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神殺しの王となる。  作者: 唐松あせび
二章 東ベストロジア戦争
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十一話 道中闊歩 3

「しかし、暇やなぁ」


 「光明」の明かりに照らされながら、スラマイナは誰に言うでもなくぼやきました。深夜警備の退屈さは凄まじい、とツヅルも前世で聞いたことありますが、まさにその通りでした。

 北ミストレア森林への旅路は、まだ半分も越していません。

 この辺は商路でも使われているらしいので、魔物もある程度討伐されており、警備を始めてから約3時間経過しましたが、まだ2回しか魔物と邂逅していませんでした。

 しかも、率直に言えば役立たずであるツヅルは全く戦闘に参加していないので、実質外に出て夜風にあたっているだけの役目を存分に果たしていました。

 「はぁ……」とルシラが適当に相槌を打つと、スラマイナは思い出したかのように、


「あ、そうや、ツヅル」


とこちらを向きました。

 

「なんですか?」


 いよいよ重たくなった眼を何とか持ち上げながら、聞きます。


「お前、昨日の夜なんで襲われとったんや? そういえば、まだ詳しく聞いてなかったなって思ってな」

「……ああ、それは私も気になったな。ツヅルが計画的に狙われる理由があるとは想像がつかないな」


 スラマイナの質問に、少し眠たげなルシラは同調しました。


「いえ、前にも言った通り、狙われたのは僕でなくリーフです」


 さすがに東ベストロジア戦争のことを話すわけにもいかないので、ツヅルは大部分を簡略して話しました。


「なるほど。それなら狙われたのはリーフだろう。しかし、気になることはあるな。何故ツヅルを刺した途端に暗殺を中止したのだろうか。普通、暗殺部隊というのは情もへったくれもない輩ばかりなのだが」


 まるで暗殺を熟知しているような口ぶりのルシラですが、さすがにそのことを聞くのは躊躇われました。

 

「せやな。リーフちゃんはエリー家の当主やから、身代金目的の誘拐なら分からんこともないがなぁ」

「もしかしたら、あれは暗殺じゃなくて誘拐だったんじゃないですか?」

 

 まぁやはろ、ここでああだこうだと思考したところで結論が出るはずがない、というのは難解な問題に立ち向かっているときのご愛嬌でしょう。

 現実でも小説でも、探偵の大半が現地調査なる行為を行う理由とは一重に推理に確信を持ちたいからであり、逆に言えば、確信を持つには大抵何かを見つけなければならないのです。いわゆる「安楽椅子探偵」とは極わずかの事象に過ぎないということは簡単に想像がつくでしょう。

 

「しかし、暇やなぁ……」


 色々あれこれと考えた結果、その言葉に収束しました。


「そうですねぇ」


 またもや、ルシラは生返事を返します。ツヅルはこの微妙にのほほんとした空間をどうにかするために何か話題を考えていました。


「前から気になってたんですけど、北ミストレア森林って本当に危険なんですか? 聞く限りでは結構の精霊族や魔族が暮らしているらしいですが」


 世界でも有数のSS級ダンジョンであり、魑魅魍魎(ちみもうりょう)跋扈(ばっこ)する大森林であり、数多の冒険者をちぎっては投げとしてきた超危険地帯だ。

 なんて噂だけは今まで何度も聞いたことがありますが、これらは全て仰々しく、彼から見ると誇大広告の如きにしか思えないのです。本当に危険ならば国が対応するはずだ、というのは前世の平和な世界を生きてきたツヅルの固定観念なのでしょうが。

 スラマイナはうーんと数秒間唸っていましたが、


「実は私らもよく知らんのや」


と呟きました。


「そうなんですか?」

「ああ。私たちが住んでいた集落は確かに北ミストレア森林には属していたが、入り口からはかなり近いところにあった――まぁ、それでも30キロ以上は離れていたと思うが――。エルフ、もっといえば精霊族の間ではあまり奥に進んではならない、と決められていたからな」


