番外『忘年会』―後編
「ほい。潤、まだ何にも食うてないじゃろ」
泰騎が差し出してきたのは、白い皿。その上には、数種類の肉料理が載っている。
「これが子羊、これが子牛で、これが鴨で、これが豚フィレな」
と、肉の種類について説明してくれた。ナイフを使わなくても食べられるように、ひと口サイズにされた料理だ。小さくても見た目が綺麗なあたり、流石はフランス料理と言うべきか。いや、味付けがソースメインとなるフランス料理は盛り付け次第で印象が大分変わる。
「ありがとう……」
少しずつ離して配置された肉たちには、それぞれにソースと香味野菜が添えられている。テーブルに並んでいる大皿からこれを抜き出して盛り付けたのだろうが、大皿の上は世紀末状態だ。よくもまぁ、ここまで綺麗に盛り付けが出来るものだと感心する。
と泰騎の持っている皿を見てみると、そこには世紀末状態の殺伐とした料理の群生が存在していた。ソースが混ざり合って、味の独創性などお構いなしだ。先程祐稀の皿を見た後なので、インパクト自体は少ないが。
「……うん。ありがとう……」
なんとなく、再度礼を言っていた。
「所長ぉぉー!」
声を重ねて泰騎を呼んだのは、歩と大地だ。柄は違うが、ふたり揃ってピスミのTシャツを着ている。半泣き状態で、こちらへ走ってきた。
「ピスミの服、あとどのくらい残ってますか!?」
叫んだのは、歩だ。柔らかそうで色素の薄い茶髪が、走る度に跳ねている。
「んーっと、取り敢えず、来年の春分までは作る予定じゃで。限定百着を何種類かと、通常販売分じゃな。歩と大地には、またサンプル分をやるから、そんな心配せんでもええで」
「オレ、成長期で身長まだ伸びてるんですけど! 大きめのサイズも貰えますか!? っていうか、お金はちゃんと払います!」
これは大地だ。硬そうな金髪が、ライトに反射して光っている。
「そりゃあ、まだ十四、五歳じゃもんなぁ。大地は何となく一八〇センチ近くまで伸びそうな気がするわ。一応、LとLLを置いといて貰うけど、二月頃にまた言うてー」
泰騎がそう告げると、ふたりは胸を撫で下ろした。そんなに好きなのか。ピスミが。
「それよりふたりとも、四月から正社員じゃから、一応試験があるで」
「って、聞いてないんですけど!」
ふたり、声が重なった。相変わらず、双子かと思う程息が揃っているな……。
「そら、言うとらんもん。内容は教えんけど、まぁ、二月頃かなぁ? 試験監督は実技が潤で、筆記の常識問題担当が凌ちゃんな。万が一基準に届かんかったら、ふたりとも本社の工作員試験受け直す事になるからな」
「うえっ! 本社とか、俺、絶対嫌ですー」
「例え過労死しても、こっちが良いです!」
「いやいや。過労死はさせられんよ。今、増員に向けて少し動いとるから。もうちょいの辛抱じゃで」
「がんばれー」と泰騎が声を掛けると、ふたりは満面の笑みで「はい」と返事をし、料理の方へ走って行った。今日は顔色もよく、元気な様子で安心した。たまに、本当に過労死するんじゃないかと心配になるからな。というか、本当に恐いのは過労死しても尚、霊体の状態で扱き使われる可能性だが。この業界では、稀にある事だ。まぁ、死んだ人間を使うにはそれなりのリスクを伴うから、俺は反対だな。
そんな事を考えながら、子牛を口へ運んだ。
「ところで潤。倖ちゃんもヤケ食いしとるみたいなんじゃけど」
泰騎の視線を追うと、みんなの皿よりもひと回り大きな皿の上に、肉も野菜もケーキも積み上げられ、凄い状態になっている。
