違和感
そして、田駒先生と別れてからというもの、私は気づいたことがあった。
「…あれっ? 待ってください、緋氷さん」
「ん? 何でしょう?」
「さっき、田駒さん…まるで知ってるような口振りでしたよね?」
そう。田駒先生は、あたかもタメ口が封じられているのを“知っているかのように”私達と普通に会話を交わしていた。
「…言われてみれば、そうですね。もしもタメ口のこと知らない人でしたら、
『この世界には、この言語しか無いのでは?』
って返すハズ。…ということは、田駒先生もタメ口に関して知っている人…!?」
私と緋氷先生は気になり、翌日、直接それを聞くことにした。
………翌日。
普通に登校し、授業に参加。4限目まで難なく済ませ、昼休みになった。
いつもなら夢巻ちゃんと一緒に屋上へ行くんだけど、今日は田駒先生に聞かなければいけないことがあり、緋氷先生を呼んで、直接それを聞きに行く。
田駒先生は職員室には居なかった。
科学の専門家だから、もしかしたら実験室かも? そう思い、実験室にも行った。
……そこにも居なかった。
「あれ!? 田駒先生…どこに?」
2人して田駒先生を探したが、本当にどこにも居なかった。
「…休み?」
そう考えた私だった。
………その頃、田駒先生は…
「…な? ここなら1人で誰にも触れられたくない時に持ってこいの場所だろう?」
誰かを連れてきて、田駒先生は言った。
「確かに、ここは良い場所ですね…! …で、なぜ私をここに連れてきたのでしょうか?」
「その理由、僕にも教えてくれませんか? 田駒さん」
そこには、女子と男子が1人ずつ招待されていた。
そして田駒先生は、こう答える。
「今、緋氷と瀬賀が“敬語世界”について追求している。何としても、この世界の“真実”に辿り着かせないようにしてほしいんだ。そのために、協力者が必要でね。まず、キミたち2人に声をかけた。あの2人に親近感ある人物から調べさせてもらったからね」
実は田駒先生は、この“敬語世界”の真実を知っている人物だった。
「僕はタメ口が嫌いなので、それを私の前で使わないようにして頂ければ、考えます」
「私も同じ意見です。聞いててイヤになります」
この2人は“反タメ口派閥”だった。
「…分かりました! あなた達2人の前ではタメ口を封じましょう。だから、協力お願いします!」
2人の前で頑張ってタメ口を封じる田駒先生。
それに誠意を感じ、2人は握手を求める。
その握手に応え、今回はお開きとなった。
………戻って、私と緋氷先生。
昼休みが終わっても、田駒先生を見つけられず。
「…諦めましょうか」
今回ばかりは田駒先生を見つけることを諦めた。
「…仕方ないですね。放課後に賭けましょう!」
そして放課後。
また私は夢巻ちゃんを先に帰らせようとした。が、夢巻ちゃんも先に私のことを帰らせようとした。
…あ、れっ??




