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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第三部 人間 vs 人間

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ニャオンのヤオン (客観視点)

 猫の町では一年に一度、ニャオンのヤオンというイベントが開催される。

 喋る猫の始祖『パンジーのねこ』を讃えてのイベントであり、開催日はパンジーのねこの誕生日とされている。

 しかしパンジーのねこの誕生日がいつかはわからないので、正しくは猫たちがやりたくなった時に行われ、一番多かった時では年に246回開催された。


 パンジーのねこは約一万年前に地球に降臨した猫の神であり、そのねこは歴史上初めて歌をうたった猫だといわれている。


 猫の町の中央広場に猫たちが集まってきた。


 みんな目を爛々と丸くして、歌う気マンマンだ。


『イーきにー! ……ふんじゃ、今日もニャオンのヤオンを開催するにゃ!』


 ステージに上がったマオ・ウが高らかにそう告げた。

 マイクなどはもちろんない。ステージといってもちょっとだけ小高くなった丘のことだ。

 ニャオンのヤオンの『ヤオン』とはもちろん『野音』──野外音楽フェスのことだが、猫の町に建造物はユキタローの家一軒しかないので、もちろん屋内音楽ホールなどあるわけもなく、単に語呂がいいからそう呼ばれているだけだった。


『るっふっふー♪』

 マオ・ウが歌いだした。


 それは『パンジーのねこ』が一万年前に作曲した猫の世界最大のヒット曲、『テキトーにるっふっふ』であった。


『るん♪』

『るんっ♪』

『オーウ、かしわもち♪』


 みんなも声を合わせずてんでバラバラに歌いだす。


『にゃるるるる……♪』

『アー、オーウ♪』

『るっふふふー♪』

『やの、やの、やのー♪』


 子猫たちも楽しげに甲高い声を発する。


『ニャー、ニャー♪』

『うにゃっ、ニャー♪』

『うにゃにゃかにゃー♪』


 マオ・ウも子猫のように歌った。


『にゃーん♪ にゃーん♪ うにゃにゃかにゃーんにゃーん♪』


 青い空に歌声が響き、それが夜空に変わっても続いていた。


『楽しかったにゃ!』


 みんなが寝てしまったり、帰ってしまったりしたのを見届けると、マオ・ウは年に一度の猫の町最大のイベントの閉会を告げた。


『明日もまたやるにゃ!』





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― 新着の感想 ―
ニャオンのヤオン。 それは多ければ三日に二回行われる奇祭である。 そこまでやってしまうと祭りというより政だが、彼らにそんな意識はない。 それが日常であるという意識すらない。 彼らはネコ。 気まぐれとい…
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