「ああ、あれは……何と言うか……、作った人に申し訳ないな……」
「うぅーん。あれは祐稀ちゃんの比じゃねぇ汚さじゃな。後でヨッシーに謝っとこ」
「まぁ、倖魅は少し太るくらいが丁度良いと思うが……」
味が分からなくなる程ショックを受けているのだとしたら、それは問題だな……。とはいえ、ある意味自業自得なんだから、仕方がないと言えばそれまでだが。それではあまりにも冷たいか……。かといって、俺が気の利いた言葉が言えるかとなると――全く思いつかない。
「今の倖ちゃんには何言うても多分、右から左にスルーじゃで。凌ちゃんと尚ちゃんが相手しとるし、放っとこうや」
それでいいのか。
「それより問題なんは、本社から来る仕事をどうするかじゃなぁ。当分は倖ちゃんと恵未ちゃんを組ませずに、ワシと潤で回すか」
無難と言えば、無難な考えだ。
「倖魅に来る仕事を俺たちがやると時間が三倍掛かるが……それでも良いのか?」
「しゃーないじゃろ。時間に余裕が無さそうじゃったら、歩と大地を連れて行くわ」
「泰騎がそれでいいなら、俺は構わないが……」
「何? 『が』って事は、不満があるん?」
「不満じゃなくて……不安、かな……」
俺の意図が理解できないのか、泰騎は首を傾げてミニトマトを口へ放り込んだ。
「注意散漫なふたりを抑制するのは、結構難儀だからな」
「へぇ? んじゃ一誠と祐稀ちゃんも連れて行くか?」
「大所帯だと動きにくい」
「え、結局不満だらけじゃが」
意外そうに言うな。お前だお前。
「泰騎がひとりで勝手に動かなければ、俺がこんなに文句を言う事はない」
「んー、ワシと仕事する奴は、みーんなそう言うなぁー。潤は普段そんな事言わんのにー」
「俺とふたりの時は、単独行動で良いんだ。複数人の時に勝手に動かれると、お前に近付けないように、俺が他のメンバーの動向を把握しないといけないだろ」
「あー、そっか」
今気付いたみたいに言うな。結構な頻度で言っているぞ、俺は。
控えめに泰騎を睨んでいると、店の外で車の停まる音がした。数秒後に店の入り口が開き、いつも通り黒いスーツを身に纏った社長が駆け込んできた。
「遅れてごめーん! みんな、今年もお疲れ様ー!」
「社長―! お疲れ様です!」
駆け寄った社員たちに取り囲まれている社長を眺めながら、俺は皿の上にある料理を平らげた。泰騎が「まだ要るか」と視線を送ってきたが、首を横へ振っておいた。料理の減り具合を見るに、他の連中はまだ食べそうだからな。
伊織と英志が「透と恵未さんが――」と、社長に報告している。社長も驚いたらしい。ただ、透と恵未を見るより先に、倖魅の方へ目を向けていた。自棄になって料理を食べている倖魅の様子を確認して苦笑を漏らし、今は透と恵未へ視線を送っている。
「っていうか、皆ビックリしすぎだと思うんですけど」
と、ドリンクのメニュー表を社長に手渡しながら半眼になっているのは、恵未だ。
「他ならぬ恵未だからだと思うよ。まぁ、まだ若いんだから、何やっても楽しいよねー。青春っぽくて良いなぁ。あ、僕はまだ仕事が残ってるから、ウーロン茶で」
などと、社長は微笑んでいる。
「そういえば、今日の忘年会って泰騎と潤の結婚披露宴を兼ねてるって聞いたんだけど」
「違います。どこの誰から仕入れた情報ですか」
俺は思わず、声を上げていた。
「えー? そうなの? 面白そうだと思って期待して来たのにー」
心底残念がっている様子の社長を見ると、罪悪感が少しばかり湧いてきた……。いやいや。だから何だ。っていうか今、『面白そう』って言ったよな?
