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神殺しの王となる。  作者: 唐松あせび
一章 モハナト革命
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三十六話 子爵とエルフの血 7

 雑な裏庭に比べると、屋敷の廊下は恐ろしく綺麗でした。

 床には幾何学的な模様の入った赤い絨毯(じゅうたん)が敷いてあり、壁に肖像画が飾ってあったり――この世界の知識はあまりないツヅルには誰か分かりませんでしたが――、窓際にある机の上に鮮やかな赤色と青色で彩られた壺が置いてあります。

 まさに、貴族の家だとツヅルは感じました。

 風景画などはともかく、文学以外の芸術に興味を持たず人生を終えてしまったツヅルにとってはこのような、貴族の趣味はあまり理解できません。

 しかし、自分が暮らしている宿屋と比較すると、内装に天と地の差があることくらいは分かりました。

 まぁ、民主主義になったとしても貧富の差は露骨に現れるのに、身分社会のこの世界で貧困はいないと断言するのは愚かでしょう。

 尤も、身分社会においてそんなことを言う輩には大抵「貴族だったら貴族の、王族だったら王族の、その身分の価値に対して」という枕詞(まくらことば)が付いているのですが。

 ともかく、加熱からの冷却によって窓を割ったツヅルたちは廊下に一直線に並んでいる使用人室の前に立っていました。


「……侵入成功やな」


 スラマイナが極微量の声で呟きます。

 さすがにここからは、囁き声すらも命を奪う一因になる危険地帯だということは承知しているのでしょう。


「……それでは計画通りに」


 ツヅルがそう挨拶をすると、7人は二チームに別れました。

 ツヅル、スラマイナ、ツシータ、シャルインはリーフ誘拐部隊として動くに当たり、屋敷のどこにリーフがいるかということを第一にして考えなくてはなりません。

 きっと化粧室か自分の部屋にいるのでしょうが、ここは二階建てで横幅もかなり大きい屋敷です。その部屋を使用人などに見つからないように慎重を期して探すだけで一日を丸ごと使い果たしてしまうでしょう。

 以前も語ったように貴族街は人口比率が低い割にも関わらず、街の5分の1の土地を埋め尽くしています。

 このベストロジア王国、いえ世界各国の貴族のほとんどは基本的に外壁で身を守ることができる街の中に屋敷を建てることが多いです。それには魔物という生物の存在が関係していました。

 この世界で、辺境地に屋敷を建てるなんてことができる財力を持っている貴族はあまり多くありません。

 魔物や盗賊から屋敷及び辺境伯を防衛するために必ず私兵団を持たなければならないからです。いつの時代も傭兵は高く付くのです。

 そんなところよりも、少なくとも大規模な魔物や盗賊の襲撃はないであろう街中の方が屋敷を立てる場所として適しているに決まっています。

 しかし、貴族としては自らの自尊心が何よりも大事なので、本当は街よりも全然広い辺境地に建てるべき大きさの屋敷を街中に建てているのです。

 その自己顕示用の屋敷が、貴族街として密集してるが故に、街の5分の1の土地をたった数百名ばかりの貴族のために所持されているのでした。因みに、モハナトの人口は3万人を越えています。

