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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第一部 人間 vs 猫

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42/129

人間様がやってきた(マオ視点)

 人間様たちが猫の町にやってこられました。


 ぼくにゃんはすっかり忘れてたので、ユキにゃんから聞いて外へ飛び出したのにゃす。


 みんながひっそりひそひそ騒いでた。


『人間だよ』

『人間が来たよ』

『怖い、怖い』

『でも好奇心で見ちゃう』


 ミオにゃんは怖がってずっと地面の穴に頭を突っ込んで震えてる。

 ミッちゃんもリッカも人間だってこと、ミオにゃんはまだ知らないのですね。震えるおしりがかわいいにゃ。



 広場に行くと、もう7匹の人間様は来られてて、ぼくは急いで駆け寄ったにゃん。


『おーい!』と手を振りながらぼくは手足全部を使って近寄った。

 するとリッカが『マオくん! 翻訳機! 翻訳機!』と言うので、そこで初めて気がついた。

 ちょうど草の上着のポッケに入れてたので、『めんどくさ、つけるのめんどくさ。でもこれつけなきゃお話できにゃい』と(つぶや)きながらそれをかぶりました。


 ユキにゃんも出てきてくれて、一緒にお話することになりました。


 ビキにゃんも飛んできて、『マオはオレが守るーーっ!』とか言うけど、無理しなくていいだにゃん。


 こうして猫と人間のスノーかいだんが始まりました。

 さぁ、遊ぶにゃ!


「何して遊ぶにゃ!?」

 ぼくが聞くと、人間のタイチョーさんがなんだか嫌そうな顔をされました。


 ぼくはあくびをしました。

 タイチョーさんの表情にちょっとストレス感じちゃったのかも。


「マオ・ウ」

 リッカが話しかけてくれたにゃ!

「今日はよろしくね」


『てめーら、マオに気安く近寄るんじゃねぇ!』

 ビキにゃんがなんか張り切ってる。


 あっ、でも。

 これ、便利にゃ! ユキにゃんの作った翻訳機、人間の言葉は猫語に、猫語もちゃんと猫語として聞こえるにゃ!


 ピリピリしてるビキにゃんに、リッカが猫語で話しかけた。

『こんにちは。怖がらないで。私たちはあなたたちの友たちよ』


 ビキにゃんがそれを聞いて、驚きのあまり口が裂けそうになりました。


 リッカが続けて言ったにゃ。

『私はリッカよ。あなたのお名前は?』


『ね……、猫……!?』

 ビキにゃんがリッカに言いました。

『猫語を(しゃべ)るとか……。おまえ、珍しい種類の猫なのか!?』


 ビキにゃんの気持ちがよくわかる。

 そんなふうに信じ込んでいた時がぼくにもありみゃした。


「その猫はなんと言ってる?」

 タイチョーさんがリッカに聞いたにゃ。

「なにやら我らを嫌悪しているように見えるが……」


「長い歴史の中で、猫と人間は嫌悪し合って来たんですよ」

 リッカがタイチョーに説明した。

「いきなり仲良くなれというほうが無理です」


「そうだな」

 タイチョーさんが言いました。

「我らも同じだ。さて……」


 タイチョーさんが服の上着の隙間に手を入れたにゃ。なんだろう。かまぼこでも取り出すのだろうか?


「やりますか? 隊長」

 そう言って長毛種のオスの人間も服に手を入れました。


「うむ、海崎……」

 タイチョーさんの顔がなんか怖い。

(たちばな)リッカを盾にしろ」


「マオーっ!」


 そう絶叫しながらまこにゃんが、ぼくに駆け寄って来たかと思ったら、だっこしてくれた。

 ぼくはまこにゃんの胸の柔らかさが好きなので、そこに頬ずりしました。


 スリ……。スリ……。


 あー……。なんだかとてつもなく柔らかいものに包まれてる感覚にゃん。もちろんほんとうに包まれてるんだけどにゃ。


「何をしておる! (とどろき)隊員!」


 タイチョーさんが猫の嫌いな大声をあげた! うるさいにゃ! 猫は耳が聞こえすぎるんだから小声にしてほしいにゃ!

 よく見るとタイチョーさんが銃を持ってた。なんだろう、水鉄砲で遊ぶの?


「マコトくん……! マオ・ウから離れて!」


 長毛種のオスの人間様もいつの間にか手に銃を持ってるにゃ。


『みなさん!』

 リッカが遠巻きに注目してる猫さんたちに、大声だけどうるさくない声で言った。

『私たち人間は、あなたたち猫ちゃんと仲良くなりたくてやって来ました! おみやげもありますよ!』


「おみやげとは……もしや……」

 ぼくはまこにゃんに聞いた。


「そうよ」

 まこにゃんがにっこり笑った。

「これよ!」


 まこにゃんの右腕についてるかまぼこ発射機が、おおきなピンクと白のかまぼこを空に打ち上げた。


『なんだあれは!』

 打ち上がったかまぼこを見て、猫さんたちが騒ぎ出す。

『いい匂いのするものだ!』

『色がきれい!』

『好奇心をそそられる!』

『見に行こう! 見に行こう!』


 町の猫たちがぞろぞろと姿を現して、人間様方を取り囲んだにゃ!

 みんな笑ってる。

 お日様も笑ってる。


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― 新着の感想 ―
何故ここにちゅ~るがないんだあぁぁぁ!? ちゅ~るがあれば夢のような光景が…………地獄絵図に変わりそうだな。
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