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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
93/421

◆◆◆◆ 5-38 蛇と鴉 ◆◆◆◆

【 ウツセ 】

「――っ、陛下っ!」


 血を吐いてうずくまったアグラニカに、悲痛な声をかけるウツセ。

 放った呪術が破られかけていることで、呪いが反転し、己の身に帰ってきたのである。


【 アグラニカ 】

「なんの――まだ、まだっ……!」


 口からこぼれた血をぬぐうアグラニカ。


【 ウツセ 】

「無理をしてはっ……!」


【 アグラニカ 】

「ふふっ……貴方の前で……無様は晒せません……!」


 アグラニカは凄みのある笑みをうかべると、再び身構える――




【 シンセ 】

(このまま――一気に、押し切るっ……!)


 全身が弾けそうなほどに集中し、部下たちの術を束ね、巨大な鴉へと注ぎ込み続けるシンセ。

 そのまま、黒鳥が大蛇らを切り刻むかと見えたが――


【 大蛇 】

「――グゥアアアア……!」


【 シンセ 】

「なっ……!?」


 シンセは目を疑った。

 もっとも大きな蛇が、他の首を次々と食らいはじめたのだ。

 自棄やけになったのかとも思われたが、


【 シンセ 】

(いや……違う! 共食いで、力を集めて……!)


【 大蛇 】

「グウウウウッ……!!」


 すべての首を食らい尽くした蛇は、ひときわ巨大となり、大ガラスへと立ち向かってきた。

 巨鳥と巨蛇は、しばしもつれ合い、絡み合い、相争っていたが、


 ――ブシャアアッ!


【 シンセ 】

「ぐっ!? う、ああっ……!」


 突如、シンセの目、鼻、口、耳――ありとあらゆる穴から、一斉に鮮血が噴き出した――




【 シュレイ 】

「シンセ……!?」


 黒衣を血に染めながら馬上に崩れ落ちるシンセの姿に、シュレイは絶句した。

 のみならず、


【 神鴉兵たち 】

「――――っ」


 黒衣の兵たちも次々と倒れ、術者を失った怪鳥は、ほどなく煙のごとく消え失せてしまった。


【 シュレイ 】

「――――っ」


 そのまま、勢いづいた大蛇が茫然と立ち尽くした宙軍へ襲いかかる――かと思われたが、


【 ??? 】

「――“ゴッ”――」


【 大蛇 】

「ガ――アッ……!?」


 いずこからともなく飛来した巨大な剣が、大蛇の身をブスリと刺し貫いていた。

 見る間に、大蛇もまた、もとの霞となって風に散っていく――


【 シュレイ 】

「――っ、見よ、森羅の呪いは破ったぞっ! 今こそ攻め立てよっ!」


 シュレイは自らを奮い立たせ、声を励まして命を下した。


【 宙兵たち 】

「お……おおおおーーっ!!」


 シュレイの命令一下、気を取り直した宙兵が一気に攻勢に出る。


【 森羅兵たち 】

「まさか……女王の術が敗れただと……!?」


【 森羅兵たち 】

「否、五分であろうっ……なんだ、あの剣はっ……!?」


【 ヴァンドーラ 】

「くっ……!」


 思わぬ成り行きに動揺をきたし、浮き足立った森羅兵であったが、


【 ウツセ 】

「――森羅の強者たちよ、まだ負けてはおらぬ! 女王の加護を思い出すべし!」


【 森羅兵たち 】

「…………っ!」


【 ヴァンドーラ 】

「しかり――我らは森羅の勇士なり! 者ども、怯むなッ!」


【 森羅兵たち 】

「お――おおおっ!」


 駆けつけたウツセの一喝で我に返り、どうにか態勢を立て直す。

 その後、しばし交戦が続いたものの、両軍とも決め手がないまま時が過ぎ、互いに兵を退くにいたったのだった。

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