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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第三部 人間 vs 人間

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122/129

ボクらの最期 (マオ視点)

 ぼくにゃん、猫にゃん。


 超感覚ちょうかんかくって知ってるかにゃん?  


 ほくにゃん知らにゃいけど、どうやら猫にはそういうものがあるらしいんだにゃん。


 トリ様がなんだか木の上で騒いでる。何かを感じているのだね。

 猫もそんな感じで、何かを感じるんだにゃん。


 アリ様がいつもより早足で急いでる。何かを感じているんだね。

 ボクもそんな感じで、何かを感じるにゃ。


 きっと明日も楽しい日々だにゃん。何も変わらないのが楽しいんだにゃん。一番だね! ──って、毎日思ってるんにゃけど……

 でもそんな気が今日はしないんだにゃん。


 何が起こるのかはちっともわからにゃいけれど──

 たぶん、みっちゃんが言った通り、これからすぐにこの世が終わるんだね?


 人間様たちはなんだか難しいことを言って騒いでるにゃ。


 タイチョーさんが長毛種のオス人間に「支部に迎撃ミサイルを飛ばすよう指示しろ」って言って、「支部にはそんなものありませんよ」って答えられてる。意味はわかんにゃいけど、にゃんか絶望っぽい感じはわかる。だってボク、超感覚もちだから。エッヘン!


「マコトさん、海崎さん! どうにかできませんか!?」

 そう言って、みっちゃんが必死に何かをなんとかしてくれようとしている。


 ありがとうございます。


 そのお気持ちだけで十分だにゃん。


 ユキにゃんにどうしようもないことは、どうしようもないのだにゃん。


 にゃっはっは。


『マオーーっ!!』

 ビキにゃんが号泣しながら、ボクを抱きしめてきました。

『わかるよな? オレたちに危機が迫ってる! チクショーッ! どうにもしてやれねェ! オマエを守ってやりてェのに!』


 ボクは答えました。

『ビキにゃん、大丈夫だにゃん。なにをするにもボクたち一緒だにゃん』


『マオちゃま、幸せね』

 ミオにゃんがボクらを見上げて言いました。

『うっとりするのやの。最期がこんなに幸せの真っ最中で、いとをかし』


 むこうでは長毛種のオス人間様とブリキにゃんが会話してる。


「ブリキ、おまえだけでも逃げろ! おまえは飛べるだろう! 災害範囲の外まで出られるからわからんが、あがいてくれ!」


「ありがとよ、リョウジ。でも、おまえはなんともないんだろ? 死ぬのは猫だけなんだろ? 猫がみんな死ぬんなら、俺だけ生き残るわけにはいかねェよ。俺だけ死ぬのは嫌だが、みんなで死ぬなら怖くねェ」


 確かにブリキにゃんの言う通りだにゃん。


 みんなでやることは楽しいことに決まってるにゃ!


『あっ』

『何か飛んで来るって……、あれか?』


 ぶち猫さんと黒猫さんがいち早くそれに気づきました。


 見ると、朝日の昇ってる方向から、キラリと光るものが空を飛んできていました。


 他の猫たちも面白がって空を見てる。『何か来るらしいよ』そう言いながら、興味津々、好奇心。ウチの子猫が一匹、マコにゃんの胸に登ってって、くつろいでる。あそこは気持ちいいからにゃ……。マコにゃんはウチの子猫を抱きしめて、なんか泣いてるにゃ。ほっぺたスリスリされてるウチの子猫が羨ましい。


『ごめんね、マオちゃん!』

 リッカが猫語でボクに謝ってくるけど意味がわかりません。

『ごめんね! ごめんね! あぁ……! 許してなんて、とても言えない!』

 何かボク、リッカから謝られることされたっけにゃん?


 キイィィィィン! って音が、どんどん大きくなってきました!


 これは大変にゃ! 猫は大きな音が大嫌いにゃ!


 みんな耳を塞いで、でもなんだかわからないものが飛んで来るのは珍しいので、好奇心をもって見つめました。


 丘の上にみんなで立って、猫がみんな目をまん丸にして、みんなでその飛んで来るものを見つめました。


 やがて──すぐに──


 それがすぐ近くの大地に突き刺さると、とんでもない音がして、炎が上がり、それとともに青白い煙のようなものが、ボクらをぶわっ! と、包み込みました。


 ふぎゃーっ!




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― 新着の感想 ―
よく考えたらタマネギな成分って、熱で変化しそうな気がするが…………ネコのダメな成分って、どうだったっけ?
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