スノーかいだんって楽しい(マオ視点)
ねこ様たちと人間様たちのスノーかいだんは楽しいだにゃん。
やっぱり人間を見て怖がるねこ様は多くて、必死で隠れるばっかりで見ることもできないミオにゃんみたいなお方もたくさんいらっしゃるけど、次第に心を開いた。
(=^・^=) (=^・^=)
「メロン、うめぇよな」
「ああ! メロンは世界一とろける食べ物だぜ」
ビキにゃんが鳥の巣アタマのユカにゃんと仲良くなってるにゃ!
「メロンの良さのわかるおまえのことが好きだぜ、ビキ!」
「俺もメロンの素晴らしさがよくわかってるあなたのことを尊敬するぜ、ハナユカさん!」
あの怖がりのビキにゃんが、ユカにゃんとまるで兄弟のように仲良しにゃ!
よきにゃん。
よきにゃん。
よきよきことにゃん。
(=^・^=) (=^・^=)
『マオちゃま……』
ミオにゃんが話しかけてきた。
『ミオは、マオちゃまに、謝らなければならない事柄があるのです』
ま、まさか……! ぼくは激怒しそうになったにゃ。
『もうすぐ準備できるからねー!』
まこにゃんがお皿に魚をいっぱい入れながら、楽しそうに猫語で喋ってる。
『出来たら猫さんたちをみんな呼びましょう。ニジマスの南蛮漬け、美味しいよ〜!』
ミオにゃん……、まさか、ぼくにゃんが目をつけてたあのニジマス様をつまみ食いしたのかにゃッ!? と疑って、見てみたら、まだ誰も口をつけてなかったにゃ。
ふー……。よかったにゃ……。
あのお腹のとこがとても美味しそうな色をされてるので、あれは絶対にこのぼくにゃんが食べるのにゃ。
『あたい……、人間のヤマダ様に、心惹かれてしまったのやの!』
ミオにゃんがなんか重大な告白みたいなことを言ってる。
『ごめんなさい! マオちゃま一筋と、マオちゃまの子種ももらっておいて! ミオは悪女やの! 複数のオトコを手玉にとる悪女やの! うっふん』
どうでもいいです。ぼく、今、あの魅力的なニジマス様のことしか考えられない。
しかし、今は、無理にゃ。上に恐ろしきタマネギが乗っかってるにゃ。
たぶん、ぼくがけしからんフライング食いをしないように、まこにゃんがあれでぼくを防いでるのだろう。
あれを取り除いてくれたらいただくとしましょうか。にゃふっ、にゃふっ、にゃふっ。
──と、思ってたのに……
けしからん白い子ども猫がやって来て、すべてのお皿を独り占めしたのにゃッ!
『これぜんぶ、ぼくのニャー!』
そう言いながら、あのお腹のとこがとても美味しそうなニジマスにもかぶりつこうとしたのにゃ!
大人ねこは子どもねこに譲るのがルールにゃ。
子どもねこがじゅうぶんお腹が膨らむまで食べてから、残りを大人ねこがいただくのが猫の世界のルールなのにゃ。
でも、そのニジマスだけはぼくのものにゃーーー!
『それ、ぼくにゃんが目をつけてたやつーーーッ!』
叫びながら、白い子ども猫に闘いを挑んだにゃ。
あっさり負けたにゃ。
ぼくは顔がおおきいということ以外に取り柄はなかったわけにゃ。はっはっは……。
『たかが地球の支配者の分際で邪魔をするなーーーッ!』
そう叫びながら、白い子ども猫はぼくを吹っ飛ばしたにゃ。
すごい、すごい。
子ども猫は元気なのが一番にゃ。
ぼくは号泣しながらそう思いました。
『あの白い子ども猫は何者にゃ?』
泣きながらぼくはユキにゃんに聞きました。
『この俺様を一撃で倒すとは只者ではないにゃ』
あのお腹の美味しそうなニジマス様を食えなかった無念を、敵を褒めることで正当化しようとしました。
するとユキにゃんが大笑いしながら教えてくれました。
『あれはボクの息子だよ。知らなかったの? マオ』
『ユキにゃんに子ども猫が!? いたの!?』
知らなかったぼくは口の中から目玉が飛び出るかと思うぐらい、びっくりしました。
『うん。コユキっていうんだ。まだもうすぐ生後4ヶ月だけど、ボクによく似て天才猫だよ。仲良くしてやってくれ』
『た……、確かに天才にゃ。このぼくを一撃でやっつけるとは』
『頭がすごくいいんだ。教えたら翻訳機なしで人間語を喋れるようになったほどだよ』
『それにしても……しつこいと言われても何度でも言うけど、ユキにゃんに子ども猫がいたなんて!』
『あんな野蛮な行為はしたくなかったからね、猫工的に受精をして産んだんだ。出産はもちろん飼育器の中だよ。
大昔は避妊をしなければ発情期が来るのを止められないと思われていたらしいけど、僕にかかれば、発情期を止めることと妊娠機能を維持しておくことは両立できる』
意味がわからなかったのですべて聞いてなかったけど、ユキタロー様はそう言いました。
((≡゜♀゜≡)) ((≡゜♀゜≡))
「よっ……寄るなっ!」
猫の町がよく見渡せる丘の上に座って、食後の子猫たちにじゃれつかれてるのは、人間様のタイチョーさんでした。
「それ以上近寄ると、問答無用で殺すぞ!」
なんだか物騒な、ナイフみたいなものをどこかから取り出して、タイチョーさんは言いました。
『ねー、ねー』
『遊んでー、遊んでー』
子猫さんたちは怖いものなしでした。
物騒なものを持ったタイチョーさんに、遠慮のひとつもなく、ベタベタしていきます。
「ひ……ひいっ!」
タイチョーさんの顔が、恐怖にデレッと笑い出しました。
「く、来るなあっ!」
『おじちゃん、遊んでー』
『抱きついちゃえ、えいっ』
ぺた、ぺた、ぺた、ぺた。
子猫さんたちは遂にタイチョーさんの体によじ登りはじめてしまいました。
タイチョーさんもそうされて、悪い気はしてないようです。
うーん。
スノーかいだんって、ほんとに楽しいにゃ!