 ルシラが彼女の後を引き継いで説明してくれました。スラマイナは「せやけど、私らは気にしとらんかったな」と懐かしそうに乾いた笑みを浮かべていました。


「そうですね。会長と私とグラベールと……。今から考えると、あの頃はなんであんなにやんちゃだったんですかね」


 もう長年見ていない故郷に帰るということで、彼女らは郷愁的な気分に陥っているようです。


「そういえば、会長」


 しばらく、他愛のない昔話に浸っていましたが、ルシラが唐突に思い出したかのように口を開きました。


「なんや?」

「どうして、今回一時的に森へ帰ろうと提案したんですか?」

「……ほら、もうすぐ八回忌やろ」


 ツヅルはその言葉の意味が掴めなかったので首をひねりましたが、ルシラは途端に神妙な顔付きをして、頷きました。

 ベストロジア王国での八とは、神聖な数字らしく八回忌、八周年など良く行事に用いられています。

 その理由は勇者ギ・ラークが出身地を出発してから、魔王を討伐するまでに掛かった時間だと言われています。

 

(どうにも、スラマイナたちには触れてはいけなそうな過去が多いな)


 一体どんな過去を過ごしてきたのだろうか、と思いました。別に知る必要もないので、特に詮索しようとはしません。


「ちょっと、いいですか……」

「静かに……!」


 ツヅルが話を変えようとすると、急にスラマイナが彼の口を手で塞ぎました。微妙に金属と土が混じったよう臭いがしました。あまりにも急だったので、状況が理解できずにもがこうとしたツヅルは、


「北東、300メートルもしないところに魔物百数十匹がおるんや。さすがにやり過ごしたほうがええ」


という彼女の耳打ちによって、静寂さを保ちました。どうやら、会話にふけりながらも周囲の警戒はしていたようです。

 見てみると、ルシラたち深夜警備隊は明かりを全て消す準備をしています。馬車で眠っているはずの一部のエルフたちは魔物の気配に気付いたのか、武器を持って馬車から出てきました。

 やがて、辺りは真っ暗になりました。

 ツヅルと外界を繋ぐものは緩やかな秋の風とスラマイナの腕と地面のみでした。


「なんで、こんなところに魔物の集団がいるんやろうか? 夜行性の魔物はいても、あんなに集まることはないやろ」


 数分後、彼女は魔物が遠ざかったことを確認すると、ツヅルを離し、周りに囁き声で問い掛けました。一応まだ明かりは付けないようです。


「一週間、ダリンという町の近郊で魔物数百匹が出現しました。あれは昼でしたけど」


 ツヅルは数瞬考えると、いつかの魔物大討伐依頼を思い出し、同じく小さな声で伝えました。


「なっ、本当か?」


 ルシラは驚きました。何をそんなに驚愕することがあるのだろう、と疑問に思ったのは彼だけではないでしょう。


「会長……! もしかしたら、『魔女の屍』が……」

「馬鹿! ……まさか、そんなはずがないやろ?」


 ルシラとスラマイナの語り合う声は何だか悲しみが籠もっていたのが、ツヅルには印象的でした。しかし、「魔女の屍」。聞いたことがない名前です。名から察するに、といっても考察する要素がないでしょう。「魔女」の「屍」なのです。

 しかし、この世界において不死者、俗に言うグールは存在しているのでしょうか。彼は一度も出会ったことはありません。

 確かに、非道な人間の人体実験によって知能を失った元人間の魔物もいて、言い様によればグールと言えなくもないでしょうが、彼らはしっかりと寿命を持っているのです。

 

(しかし、魔女というだけあって蘇られるのか?)


