24. モーニングコーヒーで花嫁さん
「外の世界はどうなってるの?ステファニーちゃん」
「もう滅んじゃってるかもね。ノアノアノ~アノ~ア~」とステファニーが答える。ステファニーはタバコをゆっくりと吸い込み煙を吐き出す。「ああ、美味しい」
「滅んじゃってるかもしれないんだ」
「え?滅んでるってどういうことだ?」
「アンドー君、いつか世界は滅ぶのよ」サクラとステファニーが同時にそう言った。二人の声はピッタリと息が合っていた。
「そう、いつかは」サクラがそう言った。「モノガタリのオワリ」
「でも、そんなのずっと先だろう?永遠と思えるくらいに」俺はそう言う。
「そうだったらいいのにね」ステファニーがそう言ってまた煙を吐き出す。どこか音楽的にも思える、そのステファニーの口調はタバコの煙を吐き出す瞬間に溶けてなくなる音色に思えた。
「よくわからない、ことばっかりだなあ、俺は」なんだか俺は悲しくなる。
「大丈夫よ、アンドー君。私がいるから」サクラは俺の表情をのぞきこみなが言う。サクラがドリンクを飲みこむ音がゴックリ、ゴックリと聞こえる。
喫茶室では先ほどサクラとスカーレット先生が歌った坂本真綾の『カザミドリ』が流れていた。
ゆっくり呼吸をしながらマリファナ100%のドリンクを飲んでいく。
そうしていると段々と落ち着いてきて、俺は眠くなってきた。
「安パイ君、眠そうよ。昨日キチンと寝たの?」ステファニーがそう聞いた。
「なんか興奮したあとにリラックスしちゃって眠くなっちゃったんです。この世界は本当に滅ぶんですか?」
「確実に言えることは外の世界はいつかは滅ぶってことね。安パイ君、あなたは外の世界を救うためにここへ来たってことを理解しなければならないわ」ステファニーが俺の瞳をのぞきこみながら言う。
「俺には何も理解できません。コンピュータだって結論を出していないんでしょう?」
「コンピュータを超えなさい、安パイ君」ステファニーはシリアスな表情でそう言った。
「わかりましたよ、そんなの軽々と越えてみせますよ」俺はきっぱりとそう言った。
「でも眠そうね」サクラがそう言ってから、「コーヒーでも飲もうか。熱いのとってきてあげる」サクラは席を離れた。
俺とステファニーは沈黙のままサクラが来るのを待っていた。
サクラは湯気が出るコーヒーを持ってくるとそれを俺に手渡す。それをゆっくり飲んでいると少しだけ目が覚めた。
「なんだか私、アンドー君のお嫁さんみたいね」とサクラは言った。「モーニングコーヒーみたい」
「ちょっと目が覚めた、ありがとなサクラ。お前なら俺のお嫁さんになっていいぞ」サクラは顔が赤くなった。