 これは、街中なので侵入や逃走が難しいという点でツヅルを悩ませましたが、逆に戦える人間はそう多くないと予想することもできます。

 あくまで暮らしているのは街中なので兵を持つ必要だろう、ということです。

 話を戻して、この平民から見たら間違いなく巨大なこの屋敷のどこにリーフが収容されているか、とこれについては僅かばかりの推測が立つのみで、大方検討もつきません。

 とりあえず、一階の優先順位は下げてもいいでしょう。

 使用人室の近くに子爵夫人――と将来なる少女――の部屋があるのは少し違和感を感じますし、大広間の近くにあるのも変でしょう。

 さらに一階には食堂、客間などが存在しますが、これらもわざわざ貴賓(きひん)室の近くに置く部屋ではありません。

 尤もこれらは普通はこうだという固定観念的な考えなので、世界が変われば文化が違い人が違うのですから、その常識が間違っている可能性もあります。

 しかし、2階にリーフがいる可能性の方が1階よりも少しばかり高いのも事実でした。

 そういう見解を持って、ツヅルたちは二階へと続く階段を探しに移動を開始しました。

 ルシラ班は言ってしまえば、戦闘の場面にならなければ役割がありません。

 ただ、7人が狭い屋敷内を一緒に行動するのは如何なものか、という理由で分離されただけであり、決して必要がある部隊ではありませんでした。

 彼女らは現在、屋敷正面の玄関ホールの近くに隠れています。

 騒ぎがあったとしたら、必ずここに誰か来るでしょう。

 例えば、侵入者の魔の手から逃げようとする貴族とか、侵入者を屋敷内に閉じ込めようとする使用人とか、あるいは侵入者本人だったりが玄関を使用するのは考えにくいことでもありません。

 彼女らが玄関ホールに来た理由は、そういう危険察知と屋敷からの脱出ルートの確認でした。

 計画通りに誘拐が上手く行えたとしても、リーフがいなくなることはいずれ貴族たちに知られるのですから、行きのように馬車で偽装は使用できません。

 結局、突破するしかないのです。

 突破を滑らかに進めるためには、正門の警備員の数や地理を把握していなければなりません。

 現在、本館から渡り廊下を通ったところにある西館の一階にある広い大広間ではフォート現子爵が長い長い挨拶をしています。

 声を大きくするマイクのような魔法を使ってるので、ルシラたちにまでその声が聞こえてきました。

 彼はオズワルというわがままな息子がやっと結婚してくれるということに感動を覚えているようで、時には涙ぐんでいました。

 その親心には申し訳ないが、とルシラは感じらながら、ツヅルたちの心配をしました。




 ツヅルたちは2階へと続く階段を見つけました。

 この屋敷をある程度見てみた感想を率直にいうと、シンメトリカルな構造でした。

 左右対称で、玄関ホールと裏庭の線を軸にして使用人室が反対、すなわち東側にもあり、ツヅルはその近くで階段を発見しました。

 もし、本当に左右対称ならば、侵入した西側の窓の近くにもう一つの階段があったということなのでツヅルは無駄な手間だったなと思いました。

 何はともあれ、ここまで気づかれずに来た彼らは、シャルインの風属性中級魔法「索敵」で警戒しながら階段を登っていきました。

 「索敵」を簡単な説明をすると、何か物質が動けば僅かばかりながら風が生まれるので、その風を察知して人や物が近くにいるかを術者に知らせる魔法てす。裏を返せば、動いていない人や物は察知できないのですが。

 しかし、ないよりはあったほうがましでしょう。

 シャルインは囁き声で、


「分かるのは半径は10メートルくらいの円くらいまでだから過信はしないで」


と呟きました。

 つまり、曲がり角にしか効果がない能力でしたが、その曲がり角とは最も危険な地帯です。それが察知ができるのであれば、ツヅルとしては万々歳(ばんばんざい)でした。

 彼らは静かに2階まで上がりました。

 2階には――住人の少なさが関係しているの「娯楽室」などがありましたが――ほとんど普通の部屋しかないようです。何も書かれていないネームプレートが付けられている部屋が大多数でした。

 今日この屋敷に来たばかりのリーフの名前が書かれているプレートがあるとは思えないので、それは全く役に立たないでしょう。

 ということはこんなに多い部屋の数々を見て回るのか、とため息を吐きながら、ツヅルたちが探し始めようとしたその時。


「あなた達、誰……?」


 なんということでしょう。

 少し遠く、ギリギリ「索敵」が届かない程度の距離から声を掛けられました。ここは一直線の廊下だったのです。

 そちらの方、先程ツヅルたちが上がった階段の方向に振り返ると、そこにいたのは、


「もしかして、侵入者……!」


 ラミ伯爵の愛娘であるリトーン、ツヅルが革命隊に入ることとなった原因、その人でした。

 

