第四話
ガキを連れて歩いているが、もうほとんどがチームになっていて、チームに加わってくれそうな人が見当たらない。
「どうする?全然人いないよ?」
クルミが立ち止まった。
「そうだな...」
周りを見渡すけど、チームができている人たちが気まずそうに目をそらすだけ。
「おいぼうや!」
立ち尽くしていると、後ろから声をかけられた。
振り向くと若い、とは言っても俺たちよりは年齢が上の男女二人組がいた。
声をかけてきたのはそのうちの一人の男だった。
大柄で威圧感があるが、その顔は声をかけてからずっと笑顔で好感が持てた。
「ぼうや、さっきは大変なことに巻き込まれてたなあ!」
どうやら、さっきのことを見ていたらしい。
「私たち二人でちょうど五人でしょ?グループ作らない?」
短い黒髪が似合う二十代の女性。
「いや、こいつは迷子で、一緒のグループじゃないんだ。」
そう言うと、その女の人は驚いたように言った。
「あら、てっきり弟だとばかり...」
「誰がこんな兄持つか」
すかさず言ったガキに眉が吊り上がる。
「でもタツオ、あと五分だって...」
クルミが時計を見ながら不安そうにつぶやく。
確かに、時間は少ない。
でも、
「こいつはまだ小学生だ。足引っ張るだけだろ」
俺がそう言うと、男の人はうなずいて、
「そうだよなあ。かわいそうだけど、はっきり言うとな...」
と同意してくれた。
するとガキは少しむっとした後、
「小学生じゃない、大学生だ!」
と大きい声で言ってのけた。
少しあっけに取られた後、
「あははは!それはさすがに信じられないよ!」
と一番に笑い出したのは女の人だった。
ほかの俺やクルミも笑った。
少し和やかなムードが流れたが、そのムードを壊すようにゼロの声が響き渡った。
『残り一分です』
その声でムードは一瞬で崩され、みんなはまた真剣な顔に戻った。
「他に当てはいなさそうだし、やっぱりこいつを入れるしかねぇか」
男の人はガキの頭を軽く叩きながら言った。
仕方ないけど、そうするしかなかった。
「ガキ、足引っ張んなよ」
「こっちのセリフだ」
「あ?」
俺はガキ睨みつけ、クルミは苦笑いしていた。