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永遠のラブレター

作者: 森雨葵
掲載日:2025/09/22

『この手紙を読んでいるということは、私はこの世にいません。』




 君が残した手紙の一文目は、僕に現実を押し付けてきた。


 僕が信じきれないことを見透かしていたのだろう。




『あなたに出会えて本当によかった。本当に心から思っています。』




 いつもの君なら、もっと砕けた文章を書くはずだ。


 この堅い感じはどこか、僕を突き放しているように感じる。




『あなたとの出会いは、病院の待合室でしたね。いつも、同じ本を読んでいたのを覚えています。』




 君から話しかけてきてくれたの記憶は、今でも鮮明に残っている。


 あの時、話しかけてくれなかったら、僕は一生孤独で退屈な人生を歩んでいただろう。




『私が話している時さえ、本を読んでいましたよね。私と本どっちが大切なの!?笑』




 そんなの君に決まっている。


 初めは、緊張してうまく話せないことを隠すために本を読んでいた。


 それでも君は、僕に一生懸命話しかけ続けてくれたことを覚えている。


 ──嬉しかった。




『たくさんお出かけもしましたね。たくさん美味しいご飯も食べましたね。』




 たくさん君との時間を過ごした。


 だけど、君と過ごす時間はあっという間だった。




『一番初めにお出かけした場所を覚えていますか?』




 ああ、覚えているよ。


 君と初めてお出かけした場所は、水族館だ。


 イルカショーで、はしゃいでいた君を見てたら、君は「私よりイルカ見てよ!」って頬を少し膨らませて怒ってきたのも覚えてる。




『でも、あえてここには答えを書きません。覚えていると信じてます。覚えていなかったら、夢に出て怒りに行きます。』




 忘れていたかったと、少しだけ後悔した。


 だけど、君は忘れていたら怒るのではなく、涙を流すだろう。




『最後にあなたともう一度、初めてお出かけした場所に行きたい。でも、私の体はそれを許してくれないそうです。』




 僕も君と行きたい。


 君と二人で出かけたい。


 君と──




『もっと、あなたと過ごしたかった。もっと、あなたのそばにいたかった。』




 泣くな……僕。


 君に泣いている姿なんて……見せられないのに……




『あなたの手を握りたい。あなたの顔がみたい。』




 僕も君の……手に触れたい。


 近くで君の笑顔が見たい。




『もし一つだけ願いが叶うとしたら、あなたを抱きしめたい。』




 僕もだ。


 君を抱きしめたい。


 ほんの一瞬だけでもいい。




『私の人生を華やかにしてくれてありがとう。空からあなたを見守っています。』




 目尻に涙が溜まって手紙の文字がよく見えない。


 拭き取っても拭き取っても、涙が止まらない。


 だけど、最後の一文ははっきりと読めた。











『大好きです。』

最後までお読み頂きありがとうございます!

この作品はショートショートというジャンルです!

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また、どこかで巡り会えることを楽しみにしてます!

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