第1話
クズ大学生と猫が生み出す物語
朝だ。
窓がとても眩しい。
ぐっと背伸びをして時計を見る。
13:26
ああ昼だわ。
はしごを降りてリビングに向かう。
大学1年の春休み、家には猫のモナ以外誰もいない。
去年大学受験を無事現役で突破し、大学生活に思いを馳せていたのが懐かしい。
実際はろくに学校もいかず、社畜を極めてるただのクズになっているのだが。
「高校の時はもっとまともだったのに、なーモナ」
「ニャー」
グレーのモコモコしたやつの脇を掴むように抱っこしながら、こいつとの出会いを思い出す。
いや、思い出してる場合じゃないわ
早くシャワー浴びてバイト行かな。
モナはあいかわらずゴロゴロしている。
「お前はいいなーなんも気にせず過ごしやがって」
「ニャー」
「俺はバイトで社員の機嫌伺いながら仕事して、帰っても遊ぶ友達いねーし、彼女もいねーし、単位もとれねーしさ!」
「……」
「ニャーくらいいえよなー」
「……」
「ったく、もう行くからな大人しく留守番してろよ!お前可愛げあるから俺好みの女の子引っ掛けて来てもいいけどなw」
「……」
「お、ドン引きかw」
「まぁ猫じゃナンパは出来ねーか」
「……」
「いってきまーす」
俺はいつもの道からバイト先の学習塾に行く。
今日の生徒めんどくさいんだよな……
起きた時には晴れていたのに、急に曇天に変わった空を見ながら足取り重くバイトに向かう。
「傘持ってくればよかった」