出会い
「あなたは…誰…?」
目の前に現れたのは、同じ歳くらいの男の子。
「俺は、奏斗。お前は?ここの人?」
「私は、美琴。神崎美琴。..ここの人というか、目が覚めたらここにいて…」
「そっか…」
奏斗という彼は、目が覚めたらここにいたこと、他の病室を探していたら、この部屋に辿り着いたことを話してくれた。
私以外にもいたんだ、と安心感がこみあげてきた。すると咄嗟に、病気の事と実験の事を話してしまっていた。彼は真剣な目で聞いてくれた。
「その実験がなんなのか、俺たちで突き止めないか?」
「え…?」
「実験の内容がわかれば、何か分かるかもしれない。」
確かに、それもそうだな。さっきの夢の、幼い頃の記憶…。消えかけている部分が戻るかもしれない。それに…。ここで目が覚める前の、私の記憶。お父さんとお母さんがちゃんといて、友達もいて…。夢とは思えないくらい現実味があった。その事についても、なにかわかるかもしれない。
「わかった。一緒に、調べよう。」
「あぁ。そうだな…。他の部屋を調べよう!PCがある部屋があるはずだ。」
返事をすると、私たちは誰にも気付かれないように部屋をでる。
廊下を歩いていると、突き当たりに部屋があった。ドアが少し開いていて、中が見える。奏斗くんが、中を確認する。
「ど、どう…?誰か、いる?」
「いや、誰もいない。今がチャンスだ、入るぞ。」
「うん」
中に入ると、そこには機器がたくさんあった。名前は…よくわからないけれど、見た事もないような機器が置いてある。
「思った通りだ…。」
奏斗くんはそう言うと、近くにあったパソコンをいじりはじめる。
私には到底理解できない、英文が並んでいる画面。私にも何かできないかと、あたりを見回す。すると、一つの本棚に目がとまった。そこには、書類がまとめられた冊子が何冊もある。
「これ…」
一冊を手に取ると、表紙に“実験台profile”とかかれていた。
「もしかして、私たちの事が書いてあるんじゃ…」
恐る恐るページをめくる。ない…ない…。どこだ、どこだ……。
「あ、…あった…」
〈神崎美琴 年齢:16 生年月日: 19xx年 8月14日 家族構成:母のみ。現在行方不明。〉
年齢と生年月日、家族構成が書かれていた。そして、あとから付け足したのか、母が行方不明と書かれていた。私はそのページを破りポケットに入れる。そして、奏斗くんの情報をさがす。
あった…。
〈宮本 奏斗 年齢:16 生年月日:19xx年 8月14日 家族構成:祖父、祖母 両親は事故で亡くなっている〉
ご両親は、事故で亡くなってしまったんだ…。でも、それよりも気になるのは、誕生日。わたしと全く同じだ。同じ誕生日の人がいるのは、当たり前なんだけど、何かが引っかかる。