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次の人生は強欲に  作者: つぶ丸
序章
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第七話

 早朝。

 あれだけ遊んだのにも関わらず、目が覚めるとベッドに2人の姿はなかった。毎日一緒に寝ているのに、朝起きるとやはりいない。いくら僕から可愛がられているとはいえ、彼女たちの本分はこの家のメイドであり僕の専属メイドなのだ。プライベートを仕事に持ち込まない精神に、感服する。


 さて今日はシャーロット伯爵令嬢がくる日だ。抜かりないようにしなければならない。きっとクラリスとノエルも迎えるための準備をしているのだろう。僕は……いつも通りのことをしよう。別に変なことをする必要もないのだ。それに相手が嫌がろうが好いてくれようが関係ない。父上のためにも必ず僕の婚約者から逃がさない。

 朝から決心を固くすると、寝巻きから部屋着へ着替えるといつものように浴場へ向かう。身を清めることは大事なことだ。集中力を高めスキルの成功率にも関わってくる。今回は失敗できないのだ。

浴場につくとすぐさま衣服を脱ぎ、すぐにお湯に浸かる。本当は体を綺麗にするなら生活魔法で充分なのだが、朝の入浴は僕の日課になっている。丁度いい温度のお湯が気分を落ち着け、体を癒してくれる。張っていた筋肉が弛緩し、思考をクリアにする。


 30分くらい浸かっただろうか。いつの間にか閉じていた目をあけ、浴槽から体をあげる。そして、脱衣所へ向かえば用意されてあるタオルで体を拭いていく。ある程度拭けたら服を着て、部屋へ来た道を戻る。部屋に戻れば、クラリスとノエルが待っていた。


「レオン様、髪が濡れております。よろしければ私がお手伝いいたしましょうか?」


 クラリスがタオルをどこからともなくタオルを出す。


「じゃあお願いしようかな」


「かしこまりました。では、この椅子にお座りください」


 自室に置いておいた装飾の施された椅子に座り、クラリスに頭を拭いてもらう。その間にノエルは洋服掛けを移動させ、僕の前に持ってくる。


「レオン様、今日のお召し物はどうされますか」


「そうだな、今日は威厳はありつつも貴族の前で失礼にならないようなものかな」


 それでは、と言い服を探すノエル。ノエルが選んだのは黒を基調としたシンプルながらも威厳のある服。しかし素材は最高級ではなく一段階劣った質のものをしようした物。よくあることだが、稼ぐ商人が貴族と商談をする際、わざと一段階、質を落としたものを着用することで、貴族との立場を理解していますよという気遣いをすることがある。もちろん、これは商談ではないのだが第一印象を良くするためには、そういうことも気遣える人間であると示さなければならない。

 ただ、洗脳する以上そんなことに気遣う必要はなさそうに見える。しかし、これは本人に対するアピールではなく、付き添いに来るであろう伯爵家の使用人と自分の親へのアピールだ。洗脳された本人は細かなことに気づかないだろうし、気付いたとしても認識を変えればいいので問題はない。けれどその付き添いに来た使用人に対して洗脳をしている暇はない。よって、細かな変化を気にせざるを得ない。


「その服にしよう。じゃあ着替えさせてくれる?」


「かしこまりました」


 ノエルが服をハンガーから外していく。クラリスも僕の頭を拭くのをやめ生活魔法で整えた後、服の準備に移った。

 僕は立ち上がり、一歩前へ出る。するすると着ていた服が脱がされていき、用意していた服を身につけられていく。シックな服装に着替え終わると、鏡が前に用意される。目の前に映ったのは、紛れもない自分。上品な服装にこの歳にしては高い身長、そして目を引くような赤い髪。間違いなく自分が写っていた。

 しかし、なぜだろうか。どこか他人事のように思えてしまう。いや、理由はわかっている。僕が転生者だからだ。元々平民であった自分がこうして高級なものを身につけ、お気に入りのメイドを惹きれることができるのだ。他人事のように思えて当然だろう。


「レオン様、お気に召しませんでしたか?」


 服を選んだノエルが心配そうに聞いてくる。ハッと気づいて鏡の自分の表情を見ると、それはとても険しい顔であった。すぐに笑顔に戻し、誤解を解く。


「そんなことないよ、ノエルが選んだ服は完璧だ。少し考え事をしていただけだよ、気にしないでおくれ」


「そうでしたか、もし私でよければ相談に乗ります」


「いや、大したことはないよ。安心して欲しい。でもありがとう、本当に困ったらノエルやクラリスに頼るようにするよ」


 そう言うと、ノエルとクラリスは「はい、お待ちしております」と声を揃えて答えた。やはり同年代だからなのか気が合うらしい。よく声が被るものだ。

 さて、僕の準備はできた。あとは環境の準備だ。洗脳と言っても万能ではない。適当に使って価値があるなら、僕だって多用している。しかしそんな甘くない。環境が必要なのだ。その人にあった環境が、心を揺さぶる出来事が、心開くその瞬間が必要なのだ。


「じゃあ行こうか、二人とも」


「かしこまりました」「お供させていただきます」


いかがだったでしょうか。

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