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スカーレットの森  作者: 結姫普慈子
第一章 学園
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10. 会議室にて

 エレベーターのパネルの数字がどんどん上がっていく。俺は何も緊張していなかったが、サクラの手のひらが汗ばんできた。きっとサクラは緊張しているのだろう、では俺になぜついてきたのだろうか。おれは不思議に思った。

「ねぇ、アンドー君。この先何があっても友達でいてね?」

「どうしたんだ、サクラ。心配するな。ただの会議だろ?」

「ううん、そうじゃないの。もっと先のことを私は言ってるの」

「わかったよ、サクラ。安心しろお前とは一生友達だ」俺はそう言うと片手をサクラの前に出して手をグーにして親指を立ててみせる。そうした後俺は二コリと笑ってやった。

「そうね、アンドー君。私達は一生友達」サクラは嬉しそうに笑っていたが、なぜだかその笑顔はこの上なく俺の胸を切なくさせた。俺はその気持ちを振るうように目をギュッと閉じた。

「着いたわよ安パイ君」スカーレット先生がそう言ってエレベーターを出ていく。俺は目を開けてそのあとを追った。

「アンドー君、私が死んだらよろしくね」俺の横でサクラがそう小さくつぶやくのが聞こえた気がした。

 87階の会議室は広々としており、長方形に大きなテーブルが据えてあり、その周りにマホガニーで出来た椅子があった。

 その椅子に人が数人いた。一番奥の席に年老いた黒縁の丸いレンズの眼鏡をかけた男性がいた。長い白髪を肩まで垂らしており無精ひげが伸びていた。そして手前に生徒が座っている。

「スカーレット先生、その男の子がアンドー・パイナップル君かい?私はここの校長だ。よろしくね」良く通る低い声で年老いた男性が言った。「私の名前はABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZと言う。みんなはABCと言うがね」

「校長先生は全部機械の身体なのよ。頭のてっぺんからつま先まで、唯一のここの生けるマシンよ。それであんな長い変な名前にしたみたい」とスカーレット先生は俺にそう言った。「そうです、この子がアンドー・パイナップル君です。私は安パイ君って呼んでいます。皆さんもそう呼んでください」

「なるほど、安パイ君。今度麻雀でもやろうか?ルールはわかるかい?私と生徒会のメンバーと安パイ君で」

「いえ、麻雀はわからないのでご遠慮させていただきます」

「それでだけど、この学校をあなたには救ってもらうんだけど、どうやって救うかわかっていないのよ。コンピュータが結論を出していないの」黒髪のロングヘアの女生徒が言う。俺より年上そうに見え、椅子の上で腕を組んでいた。「私は生徒会長のエリザベス。よろしくね」

「まだコンピュータは結論を出していないのね。もしかしたらもう結論は出ていて・・・」スカーレット先生は考え込んだ表情をしながら言う。

「考えていることはわかっているよ、スカーレット先生。安パイ君がここにいるだけで学校のマシン達は歯車のように周り始めるのだろう。あるいは一つの物語が始まるのかもしれない、そう考えているんだね?」校長先生がそう言う。

「ええ、その通りです校長。何か物語が・・・」

「だから言ったのよアンドー君。私と一生友達でいようってね」サクラが俺の横で小声でそう言う。「サクラの花弁はいつか散るけど、それまでの間は」

「どういう意味だ?サクラ?俺は言ってる意味がわからないぞ」

「サクラ・・・」スカーレット先生が悲しそうな表情でそう言い、サクラの肩を手でなぞる。まるでサクラが死に近づいているようであった。

「まあ、もしかしたらコンピュータが結論を下すのが遅れてるだけなのかもしれない。安パイ君、よくこの学校に来てくれた。本当にありがとう」

「いえいえ、俺なんかが呼ばれて光栄です」

「話はこれで終わりですか?」サクラがそう言う。

「ああ、終わりだ。サクラちゃん、安パイ君を寮まで案内してあげなさい。安パイ君の部屋のカードは生徒会長が持ってる」

「はい、これよ安パイ君」生徒会長が机にのっている鞄から銀製のカードを渡した。「そのカードに部屋番号が入ってるから、サクラちゃんよろしくね」

「わかりました、会長。じゃあこれで会議は終わりということでいいですよね?」

「ええ、終わりよサクラ。私はしばらく会議室に残るから安パイ君を案内してあげて」スカーレット先生はそう言って空いている椅子に座った。

「じゃあ、行こうっかアンドー君」サクラはまだ俺の手を握りしめていた。サクラの汗はさっきからたらたらと俺の指先へと流れていき、ぬるぬるとしていた。

「サクラ、案内よろしくな!」

「うん、任せて!」

 俺とサクラはそうして会議室をあとにした。

 エレベーターに乗り、今度はサクラが階数のボタンを押す。階数は101階だった。

「100階から120階は生徒達の寮になっているのよ。アンドー君は101階ね」

「そういえばこの学校何階まであるんだ?」

「無限階まであるって聞いたことがあるわ。まあ学校の七不思議のひとつだけど。本当は365階。一年の日の数と同じなの」

「一番上には何があるんだ?」

「天国があるって言われてる。誰も行ったことないの。その下の364階にはマザーコンピュータがあるの。そこには生徒会のメンバーと教師達しか行けない。あ、101階着いたよ」

 俺はサクラに連れられて寮の自分の部屋を探すことになった。ルームナンバーは505であった。

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