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はぐれてる場合じゃない!
「リッカは? 一緒じゃないんですか?」
サンバさんはカタコトなら人間語が話せる。
通じるかどうかはわからなかったが俺は聞いてみた。
「リッカ、ココニハ、イナイヨ」
通じたようだ。詳しくは聞けないが、いないことだけはわかった。
しかしこんなところでみんなとはぐれている場合じゃない。猫の町では青江総司令官が猫と会談を始めているはずだ。
秦野さんが猫殺しをおっ始めたりしないか心配だ。一刻も早く俺も行かないと。
それに──マオも連れて行かないと! 人間と猫の首脳会談なのに猫の代表がいないんじゃ会談にならない!
しかしだいぶん飛ばされた。俺の足で走っていっても間に合わない。
「サンバさん! 背中に乗せてくれませんか!?」
「イーヨ」
サンバさんが背中を向け、乗れと目で示してくれる。
俺はマオを抱くと、遠慮なくその背中に乗った。
「全速力でお願いします」
「がるるん♪」
楽しそうに唸ると、サンバさんは物凄いスピードで駆け出した。




