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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第二部 宇宙人 vs 猫

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祝杯 (めきるたん視点)

 笑えることに地球人が反抗してきた。


 かわいいことに、迎撃ミサイルなんぞを飛ばしてきた。


 そんなものでこの宇宙船を撃ち落とせるとでも思ったのか。

 かわいいことだ。

 ミサイルをコンビニのからあげ棒に一瞬で変えて店舗送りにしてやった。


 地球のサルどもが我々ぽるたん星人の科学兵器に敵うものか。

 かわいいサルどもめ。

 フッ。



「まず一品、コンビニに商品が並んだよっ。キャホー!」

 X様がお喜びだ。

「続けて祝杯あげて騒ごう! いえーいっ!」


「ぽるぽるぽる……」

 X様のお兄様も大喜びだ。

「ぽるぽるぽるぽるるん……」



 引き続き祝勝会を行う。すばるたんX様のアイスカフェラテに、私は食物繊維ソーダのペットボトルを重ねた。私は未成年ではないが、宇宙船の操縦中に酒は飲むわけにいかないのだ。


 ぽるたんZ様だけは何も仕事がないので「ぽるぽる」と呟きながら一人カップ酒を飲んでいる。いいなぁ……。



 まぁ、いい。

 この星を侵略し尽くしたら毎日飲み放題だ。

 昔はコンビニで生ビールを売っていた時代があったというが、なんでやめたのかな……。まぁ、いい。缶ビールで我慢しよう。



「地球は我々ぽるたん星人のものとなり、コンビニ王国となるのだっ」

 X様がはしゃいでらっしゃる。

「カラオケルームもいっぱい作って、毎日歌って踊って過ごすのじゃー!」


「いいですね」

 その提案に私もノリノリになる。

「X様のアレ、毎日聴きたいです」


「ふっふっふっ」

 唇をぶりん、ばんばん、と鳴らしながら、X様がワンフレーズだけお歌いになった。

「侵略って楽しいね!」


「ぽるぽる!」

 酔われたのか、Z様まではしゃぎ出した。

「ぽるっ! ぽるっ ぽる!」


「アハハ」

 笑いながら私は自制する。私まではしゃぐわけにはいかないのだ。


 私はぽるたん軍参謀司令官めるたん・ぽるぽる・めきるたん。用心深いプロの軍人だ。

 たとえネズミを狩るにも隙は一瞬たりとも見せない気高き猫……いやさ、ライオンだ。

 いかに地球人の科学力が我々より大きく劣っているとわかりきっていても、お二人のノリに付き合ってはしゃいだりはしない。けっして、しない。

 地上の原住民どもから目を離さず、確実なる勝利を確実なままに保つのが仕事だ。


 X様が私をそそのかす。

「缶ビール、あるよー。めきるたんも飲んでいいよー」


「の……、飲ませていただきますっ!」

 しまった……。つい、受け取ってしまった。

「きゃ……、キャホー!」



 地上に不穏な動きをセンサーがキャッチした。



「なんだ……?」

 見ると、あの猫ちゃんたちが、何やらよくわからない兵器を前に、針のように尖らせた目で睨みつけながら、その砲口をこちらに向けている。

「あれはなんだ……?」

 見たこともない兵器だった。


 その砲口が輝くと、そこから猫パンチのようなものがたくさん、無数に、無限なほどに、我々の宇宙船めがけて飛んできた。


「小癪な!」


 コンビニ・ボムで迎撃しようとした。今度はそいつをフランクフルトにして店舗送りにしてやろうとした。


 しかし、弾かれた。


 たくさんの猫パンチがこちらの攻撃を横に叩いて退けながら、まっしぐらに飛んでくる。


 視界が真っ赤になり、星がいくつも飛んだ。


「な、なんだー!?」


「キャー!」


「ぽるぽるぽる」


 攻撃が宇宙船に当たり、ドガガガガガッ! という衝撃とともに物凄い猫パンチの音が響き……それから後は何が何だかわからない。




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ネコパンチランチャー!? いや、ネコパンチガトリングか!?
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