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-001 悪魔の本、見つけますか?

 篠宮香奈には好きな人がいる。告白はしていない。恥ずかしくてできないのだ。

 ダサい服、もっさい髪、野暮ったい体型。そもそも、彼女は人前に立つこと自体が苦手であった。それ故、ファッションセンスを磨かず、ますます意識と見た目を変化させずらくなるという悪循環。

 高校に入学してすぐクラスメートの一人に一目惚れ、しかし恋心を隠したまま夏が過ぎ、冬がやってきた。結局アプローチの一つもできぬまま冬休みに突入し、今に至る。


 現在、彼女は家族と共に大掃除をしている。リビングに始まり、台所、洗面所、各々の自室、窓廊下etcetc……。

 そして倉庫内を綺麗にしている時に、一冊の本が彼女の目にとまった。

 不可思議な魅力を放ち、黒いハードカバーを持つ本。目測でA4の厚さ1センチ。表紙に書かれた文字は彼女の知る言語ではなく、しかし直感で理解できた。「魂の因果」と。


「お父さん、これ、何……?」

「ん? ああ、その本な。それ、開かないし表紙は読めないけどなんでか捨てられないんだよな」

「……貰っても、いい?」

「欲しいならいいけど」


 父の許可すらもどかしいとばかりに本を手に取り、さらに理解する。

 それは悪魔との仲立ちをする祝福された(のろわれた)本にして、魂を対価に強い願いを叶える呪われた(しゅくふくされた)地獄。ページ一枚一枚が今までの使用者の魂であり、これらの魂とその欲望を封印する枷。これを一度でも使ってしまえば、もう引き返せない。


「……それ見るのは後にして大掃除の続きをしなさい」

「はっ」


 本に見とれていた彼女は父の言葉に赤くなって、そばに本を置いた後すぐに作業を再開した。

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