 魔法という非科学的な文明が実在するこの世界において、それを信じたくなる気持ちは山々です。

 ですが、魔法は、正確に言えば魔法学は――少なくとも、ツヅルが手を出した範囲に関しては――非科学的ではあっても非論理的ではありません。要はまがい物ではなく、筋が通っているのです。

 そして、魔法学では自他の死者蘇生は世界的に認知されている魔法学の難問の内の一つとして、知られています。

 その魔女がどれだけ頭が良かったかは知る由もありませんが、あくまでも普通に考えて、それを解決できたとは思えないのです。


「魔女の屍って?」

 

 ツヅルは思わず聞いてしまいます。スラマイナは答えるべきかどうか悩んでいました。しかし、問題はないだろうと判断されたのか、


「……北ミストレア森林に伝わっている魔物や。魔物は魔物でもそれなりの知能を持っておるんが厄介で、こいつは自分は姿を現さずに周囲の魔物を操るんや。そのダリン郊外の大討伐みたいにな。まぁ、その姿は誰も見たことないから、きっと空想上の魔物やろな」


と答えてくれました。ルシラは彼女のその言葉に何の反応もせずに俯いていました。

 細かな違和感は湧き出てくるものの、ツヅルはとりあえず納得しました。その名はいわば、人を毒牙に掛ける魔女になぞらえているのだと考えれば、もっともな理由付けになるでしょう。


「ともかく、もう魔物たちは行ったみたいやし明かり付けてくれ!」


 スラマイナがそう言うと、次第に馬車周辺は僅かに明るくなりました。

 さすがにテルランのフラッシュバンのような「光明」を詠唱しては魔物が寄り付き放題になるので、光量は抑えてあります。

 やはり光というものは本能的に生物を穏やかな気分にさせてくれるのか、緊張したツヅルたちの体は途端に脱力しました。


「明日や明後日の警備員決めもまたジャンケンですか?」


 また、こんなことを体験するのは好ましくないな、と思った彼はそう聞きます。


「せやなー。あ、もちろん、残りのやつらにやらせるで」

「まぁ、明々後日(しあさって)までだったら、もう一度やる可能性もあるが」


 ルシラは自嘲的に笑いました。


「雨が振らんければ大丈夫やろ。予定通り3分の1までは進んでるんやし」


 この後、魔物の集団に襲われることもなく、ツヅルたちは無事に深夜警備を終え、朝を迎えました。昼まで寝ていたツヅルは多少ウトウトする程度ですみましたが、昨日の明朝から働き詰めのスラマイナたちはかなり辛そうでした。

 そして、夜行性かの如く朝5時に寝入り、そこから何事もなく一日を過ごしました。


―――――



「あ、ツヅルさん。おはよう、ございます」

 

 15日。ツヅルは完治した左腕をめいいっぱいに使って体を起こしました。聞こえてきたのはリーフの声で間違いないでしょう。

 馬車の底面積の関係から、さすがに深夜警備に参加した3人各々が馬車の床に大の字になって寝るわけにもいかないので、彼らは隅に固まって眠ていました。

 ところで、彼らが警備をしたのは13日です。

 24時間という、ずっと眠っているのには膨大な時間が過ぎ去っているのに、何故そのような事態に陥っているのでしょうか。

 その理由は一次方程式の解の公式のように簡単で、昨日即ち14日の夜、深夜警備に参加したことのない会員が「私たちは寝ている人の代わりに朝から昼に掛けて、御者をやったんだからあなた達がジャンケンに参加しないのは不公平だ」というストライキもどきを起こし、さらに類稀(たぐいまれ)なる不幸により二日連続一発敗退という偉業を成し遂げたからです。

 どうやら、スラマイナに抱きまくらとして用いられていたようで、ツヅルは抱きしめられていました。

 11歳の、しかもある程度の倫理観をそなえている精神で構成されている人間が彼女に大した性欲など湧くはずもなく、彼は普通に抱擁を解くとリーフに挨拶をしました。


「お、起きたね。ツヅルくん」


 その挨拶に反応して、今さっきまで片隅で黄昏(たそが)れていたシャルインがこちらへとやって来ました。


「馬車馬の塩梅(あんばい)はどうですか?」

「結局、雨も振らなかったし多分夕方には着くんじゃないかな。ってファルが言ってた」

「シャルインさんも北ミストレア森林に住んでいたって聞きましたけど場所とか覚えていないんですか?」

「……誰から? ってファルしかいないか。うーん。私、会長たちの集落に来た頃は少し精神が病んでたからずっと家の中に引きこもっていたんだよね。奴隷商の強襲の時もファルに無理やり連れ出されたから、会長たちとまともに話したのもそこだったし」


