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第七話 革命の序章①-火の軍勢-

「やはり見つかってしまいましたね」

「まずいな…想定よりもはるかに多くないか?」

「ごめん、俺のせいでここまで……オルツナードさんどういう作戦で行きますか?」

「大丈夫ですアイデル君、エステル王。敵はあの臆病で徹底的な王がまとめるカルミナーク。想定外が想定内ですよ」


そう言って敵の数に圧倒されている二人を冷静に安心させてくれるオルツナード。

やはり歴戦の猛者は頼りになるのだ。


「作戦と言っても、それを考えている暇はなさそうだ。火球が来ている。まずはあの前線にいる火の適応者を何とかしよう。飛んでくる火球は避けられるかい?アイデル君」

「余裕です」

「よろしい。では王は私の後ろを離れませぬようお願いします。アイデル君は先に進んで、火球を放つ敵に圧をかけられますか?おそらく君が敵の陣地に近づくことで前線は後退し、接近戦に特化した騎士達が出てくるはず。まずはそこまでお願いします。死んではいけませんよ。アイデル」

「はい!」

「アイデル、無理はするな…厳しくなったら戻ってこい」

「わかったよ」

「では行こう」



火球を放つ騎士を止める。

それが俺に与えられた任務。

エステルを守りながら進むオルツナードさんはすぐに前進はできない。

これは俺にしかできない役割だ。

すると足に力いっぱい筋肉を集中させ、猛スピードで戦場を駆けるアイデル。そのスピードは、飛んでくる火球が遅く見えるほどの速度だった。

突如として急接近してきた存在にカルミナーク側は


「何かが猛スピードでこっちに近づいてくるぞ!まずい、火の適応者は早急にあいつを狙い撃てー!前線に近づけるな!」


お、標的が俺に変わったか?

これでオルツナードさんとエステルはこっちに来やすくなったかな。

でももう少し、威圧しておこうか。


前線との距離が近づき、飛んでくる火球の速さも増してきた。それでもアイデルのスピードを追える者は誰もいない。

アイデル目掛けて飛んだ火球は、一瞬にして回避され、彼の残像を突き抜け地面に着弾する。

まるで砲撃のような轟音が大地を打った。


「少し人数を減らさせてもらうよ」


アイデルは旗竿を片手に、前線を張る騎士達に近づき、一人二人となぎ倒す。


「な、なんだこいつは!」

「早すぎる!前線は後退しろ、近距離部隊、前へ!今すぐこいつの進行を止めろ!」



-エステルとオルツナード側-


「アイデル君は上手くやってくれているようですね。火球が一気に飛んでこなくなった。我々も急ぎましょう」

「ああ、急いでアイデルを助けなくては、走れオルツナード。俺は後で行く」

「そうはなりません。王はブライトーチの要、王に何かあればこの国は本当に終わりです」

「違うさ…オルツナード。国の要はお前達、我が国の民だ。俺はその代表に過ぎない。俺の命など、何ら価値はない……」

「そんなことはございません。あなたの命は、大いに守られる価値のあるものでございます。ここまで体を張って国を守ろうとしているあなたを、誰が価値がないなど申しましょうか」

「……ありがとう。ならオルツナード、そんな俺からのお願いだ。あいつを守ってやってくれ。」

「それはもちろんですが、最優先はエステル王、あなたでございます。」

「だが、頼む、俺はこの戦いで大きな役割は得られないだろう。力もなく、体力もない。足手まといになりたくないのだ。お前がいればこの不利にも見える戦況を変えられる。俺は頭を使って俺にできることをやってみせる。だからお前は急いでアイデルに加勢しろ。」


「……承知しました。では、ここで誓いましょう。私オルツナードは指1本、あなたの体に敵の脅威が触れることを許さないと」

「ありがとう。オルツナード…いつも、いつも」

「勿体なきお言葉……最後にひとつお聞きしたい」

「なんだ?」

「王にとってアイデル君とはどんな存在ですか?」


思いもよらぬ質問に一瞬困惑したエステルは、その答えに一度戸惑ったが、迷うことはなかった。

「友達だ」


するとオルツナードは優しい笑みを浮かべながら


「承知しました。では王の友人様であるアイデル殿をお守り致します。王もどうか無理のなさらぬよう」

「わかっておる」




-カルミナーク駐屯地-


っち、少し数が多いな。

俺じゃ敵の攻撃をさばききれない。

胸の奥がわずかにざわついた。

敵もかなりの手練れのようだ。


「そろそろ止まりやがれ、このガキ!」

後ろからの攻撃、しかし前方にも突っ込んでくる敵の姿が、


どうする…


すると、次の瞬間、視界を何かが横切った。

それと同時に、後ろの敵と前方の敵はまるで暴風にでも攫われたかのように吹き飛んで行った。

そして気づいた時には、


「オルツナードさん!?」

「やあ、アイデル君。待たせて悪かったね」

「い、いえ。助けてくれてありがとうございます」

「ところでアイデル君、大勢との戦闘には慣れていますか?」

「いや、少し苦手だと思います」

「なら、ここは任せなさい。君は敵の大将をお願いします」


「わ、わかりました」


返事を終える前に、大勢の敵が待ち構える前方では、轟音が鳴り響き、隣にいたオルツナードの姿は無くなっていた。


ものすごいスピードと力、あれだけの実力なら、俺は必要ないんじゃ……

いや、敵の大将を任せられたんだ。

役割は全うしよう。


オルツナードが切り開いた敵陣中央に待ち構える軍隊長アレスへの道を一直線にアイデルも進む。



-敵陣の奥-

異様な気配を放つ存在が、じっとこちらを見ている。

その圧倒的な強者の威圧に、アイデルは武者震いをした。

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