「いやぁー、披露宴しようとしたら、潤に猛反対されてなぁー」
ただの“立食パーティー”で良いと言ったのは泰騎だろう。何故俺ひとりが悪いみたいな扱いになっているんだ。
「式も披露宴もしないんだったら、フォト婚しなよー。お金は僕が用意するから」
「って、何でそうなるんですか。社長も、いい加減結婚イベントから離れて下さい」
俺の渾身のツッコミも今ひとつ届いていないらしく、社長は拗ねた子どものように口を尖らせた。
「そう言うけどさぁー。大切な弟が結婚したのに何も出来ないなんて、お兄ちゃん寂しいよー。何かお祝いしたいよー。だって、僕も結婚した事ないしさぁー。身内の結婚イベントなんて初めてなんだもんー」
「『もん』とか言わないで下さい。社長からは旅行を頂きますから、それだけで十分です」
「えーっ! 所長と副所長、新婚旅行行くんスか!? どこへ行くんスか!?」
今まで透の横で料理を食べ続けていた恭平が、身を乗り出してきた。少し食べ物が口から飛び出した気がしたが、無視しよう。
恭平の質問に答えたのは、泰騎だ。
「まだ考え中ー。部門変更する時、丸々二か月は全員休める期間を設けるつもりじゃから、その間の一週間くらいで行って来ようかーって話しとるんじゃけどな」
それも、まだ海外にするか国内にするかという段階から話が進んでいない状況だ。
二か月間休みだと聞いて、数人が歓喜の声を上げた。
「言っておくが、歩と大地と恵未以外は移行期間中に各自、自家用操縦士免許取得の為に渡米が決まっているからな」
俺と泰騎と倖魅の代までは様々な資格取得は当たり前だったが、事務所の仕事が忙しい為に後輩たちの持っている免許と言えば、自動車関連のものくらいだ。
俺の言葉を聞いて、数人が叫喚した。無視したが。
「あ、そうか。オレと尚巳も、自家用機操縦する免許持っていませんもんね」
「あぁ。ふたりとも、入社直後から事務所勤務が決まっていたし……というか、まだ十七歳に達していなかったからな」
俺が凌に説明していると、尚巳が「あれ?」と恵未を見た。
「何で恵未は行かないんですか? おれ、同い年ですけど」
……何で……? 俺にそれを言わせるか?
俺が返答に戸惑っていると、泰騎が困り顔で答えてくれた。
「恵未ちゃんに飛行機操縦させたら、多分、同乗者は全員死ぬからな」
そう。というか、そもそも免許が取れないと思う。普通車免許すら、ギリギリだったからな。
「あぁ……」
と、凌と尚巳は声を合わせて納得した。
「そういや、クリスマスが近いけど、透は恵未さんとどっか行くのか?」
恭平は料理を食べつつ、透に訊ねている。透はと言うと、黙々とバゲットを食べている状態だった。
「んー……何も考えてないや。あ、観たい映画が有るんだよね。恵未さん、映画観ます?」
今度は透が、隣に立っている恵未に訊ねた。
「私、映画館って行った事がないんだけど。っていうか、何時間もじっとしてると気が狂いそうになるのよね」
「じゃあ、僕ひとりで行ってきますね」
「ええ。行ってらっしゃい」
「って、マジでか! 付き合い始めてまだ数十分なのに、関係がドライすぎる!! そこはふたりで映画館だろ!!」
恭平、多分、ここに居る大半の者がお前と同じ気持ちだ。代弁有り難う。
まぁ、このやり取りをニヤニヤしながら見ている者も、二名ほど居るわけだが。
