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もしも地球の支配者が猫だったら  作者: しいな ここみ
第三部 人間 vs 人間

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女の正体 (秦野ユイ視点)

「キミは……誰だ?」


 トーマちゃんはその女のことを知らなかったみたい。

 暗いお顔をさらに暗くして、細っちい女のこと睨んでる。


「トーマくん、久しぶりね」

 しかしその女は一方的にトーマちゃんのことを知っていて、一方的な物言いをする。

「でも、キミが覚えてないのは仕方ないわ。だってあの時、あなたはまだ3歳ぐらいだったもの」


「誰だと聞いている」

 トーマちゃんはさらに不機嫌になって、命令口調で言った。

「私はNKU総司令官青江当麿だぞ? 貴様から先に名乗らないのは無礼であろうが」


「わたしは橘──橘リッカよ」


「橘……?」

 トーマちゃんが考え込んだ。

「……いや、まさか……。たちばな久志ひさし氏は……家族ともども10年前に飛行機事故で……」


「生きてたのよ、お父様たちは亡くなったけど」


「そんな……まさか……」


 トーマちゃんの顔面が蒼白になったけど意味がわからない。

 一体、この女は何なの? 橘ヒサシとかいう人物って──


 思い出した。


 わたしの優秀な頭脳が、データベースの中からその名前を検索し、引き出した。


 橘久志


 代々日本の人類を導き、絶滅から救ってきた橘家の200代目


 日本で一番偉い人物


 しかし10年前にキューシューからトーキョーへ小型飛行機で移動している際に、墜落死。生死の確認はされていないが、墜落した地点がちょうど虎の生息地であったため、確認するまでもなく死亡は確定と見られた


 ──何よ。


 その橘家の長女が生きてたっていうの?

 橘家は世襲制で日本の人類のトップの権力を受け継ぐという。男が産まれなかったら女でも橘家を継げるという。


 つまり、この橘リッカとかいうブスは、NKU総司令官青江当麿よりも立場が上ということ!?


 どういう態度に切り替えたらいいかわからず、わたしがキョドキョドしていると、慌てたようにトーマちゃんが声をあげた。


「嘘だ……! 貴様はニセモノだ!」

 そしてわたしに命令した。

「秦野! コイツは悪質な騙りだ! 詐欺師に違いない! 今すぐここで殺せ! 私が許可する!」


 ふふ……。


 許可もらっちゃったよ。ひひひひひ!


 ポケットの中をまさぐりながら、楽しく考えた。どの銃を使おう。全身焼けただれたようになって醜くしてやれる毒銃にしようかしら、それとも内側から精神を破壊して一生バカにしてやれるサイコ・ガンがいいかしら!


 迷っていると、少し離れたところから走ってくる足音が聞こえた。

 ミチタカちゃんかしら? ちょうどいい。彼の目の前でこのストーカーを殺してみせて、ポイント稼いじゃお♪


 そう思っていると、足音はどんどん大きくなってきた。


 地響きまでしてきた。


 橘リッカが言った。

「ママ!」


 この町に着いてすぐに見た、あの巨大な虎が、怒り狂ったような顔をして、わたしに向かってまっすぐに駆けてきた!




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― 新着の感想 ―
猛り狂った(様に見える)虎が一気に迫ってきました! どうする? ●逃げる ●立ち向かう ●命乞いをする ●もう漏らしちゃう ●イーきにー
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