1. 海を越えて
俺は自分の国を離れて遠い海の上にいた。船上である。
とても今日という日は暑かった。
春であるが、当然ながら海の上で花見は出来ないし、友達や恋人も連れていない俺はただぼんやりと船の上からひらひらと揺れる波を見つめていた。
海外の学校に行くことになったのである。
なぜかお偉い人に呼ばれたのだ。
成績は平凡だし、頭もそれほど良くはない。
じゃあなぜ海を越えて遠い国なんかに呼ばれたのか、そう思うだろう?
俺は春の太陽の下、考えていた。
数十分、風に吹かれながら考えていただろうか、答えは出なかった。
まあいい、俺を呼んだ偉い人に聞いてみるか。
俺は船内に入っていった。
次の日には港に着いていた。
持ってきた荷物を肩に背負って地面に降りる。
その国は不思議な景色を作っていた。
遠く、遠くに視線を向ければ向けるほど地面は坂になっており、そこかしこに木々が、生えてある。やがてその木々が抜けると、バカデカイ白い円柱みたいなのが空へと続いておりその円柱は雲を突き抜けていた。
しかしながら港の辺りは少々霧がかり、ひんやりとした冷たさを持っていた。
遠くの方が光輝いて見えるせいか、この辺りはどうも薄気味悪く俺には感じられた。
そういえば学校はどこなのだろう。着けばすぐにわかる、と教えられたがわからない。
聞いてみようと思い近くにいる人に聞いてみる。
「ああ、学校かい?向こうに見える白い円柱があるだろう、あれが全部学校だから。君、歩きかい?迎えの人は?」
「迎えの人はいるんでしょうか、わからないです。ありがとうございます。徒歩で向かってみようと思います」
「がんばりな!」
あの円柱が学校なのか、どれだけ大きいんだ?
そんなことを考えていたら、僕に近づいてきた人がいた。サングラスをかけて、ベージュのコートを着ている。髪の毛はピンク色で片手に紙を持っている。
その人は俺のそばまで着た。
「やぁ、こんにちは。君がアンドー・パイナップル君だよね?略して安パイ君。そう呼んでいい?」
「別にいいですけどあなたは?」俺がそう言うと彼女はサングラスを外して瞳を笑わせる。
「私はあそこの学校」と言って円柱の建物を指差し、「の先生よ。名前はスカーレット」と言った。
その先生の瞳はブラウンだった。