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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第二部 宇宙人 vs 猫

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宇宙人がやってきた!

 空に現れたその銀色の飛行物体を見つけて、猫たちがシャーシャーと騒いでる。


「ミチタカ……! あれ、何?」


 怖がるリッカが俺の腕にしがみついてきた。


「ミチタカくん……、怖い!」


 なんか張り合うみたいにマコトさんも、もう片方の腕にしがみついてきた。


「わからないけど……、用心したほうがよさそうだ」

 俺は腰の銃に手をかけた。





 それは着陸してきた。

 大勢の猫たちが遠巻きに取り囲み、毛を逆立て、びびった耳を後ろ向きにしている中、巨大な銀色の飛行物体は、その扉を開き、中から三体の宇宙人っぽいのが姿を現した。


 先頭に立って現れた、銀色づくめの女の人が、大声で俺たちに言った。

「やあ、地球人の諸君! ごきげんよう! 我々はぽるたん星人だ! 君たちと友好を結びにやってきた!」


 ざわざわと猫たちが騒ぎだす。

 それをなんだかばかにするような目で見回すと、銀色づくめの女の人は名乗った。


「私はぽるたん軍参謀長、めきるたんである! そしてこちらが……」

 後ろからズズイと現れた女の子を、手つきをひらひらとさせて引き立てた。

「我がぽるたん星の王女にして姫様! ……」

 ばーん! という効果音を口で付け加えてから、紹介した。

「すばるたんX様であーる!」


「ごきげんよう、原始の星の原住民たち」

 背の低い、16歳ぐらいの、貫禄も特にない、派手にカラフルな格好をしてるだけの、ただのかわいい女の子だった。すばるたんXと名前を紹介されたその少女は、フライドチキンのようなものをむしゃむしゃと食べながら、俺たちを小馬鹿にする口調で言った。

「我々はおまえらと友好を結びにやってきた。おまえらの代表者と話がしたい」


「ぽるぽる」

 その後ろでちょっとセミっぽい男の人が、なんか言った。

「ぽるぽるぽる」


「おまえらの代表者はどいつ? サッサと出てきなさい」


 高圧的にそう聞くすばるたんXに、


「あっ、はいはーい! ぼくにゃん! ぼくが地球の支配者です!」

 楽しそうにマオが手を上げて、前へ駆け出そうとした。


「待てっ、マオ!」

 リッカと二人で引き止めた。

「待って、マオ! なんかあれ、危ないわ!」


「ふにゃーっ!?」

 うっかり俺がしっぽを掴んで引き止めてしまったので、マオが声をあげた。

「みっちゃん……。しっぽを掴んじゃ……痛いにゃ」

 涙目で責めるように俺を振り返る。


「うふふ……」

 高いところからすばるたんXがマオを見つけて、言った。

「あなたがこの星の支配者なのね? やっぱりネコが人間を支配してるのね? おもしろーい……うふふ」


「とりあえずおまえたちの代表と話がしたい」

 めきるたん参謀長が言う。

「そこのオレンジ色のネコちゃん。おまえが代表だね? 中へ入りなさい。ミルクでもふるまってあげましょう」


「ミルク!?」

 マオの目が、輝いた。

「行く! 行くにゃ……! ちょっ……、みっちゃん、リッカ、離すにゃ!」


「あたいも行くやのやの!」

 後ろからそう叫びながら、ミオも駆け出した。

「マオちゃまが行くなら、あたいも行くやのやの! 一緒にミルク、ぺちょぺちょしましょ!」


「ふふふ……」

「おいで〜、ネコちゃん」

「ぽるぽる、ぽるぽる」


「ミオも……だめっ!」

 リッカがミオを引き止めてくれた。

「あいつらなんだか危ないわ。わたしの野生の勘がそう告げてる」


 俺は全身に衝撃を感じた。


 見ると、ぽるぽる言ってたセミみたいな男が、俺のほうにハサミっぽい腕を向け、そこから何かを発射したようだった。


 体が痺れる。マオを引き止めてしっぽを掴んでいた手が……離れる。


 ゆっくりと地面に倒れる俺を見て、マコトさんが叫んだ。

「ミチタカくんっ!」


 マオはそんな俺に気づかず、走り出していた。ミルクという言葉に夢中になってしまっていた。


「ふふふ」

「ふふふふ……。ようこそ、ネコちゃん」

「ぽるぽる」


「ま……、マオ……!」

 マオが嬉しそうにそいつらのところへ辿り着き、楽しそうに挨拶をして、中へ連れ込まれるのを見送りながら、俺は体が痺れて動けずにいた。




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― 新着の感想 ―
ハサミっぽい腕って、バル○ン星人か!? だからすばるたんなのっ!? ヤベえよ! アイツら人口がハンパじゃないはず!
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