「……!?」


 これにはツヅルも驚愕により一瞬動きが止まりました。

 実際に言葉を交わしたことはありませんが、ツヅルは彼女のことを知っています。

 ファリースリという薬物の商売に関わっていること。それの大本であるモハナト公爵が後ろにいること。

 そして、今リーフを自分の勢力下に入れようと二階に来たことを彼は知っていました。


「動かないで。後悔することになるわよ」


 リトーンは額に冷や汗を浮かべながら言います。

 戦闘力が分からない4人の不審者を1人で相手取ることに恐怖を感じない者はいないでしょう。リトーンも例に漏れず、この言葉は人を呼ぶための時間稼ぎといったところでしょうか。


「リトーンさん」


 ツヅルは低い声で彼女の名を呼びました。

 わざわざ名前を呼んだ理由は、僕はお前を知っているんだぞという意味も含まれていました。

 自分が知らない人間が自分の名前を知っている。政治家やアイドルなどではないリトーンはフォート子爵邸に侵入してきた正体不明の人間にそう言われ、少なからず恐怖を感じたようです。


「……あなた、誰? ……何処かで会ったことはあるかしら?」

「いいや、ないはずです。しかし、私はあなたを知っているのです。何故なら……」


 ツヅルは一度言葉を切りました。

 ここには、ツシータやスラマイナもいます。仲間を呼ばせないためにこれを言わざるをえないのですが、どうしても彼女らの存在がツヅルの口を数秒閉ざしてしまったのです。

 しかし、ツヅルは深呼吸すると、


「ファリースリに関わっていることを知っているからです」


 堂々と言い放ちました。


「なっ!? あなた、一体誰……!? どうしてあなたが……!」


 それを聞いたリトーンは顔に一層深く驚きと恐怖を浮かべました。

 実に分かりやすい反応をした彼女は気が気でないようで、さらに汗を流し足が震わしていました。

 当然といえば当然でしょう。バレない、いえバレたとしても誰も手を出してこないと思っていた悪事にこの黒色の外套の謎の集団が動いたことが分かったのですから。

 恐らく、貴族至上主義という思想を持っている彼女はモハナト公爵というこの街で最高の権威にまさか逆らう者がいるはずないという妄信を抱いていたのでしょう。


「殺す……!」


 数秒の狼狽の後、もし誰かを呼んだらファリースリの一件をばらすぞという脅迫をどうにか退けるために、リトーンが取った行動は4人の殺害でした。

 彼女は腰付近に隠し持っていた短剣を取り出した様子がツヅルには見えました。恐らく、リーフを脅すための道具でしょう。

 ツヅルはリトーンがその策を採るとは思っていませんでした。殺せても1、2人ということは彼女も分かっているはずです。まさかそんな自殺行為をするとは、とツヅルは固まりました。そして、これが命取りでした。


(避けなければ)

 

 硬直から回復したツヅルがそう思った時、その時にはもう短剣を持ったリトーンは目の前にいました。


「ツヅル!」


 まさか一伯爵の娘であるリトーンが戦い慣れているわけがない、とその場にいた彼女以外の誰しもが思っていました。それ故に彼女がツヅルに短剣を向けても4人は凍りついたままでした。

