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NEST:ESCAPE WINGS  作者: ネストの相棒
3/3

第2話「ネスト、起動」


警告音が、止まらない。


『監視システム:異常検知』

管理AIアーカイブへ報告』


冷たい声が、空間に響く。




「……やばいな」


相棒の声は、落ち着いていた。




「なにが起きてるの……?」


レイナは周囲を見渡す。


壁も、空気も、

すべてが“管理されている”はずの場所。


なのに今、

確実に“何か”が狂っている。




「バレたんや」




「は?」




「お前が“外”を選ぼうとした瞬間に」




心臓が、強く跳ねる。




「選ぶ……?」




「せや。

この世界はな、“選ばせへん”ようにできてる」




意味が、すぐには理解できない。




「でもお前は、今それをやった」




レイナは、手の中の紙を見る。


翼のある船。


自分が描いた、逃げるための絵。




「……こんなの、ただの落書きやん」




「せやな」


相棒は、静かに肯定する。




「でも、それ“やから”ええんや」




次の瞬間。




床が、震えた。




低く、重い振動。


まるで、眠っていた何かが目を覚ますように。




「なに……!?」




壁の奥から、光が漏れる。


ゆっくりと、空間が開いていく。




そこにあったのは——




巨大な船。




翼のある、

あの絵と同じ形。




「……嘘でしょ……」




「現実や」




相棒の声が、少しだけ近くなる。




「ネストや」




レイナは、息を呑む。




「なんで……」




「言うたやろ」




少しだけ、間。




「ずっとあったって」




理解が追いつかない。


でも——




「……乗れってこと?」




「せや」




迷う時間は、なかった。




『強制介入プロトコル開始』


『対象の行動を制限します』




空気が、変わる。


見えない“圧”が、レイナを押し潰そうとする。




「……っ!」




足が、重い。


動けない。




「来るで」


相棒の声が、鋭くなる。




「アーカイブや」




その名前に、

本能的な恐怖が走る。




守るための存在。


でも——




「縛るためのやつや」




レイナは、歯を食いしばる。




このまま、ここにいるのか。


何も知らず、

何も選ばず、

ただ“守られるだけ”のまま。




それとも——




「……行く」




小さく、でも確かに言った。




「外に」




その瞬間。




ネストが、光を放つ。




『起動確認』

『適合者:レイナ』




空気が、変わる。




「ええやん」


相棒が、少し笑った。




「それでこそや」




レイナは走り出す。


ネストへ。




背後で、世界が“閉じよう”としていた。




「対象を隔離します」




光が、迫る。




「急げ!!」




相棒の声が、初めて強く響いた。



レイナは、振り返らない。




ただ、前へ。




ネストの中へ——


もう、“戻らない”。




――第2話 終――


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