「ふふ……このままだと、一か月待たずに破局しそうですね」
「うへへ……祐稀ちゃん、あんまり笑うと悪いよ」
「倖魅さんこそ、口元が大分緩んでいますよ」
先程までヤケ食いをしていたふたりが、顔を見合わせて肩を揺らしている。
「いやぁー。ここの皆はいつも楽しそうで良いねー。僕も若返った気がするなぁー」
社長はウーロン茶を飲みながら、いつもと同じように笑っている。
「社長、今お腹の空き具合はどうですか? 食い散らかされた後で申し訳ないですが」
「あぁ。有り難う。今日は早めにお昼を食べちゃったから、本当に顔を出すだけ。皆の元気な顔を見たら、僕も元気になれるからね。一誠も、今日はいつもより元気あるみたいだし」
言われて見てみると、一誠は白身魚を食べていた。確かに、いつもより顔色が良くなっている気が――しないでもない……ような……気もする。
「あ、そろそろ時間だ。あんまり待たせると、謙冴が怒鳴り込んで来ちゃうから。僕もう行くね」
「あ、はい。お忙しい所、有り難うございます」
慌ただしく去って行く社長の背中を眺めていると、店の扉に手を掛けた社長が急にこっちを振り向いた。
「ふたりとも、結婚指輪がまだだったら、僕が――」
「結構です。謙冴さんが待たれていますから、急いで下さい」
「ちぇー」という声が聞こえた気がしたが、社長は店から出て行った。少しして、車の発進する音も聞こえてきた。
結婚指輪って、当人同士で用意する物じゃないのか? まぁ、失くすだろうから要らないんだが。
「潤。指輪より腕時計の方が落とす確率は低いと思うで。腕時計にしようや」
あぁ。それはそうかもしれない。役にも立つし。ただ、
「この前みたいに、腕ごと吹き飛んだらどうするんだ?」
「いやいやいや! そこは吹き飛ばさんように努力しようや!」
それもそうか。流石にあれは痛かったからな。もう御免だ。
「……善処しよう」
「まぁた政治家みたいな事言うとる……。まぁ、吹っ飛んでもワシが拾ったるから、安心せぇ」
それは有り難い事だ。ただ、千切れた腕から子どもを作るのだけは、もう止めて欲しいものだな。
すると、テーブルの向こうから凌の弱々しい声が聞こえてきた。
「先輩……すみません。ちょっと、手を貸して下さい。倖魅先輩、今頃になって酔いが回ったらしくて……」
凌の脇では、酔い潰れた倖魅が蹲っていた。俺の記憶では、倖魅は確か泣き上戸……。
「大丈夫……ボクなら大丈夫だから……酔ってるけど大丈夫だから……泣いてない……泣いてない……」
「大丈夫じゃない人って、『大丈夫』って言うんですよー」
尚巳は倖魅の背中を擦りながら、溜め息を吐いている。「歩いて帰れる距離で良かった」と呟いたのも聞こえた。
倖魅、さっきまで祐稀と笑っていた筈だろう。何でそんな、終末を迎えたような顔をしているんだ。
「大体、そんなに落ち込む程の事じゃないですよ。結婚するわけじゃないんですから」
「尚ちゃんは好きなコが居ないから、そういう事が言えるんだよぉー」
倖魅が、遂に咽び泣き始めた。凌が「トドメ刺してどーすんだ。バカ」と、尚巳を小突いた。
そんな状況の中に、泰騎がひょっこりと入っていく。倖魅の前にしゃがみ込むと、泰騎は白い歯を見せて、倖魅に向かって笑った。
「祐稀ちゃんは一か月って言うとったけど、倖ちゃんは何か月に賭ける?」
って、今そんな提案をする雰囲気なのか?
