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prologue
「おーきーてー」
体が弱い力で揺さぶられている。
「ねーおなかすいたよー。」
まだ幼いその声の主は僕の体をゆすりながら空腹を訴える。
昨夜も友人に付き合わされて遅くまで起きていた俺はもう少し寝ていたい気分だった。
「あーうん、起きる起きる、もうちょっとしたらね。」
空腹の彼女には申し訳ないがもうしばしこの微睡に身を置かせてもらおう、そう思った矢先だった。
「ねー、起きてって、ねー!」
だんだんとその言葉に苛立ちが混じり始めた。
「おなかすいたってばー!」
ドーン、という言葉がすっぽりと当てはまるような爆発とともに僕の体は爆風に乗せられベッドの傍の窓から投げ出される。
まずい、と思うには少し遅すぎたようだ。
空腹に耐えかねた彼女はおでこの横に怒りのマークを浮かべ僕に向かって手をかざしている。
「これで目も覚めたでしょ!さぁ朝ごはん作ってよね。」
僕を吹き飛ばしたことで気分が晴れたのだろうか、笑顔でこちらを見る彼女の頭には小さい角が生えている。