 リトーンが持っている短剣は職人お手製のものらしく、グリップに「バシュ工房」と書かれています。 

 その短剣を逆手に持った彼女は、ツヅルの目の前に立って今にも短剣を突き下ろしそうとしました。

 横にいるスラマイナやツシータは既に武器は装備し終わっていましたが、振り下ろされている短剣を止めるには遠すぎました。

 ツヅルは必死に生き残る方法を考えます。

 ここで、ツシータから借りた短剣を取り出そうとしても、彼の上にある短剣が肩や頭に突き刺さることの方が早いでしょう。

 彼はこの街に比べたら平和な世界からやってきた人間であり、尚且つ体は10歳なので、剣技などは全く使えません。

 剣道は学校で少しやったのみで、記憶の片隅にすら残っていません。そして以前も語ったように、単純な喧嘩というのも全く経験がありません。

 ツヅルが戦闘面で唯一自慢できるのは体術でした。

 しかし、学び始めた理由が、


『綴は自分がどれだけ命を狙われているのか分かってなさすぎるよ!』


と、稽古に無理やり付き合わされただけなので、この世界では期待できるものではありませんが。


(これを使うしかないか……)


 さて、直立状態の人間の重心はどこにあるのでしょうか。

 当たり前のことですが、右足と左足を結んだ線の中央にあります。

 右足だけで立てば右に重心は傾きますし、両足でつま先立ちをすれば当然それは前に向かうでしょう。

 つまり、人間が直立を保てなくなる条件は、その人間が身体的に無理な動きをするか、重心が右足よりも右または左足よりも左になる、つまりは足が重心の変化に追いつけないときだけでしょう。

 後者の時に起こる現象を、いわゆる転倒と言います。

 人間を転倒させるには、重心を足を踏み出せないような位置にすることが一番です。

 出足払(であしばら)い、相手が踏み出してきた足を、右足なら左に、左足なら右に、足払いをして転倒させる技です。

 ツヅルはこの体術の中では比較的お手軽な労力の少ない技を最も好いていました。

 現在の身長体重や身体能力を鑑みてできそう、かつリトーンに対して有効であろう技。あまり運動が得意ではなかった彼にはこれしか思いつきませんでした。

 作戦はこうです。

 まず、自分の頭上に振り下ろされている短剣を刀身を直接両手で掴んででも止めます。

 これに関しては、リトーンとツヅルとの力量にそこまでの大差がないことを祈らねばなりません。

 止めた後、当然リトーンはこの機密情報を深く知っているかもしれない少年を殺害するために、さらに力強く短剣を刺そうとするでしょう。

 ここで、ツヅルの身長の低さが役に立ちます。

 リトーンは自分の力を精一杯用いてツヅルの脳天を突き刺さねばなりません。

 その力を利用します。

 ツヅルがその短剣を下向きに受け流したら、どうでしょうか。

 彼が短剣を掴んでいるからこそ前に倒れないでいられるリトーンは、彼という台がなくなったことにより、重心が大幅に前に移動するのです。

 しかし、あくまで力のベクトルは下方向なのでそれだけではリトーンは転ばないでしょう。ただ、大きく前のめりになるのみです。

 その時、彼女は前に一歩足を出すでしょう。それがツヅルの狙いでした。

 この足を出足払いで刈ればいいのです。彼女の体はあらぬ方向に動いた重心に耐えきれず、転倒は免れないでしょう。

 そうしたら、全力で後ろに下がり、物理攻撃もな中々に上手いらしいスラマイナや魔法で一方的にリトーンを攻撃できるシャルイン、ツヅルが太鼓判を押せるほどの身体能力を持つツシータに任せればいいのです。

 以上がツヅルが僅かコンマ数秒という一秒にも満たない時間で思い付いた作戦でした。

 幸いなことに、この二度目の人生が終わってしまいそうなこの場面で彼の命を助けたのはその即断でした。


「っ……!」


 ツヅルは即座に上を向きました。短剣を防ぐためです。

 ツヅルがどんな対策を考えているかも知らずに、リトーンは完全に勝ったと思い込んでいるようで、その口角は少し上がっていて、油断をしているようにも見えました。

 肝心の短剣の位置はやや前方の空中にあり、このままこの速度で軌道を描いていけば、ツヅルの鼻や口が血液で浸されることになるでしょう。

 まず、ツヅルは少し後ろに下がり、踏ん張る姿勢になって腕を上げます。

 短剣キャッチの時、彼トーンの勢いに負けて倒れてしまったら元も子もないのでこれは重要でした。

 その行動を見て、顔をしかめたリトーンは何をやっているんだという目で彼を見ていましたが、しかしもう短剣の勢いは止まりそうにありません。

 そして、覚悟を決めたツヅルは短剣の刀身を容赦なく掴みに掛かりました。


(痛っ……!)


