敬崩戦の始まり
敬語世界反対派
・緋氷 瑛華(教師)
・瀬賀 偶輝(2年生)
・浚絞 賢介(3年生)
敬語世界肯定派
・田駒 聖治(教師)
・藍戸 夢巻(2年生)
・瀬城 隼斗(3年生)
校舎の屋上にて。
「ここが敬語世界になったのは、今ここにいる6人しか知らない……」
そう語る田駒先生。
しかし、その言葉に違和感を覚えた私。
「…ろ、6人? 今ここに居るのは5人ですよ?」
そう。田駒先生、夢巻ちゃん、浚絞先輩、瀬城先輩……そして私。この5人しか居ないハズ。なのに、田駒先生は6人と言っている。
「……よく分かりましたね。私が居ること…」
そう言って物陰から誰かが出てきて、一同がそっちに振り向く。
すると、そこに居たのは…
…緋氷先生だった。
「いつから気付いていたのですか?」
「瀬城…さんが物陰から出てきた時から、誰かがそこに居たのは察してい…ました。そして、隠れて話を聞きに来るのは、この“敬語世界”の話を知っている者……つまり、緋氷…さん…だと、すぐに予想でき…ました」
ぎこちない敬語で、得意げに話す田駒先生。
そこまで田駒先生が話したとき、ちゃんと本題に戻ろうと思っていたのか、
『そんな事より、今は……』
と、私と夢巻ちゃんが同時に発声する。
それに驚いた他の4人とは裏腹に、私と夢巻ちゃんは口論し始める。
「危険因子として、今ここにいる3人を拘束したいと思います。たとえ幼馴染みの偶輝さんでも、そこは譲れません…」
そう言った直後、夢巻ちゃんは私めがけて突進してきた。
しかし、それをスレスレの所で私は避けた。
「拘束する。つまりは監禁を考えてますね? それは犯罪行為です、許されません」
私は、夢巻ちゃんに対して何もしなかった。
幼馴染みだからなのかは分からないけど、ここで私から暴力を振るったら、こちらの負け…という考えが脳裏にパッと浮かんだからだ。
「…この世界を揺るがすワケには……っ!?」
そこまで夢巻ちゃんが言って、私に暴力を振るおうとした時、緋氷先生が割り込む。
「…暴力はダメですよ。何があっても…護身術なんですから…」
そう言い、夢巻ちゃんの腕をしっかりと、後ろ手にさせて掴んで、緋氷先生は捕らえた。
そしてその後ろ手に組まれた両腕を、どこからか取り出した細いロープで固定する。
「大人しくしてなさい……」
その後も、緋氷先生は夢巻ちゃんの事を離さずにいた。
この行動がキッカケで、この世界の大戦争が起き始めてしまった……………