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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第三部 人間 vs 人間

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楽しいだにゃん! (マオ視点)

 ぼくにゃん、今、サイコーに楽しいだにゃん!


 トーマくんとお友達になったのにゃ!


 トーマくんの履いてる靴とかいうものには、すごいメカが搭載されていました。


 かっこいい!


 イタチより速く地を駆けるトーマくんがかっこいい!


 鳥っぽくファッサーって、空を飛べるトーマくんがかっこいい!


 たまにいるスーパーな猫みたいに、空中でクルンって回転できるトーマくんがかっこいい!


 ぼくにゃん、あれに比べたら、まるで亀さんにゃ……。


 必死で追いかけても、ちっとも追いつけないにゃ……。


 あっ。亀さんがかっこ悪いわけじゃないですよ?

 亀さんもかっこいいにゃ。歩き方に余裕があって、伸ばした首も優雅です。

 貫禄のあるかっこよさにゃ。


 でも、速さでいったら、どうしても遅いにゃ。

 ウサギさんが本気を出し続けたら、とても駆けっこでは勝てないにゃ。


 そんな感じで、ぼくにゃん、トーマくんにちっとも追いつけないにゃ。


 でもそれが楽しいのにゃん♪にゃん♪にゃん♪


「すごいにゃ! トーマくん!」

 ぼくにゃん、頭につけた人間語翻訳機を通して賛辞を贈りました。

「そんなすごいメカを使えるキミが超ステキ!」


「はっはっは……」

 トーマくんが笑ってくれました。

「猫よ、これが人間の力だ」


「すごいにゃ! 憧れるにゃ! ぼくも人間様に生まれたかったにゃ!」


「ふ……」

 トーマくんが鼻で笑ってくれました。

「残念だったな、マオ・ウよ。猫なんかに生まれてしまって」


 その言い方にはちょっとムッとしました。


「猫もいいにゃ! でも、その靴に関してだけは、人間様のほうがいいと思うにゃ!」


「ははは!」

 トーマくんが高笑いをしました。

 そして、ぼくに聞きます。

「猫よ、おまえらは何のために生きている?」


 ぼくは即答しました。

「えっ? 食べて、遊んで、すやすや眠るためにゃけど?」


「無駄な生命だな」

 親しげに笑いながら、トーマくんが言います。

「私たち人間には、それ以上のものがある。崇高なる理想を求め、人生に価値を求める」


 あまりにもトーマくんが難しげなことを言うので、ぼくにゃん笑ってしまいました。


「なんかめんどくさいにゃ、そんなの。ただ美味しいものが食べられて、楽しく遊べて、すやすや眠れたらそれでいいにゃ」


「なるほど、わかった」

 トーマくんがうなずいてくれました。

「やはりそんな生き物が地球を支配しているなどということは、間違っている」


「間違いかにゃん?」

 よくわかりません。


「違うと思うのなら、私を捕まえてみろ!」


 空から何かが飛んできました。


 ふわっとちょうど空中に浮いたトーマくんを、後ろからがしっ! と捕まえました。


 まさか……カラス!?


 そう思ったら、ブリキにゃんでした。


 空飛ぶアレを背中につけたブリキにゃんは、トーマくんの背中にしがみつくと、ニヤリと笑って言いました。


「捕まえたぜ? 大将」






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― 新着の感想 ―
ああ、折角調子に乗ってたのに!? ちょっとカッコ悪い感じになってしまったぞ?
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