 ツヅルが最初に感じた感覚はただの痛覚でした。

 痛みにより閉じてしまった目を開けると、彼の手が短剣を両手で横から掴んでいて、それには鮮血が滴っていました。

 もちろん、致死量ではありません。今日一日は血が足りなくなるだろうなと思う程度の量でした。

 ですが、痛いのには変わりなく、ツヅルの感覚は必死に手を離せと命令しているのが分かりました。

 リトーンは頭のおかしいものを見るような目で彼を睨んでいました。

 それを無視したツヅルは短剣をより強く握り、さらに血が滴り落ちたのを見物すると――リトーンにとっては突然――足を更に後ろに下げ、その掴んでいる短剣を下方向、厳密に言えば下やや前方方向に投げるイメージで振り下ろしました。

 リトーンは驚きました。

 そこで、短剣を捨てていれば転ばなかったかもしれません。ですが彼女にとって、その短剣はまさに生命線でした。そして、結局、ツヅルの筋書き通りの予定調和ともいえる行動を行いました。

 重心を保つために一歩足を踏み出す。彼女の場合はそれは右足でした。

 ここで失敗したら死は免れないな、とこの状況に恐怖を抱きながらも、掛ける技は最も得意な体術技である出足払いです。ここでミスするような男は何もできないでしょう。

 虚を突かれたリトーンが空中に上げた右足の側面をツヅルは左足で思いっきり蹴りました。

 それは見事にリトーンに突き刺さり、彼女は右向きに勢い良く倒れました。

 ここで止めを刺せれば完璧だったのですが、彼女は現在でも短剣片手に転倒しているので、ツヅルにはそこに突っ込んでいく度胸はありません。

 なので、ツヅルは技を掛けた後、即座にスラマイナがいるところまで全速力で駆けました。


(何とか生き残った……!)

 

 ある程度戦闘に通ずる者が見たら、このツヅルの勝ちは間違いなく奇跡のような勝利でしょう。


「私ら、厄介ごとに巻き込まれたようやな」


 しかし、スラマイナの開幕一番の言葉は賞賛ではなく、これでした。

 リトーンに仲間を呼ばせないために言ったファリースリのことだろう、とツヅルはすぐに察します。

 

「すみません。お礼は弾むので」


 たった今起死回生の戦闘を終えてきたものとは思えない冷静さで彼は言います。

 尤も、この冷静さは落ち着いているのではなく、今でも出血が止まっていない両手の痛みを堪えているからでしたが。


「ツヅル!」

「Tくん、大丈夫?」


 動揺により名前を叫んでいるツシータと、ツヅルの安否よりも、今後の作戦は大丈夫かというニュアンスで言葉を放ったシャルインがツヅルの方に駆けてきました。


「その怪我は後でファルに見てもらえや。……おっ、やっと敵さん立ち上がったで」


 転ばされたリトーンは立ち上がっていました。


「ここは私だけで死守するから三人は先に目的地へ向かってくれや。……ツヅル。あいつ、いいんやな?」


 スラマイナは短剣を構えながら言います。 

 さすが元狩猟隊の隊長なだけあり、それは様になっていました。

 最後の問いの意味は、殺してもいいんやな? ということでしょう。ツヅルは頷きました。

 

(ラミ伯爵との交渉が難しくなるな)


 ツヅルはそう思いましたが、姿を見られたのではもう仕方がありませんでした。


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