 妙にはつらつとして、明るい雰囲気を纏ったシャルインは語ります。

 その態度が何だかとんでもないものを隠し持っている気がして、ツヅルはもっと深くまで聞くことができませんでした。

 やはり、彼女らと身の上話をするのは危険なようです。

 

「だから、……ん?」


 ツヅルは彼女が突然話を中断したことを疑問に思いました。どうしたんですか、と聞こうとしたその瞬間、背中に柔らかさを感じました。

 今、スラマイナとルシラは爆睡中であり、グラベールは御者、ファルは彼の視界の端の方で読書に耽っています。シャルインが分離するはずもないので、この柔らかさの正体はリーフだということがすぐ分かりました。


「リーフ?」

「いえ、何でも、ありません」

「リーフちゃーん、何かあったの?」

 

 彼女が声を掛けるとリーフは身を僅かに、ツヅルにしかわからない程度に震わせました。シャルインに怯えているのでしょうか。いえ、怯えているというよりも人見知りを発動させているのでしょう。ツヅルはそう考えて、


「あ、大丈夫です。リーフは偶にこうやって僕の成分を吸い取るんです」

「……えっ、なにそれ。私も貰っていい?」


 シャルインはニヤリと笑いながら、彼の方に近づいていきました。こういうすぐに雰囲気をコメディー風に変化させられるのはシャルインの長所でしょう。まぁ、長所とは往々にして欠点となることもあるのですが、今回は上手く働いたようで、リーフも多少は警戒を解いたようです。


「まぁ、ツヅルくんに何か効能があるとしたら、きっと体からじゃなくて言葉からだね」

「あ、それは、分かります」


 共通の話題が彼のことしかないからか、彼女らは多少余所余所しさを感じるかのような態度で接しました。しかし、リーフが愛想笑いを浮かべられるような性質ではないことを考えたら、初会話にしては上々でしょう。


「言葉?」

「うん。君のオーラというか、佇まいは人を安心させるようなものじゃないからね」


 ひどい言い様ですが、確かに、彼がそんなふんわりとした性格だったらとっくの昔にこの世を去っていたでしょう。

 君主的鷹揚さとは背反している参謀的機敏さを持っているからこそ、ツヅルは一年半前のモハナト革命を乗り切れたといえるでしょう。

 もっとも、今回の東ベストロジア戦争に期して、それはあまり上手く働いていないように思います。彼自身も巨大な権力に対する自分の非力さを悔やんでいる部分もあります。


「はい。ツヅルさんにはきっと何か憑いていますよ!」

「つ、憑いてるって……」

 

 リーフは神懸かり的だと賞賛したかったのでしょうが、何を勘違いしたのか、シャルインは身を震わせました。怪談が苦手なのでしょうか。

 

「つまり、胡散臭いってことですか?」

「い、いや、違うよ。つまり、簡単に言えば君は嘘を信用させるような雰囲気があるんだっ!」


 いまいちツヅルには理解し難い感想でした。別にスピーチ上手と(はや)し立てられたのなら素直に喜んであげたでしょうが、その絶妙に有用性を見出だせない雰囲気には訝しげな表情を貫く以外にありませんでした。


「それ、褒め言葉なんですか?」

「あたしを一般的なエルフの女の子と思ってくれているなら信頼するといいよ! 女の子はこんな回りくどいお世辞言わないからね」


 そう言うと、シャルインは下手なウインクしました。問い詰めたところで彼女たちの真意が聞い出せるわけでもないので、ツヅルはそうですかと簡単な相槌を打ちました。

 

