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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第三部 人間 vs 人間

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マオが心配だ! 心配すぎる! (ビキ視点)

 マオが新しくやって来た人間の男の子と楽しそうに遊んでやがる。


 心配だ……。


 心配すぎる!


 だってあの人間の男の子、笑い方が楽しそうじゃない!


 顔では笑いながら、心の底では何かを企んでるような、そんな冷たい笑顔だ。俺にはわかる!


 マオはなんでも信じて、言葉さえ通じればどんなやつとも仲良くなってしまうアホだから、危機感がなさすぎて心配になっちまう。


 いっつも騙されてるくせに、まったく学習能力がねェんだ!


 あの、『ぽるたん星人』とかいうやつらがやって来た時も、アイツはわくわくしながら友達になりに行った。


 そんで、どんなことをされたかは知らんねェけど、宇宙船というものの中でひどいことをされて、空から放り出されてた。


 学習しろよ!


 そいつは何か企んでるぞ!


 でも、あの人間の男の子、すげェものを履いてやがる……。


 靴の裏についた車みてェなもんで、物凄いスピードで走ってる。

 ジャンプして、空中回転してる。

 木にもあっという間に登ってる。


 マオはそれを夢中になって追いかけて遊んでる。


 クッ……! 楽しそうだ!


 オレも混ざりてェ!



 オレがケツをうずうずさせていると、どっかで何か話をしてたらしいユキタローとみっちゃんさんが戻って来た。

 助かった……! それでオレは高まる好奇心をなんとか抑えることができた。


『ユ、ユキタロー。なぁ! あれ……、止めなくていいのか!?』


 オレはとても楽しそうに遊ぶマオと人間の男の子を指さし、言った。


『楽しそうに遊んでるマオを止めることは誰にもできないよ……』

 ユキタローはメガネをくいっと指であげながら、ため息をつく。

『ボクもやめさせたいのは山々なんだがね』


『あの人間の男の子、ぜってー何か企んでるぞ! オレにはわかる!』


 そう。あの人間の男の子は、何かが違う。


 メロンをご馳走すると言ったのに、拒むなんて……。


 メロンを好きじゃないやつなんて、いるわけがねェ!

 ハナユカさんみたいに素直に、心からの笑顔でメロンを頬張る人間とは何かが違う!


 それを遠巻きに眺めてる3人のメスの人間もだ。なんだか怪しい……。

 大人しくしてるが、それぞれが手に持った武器で、今にもマオを攻撃しそうだ。


『なぁ、ユキタロー! あのふたりが遊んでるのを止めてくれよ! オレが行ったらなんだか一緒に遊んじまいそうで、できねェ!』


『仕方がないよ』


 ユキタローは落ち着き払ってるように見せてるが、オレにはわかる。コイツも不安でしょうがねェんだ。メガネをくいっとあげるその指が、震えてる。

 ほんとうは心配で仕方がねェくせに、ユキタローは平気なフリをして、オレに言った。


『出方を見よう』






 

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― 新着の感想 ―
冷静だな、ユキタロー。 そしてビキにゃんは本能に負けてしまいそうなのを自覚出来てるのか…………。人間より危機察知能力が高いなあ。
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