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スカーレットの森  作者: 結姫普慈子
第一章 学園
23/54

23. ローズタバコとハーブ&ハーブ

 喫茶室は生徒達が煙をくゆらしていた。ハーブのような匂いもするし、甘いお菓子のような匂いもした。

「みんなリラックスしてハーブ吸ってるね」サクラが空いた席に近寄りそう言った。

 そのテーブルは三人腰かけることが出来るようで俺とサクラはそこに座る。

「はい、アンドー君。写真立てだよ、私からのプレゼント」

「ありがとう、サクラ」俺はそれを受け取ると今朝スカーレット先生からもらったサクラがベッドで裸で寝ているシャシンをズボンのポケットから取り出すとその写真立てと呼ばれるものの封を解き、中身を開ける。

 それを中に入れてみる。サクラはそれをじっと見ていた。サクラの裸の絵がその中に入っていく。

 するとその写真は生命をもったかのようで動き、すーすーというサクラの寝息が聞こえその豊かな胸が上下に動き始めた。穏やかな眠りであった。

 俺はそのシャシンを他の生徒に見られないように隠しながらじっと見ている。サクラが寝がえりを打つ。胸は隠れ、かわりにお尻が見えた。

「いやね、私のお尻」サクラはそう言って恥ずかしそうにする。「ジュースもらってくるよ。何が良い?アンドー君」

「サクラと同じのでいいよ」

「わかった」サクラはそう言って席を離れていった。

 写真はずっと見ていても飽きなかった。この写真立てを部屋に飾ろう。俺はそう決めた。その時サクラの写真のいる部屋の窓に満月が浮かんだ。

 サクラの裸身が月に照らされる。元々青白かったサクラの身体は月の光に導かれ、さらに青く輝く。俺は青春の真っただ中にいる少女の生命を感じる。

 その少女と俺は友達だった。この学園にも月はあるのだろうか、あったらいいんだけどな、俺はなんとなくそう思った。

 サクラが帰ってきて俺に飲み物を渡す。ドリンクに口を付けるとハーブの香りがした。ああ、マリファナだなって俺は思った。急に胸が切なくなる。

 しかし、胸の鼓動は十分に落ち着いており、なんだか不可思議な気持ちだった。俺のソウルが何かに感じているのだろう。

「美味しいね、アンドー君」

「美味いけど、なんて言うドリンクなんだこれ?」

「ハーブ&ハーブって飲み物よ。100%のハーブなの」

「ふーん」

 俺の席に近付いてくる生徒がいたので俺は写真立てをひっくり返して机に上に隠した。

「あ、ステファニーちゃんじゃない」サクラはそう言った。その生徒はロングヘアの金髪で片手に燃えている葉っぱを薄く巻いているものを持っていた。

「やあ、こんにちは、サクラ。その男の子は誰?」

「アンドー・パイナップル君だよ。お姉ちゃんなんかは安パイ君って呼んでるんだよ」

「はじめまして安パイ君。私はこの学園の設計者、ステファニー・ミュートよ」と言った。「やぁね、安パイ君ハーブの匂いしてる」

「その燃えてるやつもハーブなんじゃないですか?」

「これはタバコよ」

「たばこ?」

「そう、吸ってみる?」と言って吸い口を俺の口元に付けた。

 俺はそれを吸いこんでみる。薔薇の匂いがした。

「ローズの匂いがするでしょ?」

「はい、バラバラ殺人事件・・・」

「ねぇ、この子かなりキマってるみたいよ、サクラ。ハーブ初心者なんじゃない」

「あちゃー、アンドー君しっかりして!」

「大丈夫だ、サクラ。この学園の設計者って言ったってまだほんの若い生徒にしか見えないけど?」

「ステファニーちゃんは見かけよりも年取ってるのよ。たまたま無限に生きてるだけ」

「うーん、よくわからないな」

「生命に無限の寿命を与えたら、無限に生きてることになるでしょ?そういうこと」

「なるほど」俺はよくわからなかった。

「この席座っていい?」その金髪の生徒はそう言って一つだけ空いている席に座った。タバコの灰をトントンと叩き床に落としていく。

 直ぐにその灰は床に吸い込まれ消えていく。

 ローズの香りがしていた。

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