「お前はもう女の子とかいう歳じゃないだろ」


 しかし、それだけで話が終わらないのが精霊族研究会クオリティーです。先程までは読書に耽っていたファルが顔を上げてそう言いました。


「は? まだお肌ピッチピッチなんですけど? ギリとはいえ10代なんですけど?」

「一般的に女の子とは成人未満の、あ、お前は精神幼子だったな」


 ファルは嘲笑を浮かべます。シャルインは今にも「ムキーッ!」と叫びそうなほどに顔を赤くしました。


「……ファルだって、どうせ『友達が増える本』みたいなやつ読んでんでしょ! このぼっち!」

「なんだとっ! お前、私が航空部隊にいた頃はなぁ」

「はいはい。でました、老害特有の武勇伝。いつかの魔法模擬戦で負けたあなたが何を?」

「……じゃあ、今から空で戦ってみるか? まさか、負けるから断るなんてことはしないよな」


 その煽りに青筋を立てんばかりの形相を浮かべたファルは馬車を覆っている布をめくり、雲一つない晴れ晴れとした空を指差しました。


「いいよ! 行こうか!」


 そして、シャルインもカッターシャツのような見た目の服の袖をまくりました。二人は今から因縁の対決をするかのようにお互いを睨みつけながら、外に出ていこうとします。


「え? あの……」

「リーフちゃん。これは女同士の戦いなんだ。止めてくれるな、応援していてくれ。私は勝つ」

「は? リーフちゃんは私の味方なんですけど?」


 リーフはきっと2人を止めようとしたのでしょうが、それが火に油を注いだようでいよいよ彼女たちは「浮遊」し大空へと飛び立っていきました。


「……大丈夫、なんでしょうか」

「まぁ、さすがに殺しはしないだろうから」


 ツヅルは2人を見上げながら、言いました。エルフ、いえ精霊族の魔力は実質無限に近しいらしいので置いていかれるなんてことはないでしょう。


「そう、ですか」


 心配げな表情を浮かべながらも彼女は一応納得したようです。


「皆さん。戻りましたって、あれ? ファルさんとシャルインさんは?」


 と、ここで御者をしていたグラベールが丁度良く戻ってきました。そして、自分の役目を他の誰かに託そうと馬車内を見渡したところで、寝ている会長、副会長とあまり戦力にはならないツヅルたちしかいないことに気付きました。

 彼は無言で点を指差しました。


「ええっ!? 何か馬車の中で魔法陣の音が聞こえるなぁ、って思いましたけどシャルインさんたちなんですか!?」


 グラベールは自分の半身を馬車の外に出して、空中で魔法を詠唱している彼女らを見ました。その姿は晴天であることとも相まって映えていましたが、彼女らが戻ってこないとまたもや御者をすることになるグラベールは「シャルインさーん! ファルさーん!」と叫びました。

 すると、シャルインはいい笑顔で親指を立て、ファルはこちらに向かって手を振りました。応援されているとでも思っているでしょうか。


「違うっ! そうじゃなくてぇー!」


 どれだけ働きたくないんだ、とツヅルはその必死な叫びを聞いて思いました。


「あの、わたしがやりましょうか?」


 同じことを感じたのか、リーフはおどおどとした口ぶりで話し掛けました。


「ほんと!? ……でも、魔物が現れたとき、高速度で動く馬車群を扱うのはすごく難しいですよ? 下手したら魔物の集団と激突しちゃうかもしれませんし」

「が、頑張ります」

「あ、そうだ。ツヅルさんも一緒にどうですか? あなたの頭脳があれば、魔物もへっちゃらですよね?」

「……どれだけ仕事したくないんですか?」

「ち、違いますよ。これはえっと、そう、職業訓練です! 緊急事態に即したとき上手く対応できるかということは騎士にも冒険者にも鍛冶職人にも国王にだって、必要なことでしょ!」 

 

 グラベールの必死の弁解にツヅルはため息をつきながらも、彼女らには恩があるので、素直に頷きました。

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