再会(マオ視点)
ぼくにゃん間違ってました。
猫は地面を流れる液体にゃ。
空を飛ぶものではなかったのにゃ!
ブリキにゃんに止まり方を教わっておかなかった自分もせっかちでした。
どこへ行くのか誰にもわからない飛び方をしながら、目はもうぐるぐる回ってて、何も見えないし、もう、何も見えません。
そして何も見えずにいたぼくにゃんは、それを見たのです。
まずはお声が聞こえました。『まお!』と。
その声を出したお方が車とやらの上に立っているのを見たのです。
ぼくにゃんそこをめざしてまっすぐ飛びました。
っていうかそれしか見えてなかったのです。
そのお方のお顔を認めたぼくの口から勝手に声が飛び出しました。『ミャーーーー!!』
そのお方が腕を広げました。
『みっちゃんだ!』ぼくは大声をあげながら、そのお方の胸の中へ飛び込みました。
ずどーん!
みっちゃんの胸はおかしい。
マコにゃんの胸ならやわらかいクッションでぼくを受け止めてくれるのに。
ぜんぜんクッションがなく、勢いが止まらなかったので、みっちゃんごとぼくにゃん飛びました。
どこまでも、どこまでも。
キミと一緒ならどこまでも。
なんてことはなく──
何かにぶつかってようやく森の入口のところで止まりました。
顔を上げると、会いたかった顔がそこにありました。
ぼくより大きい、優しいお顔でした。
『みっちゃんだ! みっちゃんだ!』
ぼくは叫びました。
みっちゃんはにっこりと笑ってくれました。
撫でてくれました。
ぼくにゃん、その手に頭をこすりつけました。
『イーきにー』
突然、大地を揺るがすような声で挨拶をされ、みっちゃんの背後に、挨拶をくれたお方の顔を、ぼくにゃんは見ました。
知ってる。
このでっかい猫のこと、ぼくにゃん知ってる。
猫なのに猫も食べるという、猛獣の、虎さんでした。
『うわああああ!』
ぼくにゃん必死で守りました。
みっちゃんが食べられたらぼくも食べられる! みっちゃんのことを必死で、その前に立ち塞がって、守ろうとしました。
『やめろー! この人間さまはー! ぼくのだー! おいしくないぞー!』
『食べないよ』
優しい声で、虎さんはいいました。
『知ってるよ、あんたマオだろ? 地球の支配者の、あの有名な』
『ぼくを食うにゃん?』
『あたし、リッカのママよ』
『リッカにゃん!?』
『そう、そう』
『じゃ、友達にゃ!』
『よろしくね〜』
またひとり、お友達が増えました。




