20. 詩的なライヴ会場と化したコンビニでのYO
俺はサクラの歌に声を出して号泣をしていた。
「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」スカーレット先生が笑い始めた。「安パイ君、泣いてる。ごめんね、私笑い上戸なの」
「ごめんなさい、サクラ、先生。俺感動しちゃって」サクラは相変わらず綺麗な歌声で歌っていた。
「いいのよ、しばらくサクラの歌を聞いてましょう。アイスクリーム食べちゃったし、次はヘロインでもやろうっか?」
「でもヘロインは初心者向けじゃないってサクラが・・・」
「店員さん、ヘロインかき氷ふたつちょうだい」スカーレット先生がレジに行きそう言った。
「はーい、あの生徒さん歌とてもジョーズですね。私、感動しちゃいました。自分でアニメソングを選曲して流してるんですけど、あの生徒の歌声は惚れ惚れシマース!」と深いブルーのドットのワンピースの店員は言ってまた機械のところに行き、今度は白いカップを二つ置く。
機械から結晶が中に降り注いで結晶の塊になった。
「味はどうしますか?」
「うーん、じゃあ二つとも、苺味で。練乳かけてね」
「かしこまりましたー」そう言うと機械は赤いドロドロとした液体をかけていきその上に白色のとろりとした液をかけた。「どうぞ、出来上がりました」
スカーレット先生はそれを二つ受け取り俺のもとへと来た。
「はい、アンドー君。ヘロインは初めてだとアタマオカシクなるけど、気にしないでいいのよ。これも先生の教えだから」と言ってそのかき氷と呼ばれるものを渡す。
俺はそれを一口スプーンで口に入れる前にまた音楽が変わった。
それはグーンと低い音が鳴り、やがてピアノの甲高い冷たい少女の悲鳴のような音がしていた。
「この曲はなんていう名前なんですか?」俺はかき氷を一口入れながらそう言った。
「これは牧野由依ちゃんのふわふわ♪よ」と先生が言う。「今度は私が歌おうか。はいヘロインかき氷、ちょっと私が食べちゃったからサクラにあとはあげる」
スカーレット先生は両手を上にあげて万歳をした格好で歌い始めた。
とても意外なことにスカーレット先生は歌がとても上手かった。サクラの少女的な歌声とは対照的にスカーレット先生は大人の女の歌だった。ウィスパーボイスで真空から聞こえる歌のようであった。
「YOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYOYO!!!!!!!!!!!!!!!」店員がジャンプしまくってそう言ってから、スカーレット先生にマイクを渡した。
スカーレット先生は片手でマイクを持ち小指をたてて歌いあげる。
もうすでにコンビニの中はライヴ会場だった。
「YOYO!」俺もYOと言った。
「ああ、ヘロイン美味しい」サクラがそう言った。
「ここは天国か?Foo↑」俺はそう言ってジャンプする。
「ねぇ、アンドー君。昨日、本物の天国に行ったこと覚えてる?」その時サクラそっとつぶやいた。牧野由依のふわふわ♪が聞こえる中。
「え?」
「ううん、なんでもない」サクラはそう言ってまたかき氷をスプーンですくって口に入れた。サクラの唇はいつもよりも発色が濃く、氷で少々硬くなっているようであった。