倖魅は約二秒間、頭を抱えたまま蹲っていた。が、すぐに両手を下ろした。
「何か月……? ボクが、そんなに待つと思う?」
倖魅は顔を上げると、肩を震わせて笑った。三日月のように綺麗な弧を描いた口元からは、整列した歯が顔を覗かせている。
「二週間だよ。二週間に、お給料一か月分賭けてあげる」
あぁ、いつもの倖魅だ。
俺は安堵したと同時に、背中に冷たい何かを感じた気がした。
忘年会もお開きという時間になった頃には、ぐちゃぐちゃだったテーブルの大皿も綺麗に平らげられていた。結果だけ見れば、とても綺麗な状態だ。と思う。
意外と酒を飲んでいたらしい尚巳が、赤いカクテルの入ったグラスを持って、凌と一誠の肩に両腕を引っ掛けていた。
「来年は凌と一誠も酒が飲めるなー」
「あぁ、そう言えばそうだな」
「何だか凌って、お酒強そうだよね。見た目がホストっぽいからかな?」
俺としてはこの組み合わせ、珍しく思うんだが――
「ふふ。凌ちゃんといっちゃんは同い年だし、誕生日が三日しか違わないからね。今は結構仲が良いんだよねー。凌ちゃんもいっちゃんも、いつも後輩たちの相手が大変でお互いあんまり会えないみたいだけどー」
完全に――とは言えないのだろうが、回復した倖魅が隣で笑う。
「ボクって同期とか同い年とか居ないからねー。ちょっと羨ましいなー。なぁーんてね。あ、気にしないでー。独り言、独り言ー」
「俺は、倖魅が居てくれて良かったと思っているし、これからも居てくれないと困るから。本社に行かないでいてくれて、本当に感謝してるんだ。だから……」
「悪い」? 「有り難う」? 続けるべき言葉がはっきり決められず、止まってしまった。謝るのも、何だか違う気がするし、礼を言うのもくどいような……。
そんな俺の気持ちは、倖魅には筒抜けなんだろうな。
「ふふふ。潤ちゃんは相変わらずだねー。うんうん。ボクも、こっちに来て良かったよー。毎日それなりに大変だけど、楽しいし」
「倖ちゃんを本社に渡してなるものかー! って、ワシも結構本気になったしなぁー」
とは、泰騎だ。事実、杉山さんの研究室の、所謂“ライラックの激昂”事件以降本社上層部からの視線が特別鋭くなっている中、更に情報部のホープ候補を引き抜いたわけだ。だから当時、それはもう、とんでもないやっかみを買ったものだ。
「ふふふ。ボクってばモテモテー」
「社内での倖ちゃんのモテ度は、凌ちゃん以上じゃからなぁー」
事実、今でも本社の人事は隙あらば倖魅を本社へ引き込もうと目を光らせ、翹望している。それだけ、倖魅の体質は稀有で特殊で代用がきかない。という事だろう。それはもう、いつか研究室が倖魅の複製を作り出すのでは、と不安になる程に。
「人気者は辛いねぇー。さぁーって、今日も帰って仕事だよー」
……今度、栄養剤の差し入れをしよう。と、俺が考えていると、泰騎が俺の耳元に手と口を添えてきた。って、ちょ、耳は止めろ。耳は。そんなに近付かなくても聞こえるから。もう少し口を離してくれ。
そんな俺の胸中には構わず、泰騎は声を落として耳打ちしてきた。
「潤、知っとる? 倖ちゃんの給料、恵未ちゃんの三倍はあるんじゃで」
「……は? だからどうし……」
ん? それってつまり……。
「そ。ワシらより多いんよ。まぁ、あんだけ仕事しとるんじゃから、当然じゃけど」
……それもそうか。いや、寧ろ、相応の報酬を得ていて安心した。
「倖ちゃん、仕事がキツくなると本社の経理を相手取って、報酬交渉するからな」
あぁ、そういえば、聞いた事がある気がする。流石だ。自分の為には周りに容赦しない。
「それが、倖魅だよな……」
「うん。揺るがんわ。ほんま、倖ちゃんがこっち側に付いてくれて良かったよなぁ」
しみじみとそんな事を言い合っていると、時間が来た。
自分以外に容赦しない倖魅が、今まで恵未に対して強行に出なかった事を考えると、恵未の意思を尊重しているという事は明白で。つまるところ、それだけ彼女に対して本気だというわけで。
周りがどうこう言うべきではないし、誰かに肩入れするのも気が引けるが――倖魅が賭けに勝つと良いな。と、俺は心の片隅で思った。
ここまで読んで下さり、有り難うございました。
この後『ウサギ印の恋慕事情』(仮)に続く……と、思います(曖昧)
中編くらいの長さでまとめたい気持ちでは居ます。
前知識なしで読める内容で……。
更新時期も未定ですが、気が向いたら寄ってやって下さいませ。