内をしてもらうことになった。スカーレット先生は「私も案内してあげるよ。出来たてホヤホヤのカップルに冷水かけたいから」と言うが本当は俺たちを見守りたいだけなのだろうと俺は思った。
「図書館と食堂と写真センターは行ったよね。アンドー君行きたい場所ある?」
「サクラに任せるよ」
「りょーかい」




